後期中等教育の特別支援検討委―道教委 合理的配慮の理解徹底を 自立目指す教育の在り方協議
(道・道教委 2016-08-30付)

 北海道の後期中等教育段階における特別支援教育に関する検討委員会(室橋春光委員長)は二十五日、道庁別館で第五回会合を開いた=写真=。「生徒が自立し、社会参加するための教育の在り方」をテーマに検討し、委員からは、「スクールクラスター」を活用した連携の推進、教育と福祉・雇用の関係者が相互に理解し連携する場の設定、学校卒業後も地域で同じ障がいのある人たちと交流できる場づくり、障がいの特性や合理的な配慮についての理解の徹底などを求める意見が出た。

 同検討委員会は、高校等に在籍する特別な教育的支援を要する生徒の自立や社会参加に必要な力を育成する観点から、本道の後期中等教育段階における特別支援教育の在り方を検討するため、道教委が設置。二十七・二十八年度の二年間で検討を進めている。

 今回の検討テーマは、「生徒が自立し、社会参加するための教育の在り方」。大きく二つの観点をもとに検討した。

 第一の観点「発達障がい等の障害のある生徒が地域で暮らすための教育の在り方と必要な支援」にかかわっては、幼稚園、小・中・高校、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室といった域内の教育資源の組み合わせ「スクールクラスター」について協議。

 教育現場でスクールクラスターに対する理解が進んでいないと指摘し、その周知と活用を求める意見が出た。「多くの市町村で小学校一校、中学校一校のみとなっている。横のつながりのため、町村をまたいだ連携をやりやすくしてほしい」との声もあった。

 また、「スクールクラスターの中で、相互に連携、研修し、子どもを理解することが大事」などの意見が出た。

 社会福祉施策や障がい者雇用施策との連携については、「福祉サービスとの連携が欠かせなくなっているが、理解が進んでいない。教育と福祉が互いに理解し合うための場を設けることが必要」「子どもは、ずっと教育の場にいるのではない。つぎのステージとして、就労の場との連携を促進しなければ」などの発言があった。

 同じ障がいのある人との継続した交流の仕組みづくりについても協議。「仲間が周囲にいて、交流することで、本人は生き生きとする」「元気を取り戻し、学校や社会で頑張ろうとするパワーにつながる」ことから、学校卒業後も、地域で交流できる場づくりの必要性が挙げられた。本人と保護者が地域で孤立しないよう、必要な情報の提供や安心して交流に参加できる仕組みづくりを求める声もあった。

 続いて、第二の観点「発達障がい等の障がいのある生徒の多様な社会自立を可能とする教育の在り方(社会生活および就労への適応力向上のための教育の在り方)」について協議した。

 義務教育に対しては、発達障がいなどの障がいの特性や必要な合理的な配慮に対する理解の徹底、保護者への説明を求める声があった。

 「発達障がいの子どもは自信を失っている。学ぶ楽しさを味わい、自分自身で将来を決めていこうとする気持ちを育てるような教育を行ってほしい。そのためにも、まず、高校が方針を示してほしい」との要望も出た。

 高校教育については、「目の前の子どもたちに何が必要なのか、生徒の状況などを踏まえ、実践や研修を積み重ねることが必要」などの意見があった。

 また、地域の教育資源とのつながりの構築など、関係機関との連携促進についても意見交換した。

(道・道教委 2016-08-30付)

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