帯教研が道徳の教科化テーマに教育講演会　授業づくりの視点学ぶ　講師に岐阜大院・柳沼准教授

（市町村 2016-09-08付）

講演する柳沼准教授

　【帯広発】帯広市教育研究会（小林寛佳会長）は一日、帯広市民文化ホールで二十八年度教育講演会を開催した。岐阜大学大学院の柳沼良太准教授が「道徳の教科化に向けた現場で大切にすべき視点」と題して講演＝写真＝。七百人を超える参加者は、教員としての専門性を高めるとともに、道徳の教科化に向けたより良い授業づくりの在り方などについて理解を深めた。

　開会に先立ち、帯広市教委の田中厚一教育委員長があいさつ。道徳の教科化をテーマとした同講演会の意義を強調した上で、「多くの教諭と想いを共有し、互いに協力しながら〝帯広らしい〟教育の推進に尽力したい」と述べた。

　開会式では小林会長が登壇。同会がことしで五十年目を迎えることにふれ、「発足当時から校種や職種にかかわらず、市内の教職員が各部会に所属し、学校教育の充実と教員自身の資質・能力の向上に努めてきた」と振り返った。その上で、「今後とも本会が一人ひとりの会員の情熱によってますます充実し、五十年を一つの節目として新たな一歩を踏み出したい」と意気込みを語った。

　つぎに、柳沼准教授が「道徳の教科化に向けた現場で大切にすべき視点」と題して講演した。

　はじめに、道徳の教科科の流れを説明した上で、アクティブ・ラーニングの視点を取り入れた道徳化について説明。従来の「読み取り道徳」から「考え議論する道徳」へ転換する大切さを強調し、「自分ならどのように行動・実践するかを考えさせ、自分とは異なる意見と向かい合い議論する中で、道徳的価値観について多面的・多角的に学び、実践に結び付けながらさらに習慣化していく指導へ転換することが重要」と話した。

　また、「問題解決する資質・能力としての道徳性を育むことが大切」とし、知識理解や技能の習得、思考力・判断力・表現力、学び合う力、人間性などを育成するよう呼びかけた。

　さらに、「今後、グローバル化し情報化する知識基盤社会に対応するには従来の知識・技能を習得するだけでは不十分」と指摘。これから求められる能力として、①答えのない問題に最善解を導ける能力②分野横断的な幅広い知識と俯瞰力③別の問題場面にも適用できる汎用力―の三点を挙げた。

　このほか、具体的な実践例をもとに、現場で役立つ道徳の教科化に向けた最新の情報を伝えた。

(市町村 2016-09-08付)