2定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年7月5日)(道議会 2016-09-14付)
二定道議会予算特別委員会(七月五日開催)における大越農子委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、村上明寛総務政策局長、成田直彦教育職員局長、河野秀平教育政策課広報・情報担当課長、川端雄一学校教育局参事(生徒指導・学校安全)、中島康則福利課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆スクールカウンセラー
大越委員 熊本県では大地震のあと、「眠れない」「イライラする」「天井が落ちてくるのではないかという不安が離れない」「自宅に入るのが怖い」などといった不安を訴える子どもが多いことが指摘されている。
特に、震度7に襲われた益城町では、そのような状態にある児童生徒が、二〇%を超える。そのため、熊本市教委では、全国から派遣を受けた臨床心理士を、すべての中学校区にスクールカウンセラーとして配置し、また、熊本県教委も益城町や南阿蘇村などに追加派遣したと伝えられている。
また、学校での生活においても、子どもたちが成長過程で直面する、小一プロブレムや中一ギャップ、高一クライシスと呼ばれる様々な問題や、いじめ・不登校などへの対応、さらには、問題行動の未然防止という観点からも、スクールカウンセラーが果たす役割は、極めて大きなものがあると考える。
そこで、以下、伺っていく。
まず、スクールカウンセラーの人数および配置校数について。二十一年の第四回定例会の予算特別委員会において、わが会派の議員が、いわゆる中一ギャップなど児童生徒の問題行動に関連して、スクールカウンセラーの重要性について質疑したところ、道教委からは、「スクールカウンセラーの担い手の確保に向け取り組んでいる」との答弁があった。
そこで、道内で任用しているスクールカウンセラーの人数および配置校数は、二十年度と比べて、どれくらい増えたのか伺う。また、スクールカウンセラーが配置されている学校の割合は、学校種別ごとにみた場合、どのような状況になっているのか、併せて伺う。
川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) スクールカウンセラーの人数および配置校数等について。道教委が任用しているスクールカウンセラーの人数については、二十七年度において、すべての校種を合わせて百五十五人で、二十年度の八十五人と比べ七十人の増加となっている。
また、スクールカウンセラーが担当する配置校の数については、二十七年度において三百五十五校であり、二十年度の二百九校と比べ、百四十六校の増加となっている。
つぎに、全学校数に対する配置校の割合については、二十七年度において、小学校が、八百九十五校に対して十三校の配置で、割合は一・五%、同じく中学校は、五百十三校に対して二百六十校で五〇・七%、中等教育学校は、一校に対して一校で一〇〇%、高校は、二百三校に対して七十四校で三六・五%、特別支援学校は、六十校に対して七校で一一・七%となっている。
―再質問―
大越委員 小学校の割合が一・五%、中学校が五〇・七%ということで、非常に少ないという印象をもつ。
道内でも五年七月、南西沖地震とそれに伴う巨大な津波や火災によって、奥尻町を中心に、死者、行方不明者が二百三十人という大きな被害を受けた。肉親や友達を失った子どもたちも多かったと聞いているが、その当時は、そういった子どもたちに寄り添うカウンセラーの必要性などについては話題にならなかったと聞いている。
もし、本道で南西沖地震や熊本地震クラスの大震災が発生し、子どもたちが心に大きな影響を受けた場合、答弁にあったカウンセラーの体制で十分に対応できると考えるのか伺う。
川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 大震災が発生した場合のスクールカウンセラーの体制について。道教委においては、先ほど答弁した配置校とは別に、生徒指導などにかかる緊急事態が発生した場合には、スクールカウンセラーを全道から緊急派遣できるようにしており、昨年度は、百五十四回の派遣をした。
なお、今後、委員指摘のような震災等の重大事態が発生した場合には、これまでの緊急派遣に加え、道教育カウンセラー協会や日本学校教育相談学会道支部などの関係団体のほか、他の都府県などに対して、スクールカウンセラーを派遣要請するなどの対応を想定している。
大越委員 関係団体や他の都道府県などと連携して対応していくということであったから、しっかりと対応していただきたい。
スクールカウンセラーは、高度な知識や経験が必要とされる専門職。本道においては、広域性などの地域特性から、同じように専門性が求められる医師についても人材確保が指摘されて久しい。スクールカウンセラーの人材確保に当たっても、道内特有の課題もあると聞くが、道教委として、任用にかかる課題についてどのように認識しているのか伺う。
川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 任用にかかる課題について。道教委においては、スクールカウンセラーは、地域に在住する人材を活用することを基本としており、昨年度任用したスクールカウンセラー百五十五人のうち、臨床心理士の資格を有する者は、九十八人となっており、その多くが都市部に集中していることから、郡部において、有資格者の確保が困難となる地域もある。
このような現状を踏まえ、道教委においては、可能な限り有資格者の確保に努めているが、確保できない地域においては、児童生徒を対象とした相談業務について、一定期間の経験を有する退職教員等を「準ずる者」として任用し、各種研修会等を通じて、相談に関する知識や技能等の向上を支援してきている。
さらに、昨年度から、道教育カウンセリングICT活用事業を展開し、児童生徒や保護者、教員、市町村教委職員などがインターネット上で心理・福祉等の専門家による教育相談や指導・助言を受けることができるようにするなど、相談体制の充実に努めている。
大越委員 二十七年十二月二十一日の中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」において、生徒指導上の課題解決のための「チームとしての学校」の中で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用が示されている。国および道教委のスクールカウンセラーの配置に関する考え方について伺う。
川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 配置についての考え方について。国においては、生徒指導上の問題解決に向け、教員に加え、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを活用しながら、子どもたちの様々な情報を整理し、チームで支援を行う「チーム学校」が重要であるとの認識のもと、三十一年度までに、すべての公立小・中学校にスクールカウンセラーを配置することを目標としている。
このことを踏まえ、道教委においては、スクールカウンセラーの配置拡充に向け、国の補助事業等を活用し、希望があった学校に可能な限り配置することを目指してきている。
本年度は、配置希望のあった小・中学校および特別支援学校、中等教育学校の三百二校すべての学校に、また、高校については、希望に対し七割以上の学校に配置できる見込みとなった。
大越委員 ただ今の答弁で、希望のあった小・中、特別支援学校への対応は一〇〇%、高校は約七割の学校に配置できたとのことであった。しかし、問題行動の発生状況からみると、そもそも、希望する学校が少ないのではないかと考えるが、この点について、どう考えるのか見解を伺う。
川端学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 配置希望について。道教委としては、児童生徒の問題行動の背景には、多くの場合、心の問題と子どもたちの置かれている環境が複雑に絡み合っており、単に問題行動のみに着目して対応するだけでは、問題の解決には至らないことから、スクールカウンセラー等による教育相談を行い、定期的に児童生徒の悩みや変化を把握することが重要であると考えている。
今後においては、市町村教委と連携の上、配置率が低い小学校に対して、希望の少ない理由を十分把握するほか、スクールカウンセラー等の教育相談によって、児童生徒の悩み等を早期に発見し、適切に支援できた事例などを紹介するなどして、配置の拡充に努めていきたい。
大越委員 配置の拡充に努めていくということであるが、文部科学省の調査によれば、スクールカウンセラーの配置の主な成果として、「学校の教育相談体制の強化」「不登校の改善」「問題行動の未然防止、早期発見・早期対応」などが挙げられている。
また、調査対象の九六%の学校が、「必要性を感じている」としており、配置の拡充や資質の確保が望まれているという。
本道においても、同様の課題が指摘されていると聞いており、その改善に向けて、スクールカウンセラーのさらなる配置拡充が重要であると考えるが、道教委の見解を伺う。
柴田教育長 スクールカウンセラーの今後の配置の在り方について。道教委としては、より困難度を増している生徒指導上の問題に学校が的確に対応していくためには、教職員が心理や福祉等の専門家や関係機関、地域と連携し、チームとして課題解決に取り組むことが必要であると考えており、特に、教育相談等を担うスクールカウンセラー等の役割は、以前にも増して重要であると認識している。
スクールカウンセラーについては、これまでも、国の補助事業を活用し、希望のあった学校に可能な限り配置してきたが、今後は、国において、三十一年度までに、すべての公立小・中学校にスクールカウンセラーを配置するという目標を掲げていることを踏まえて、さらなる配置の拡充について、国に強く求めていくとともに、希望のある学校への配置をより充実させるため、任用形態や運用などについて工夫改善を図っていく。
―指摘―
大越委員 中教審は昨年十二月に、「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策」について答申を行った。
その中では、具体的な方策として、「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを、学校等において必要とされる標準的な職として、職務内容等を法令上明確化すること」および「日常的に相談できるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充、資質の確保について検討すること」を、国に求めている。
また、ことし四月一日に閣議決定された「第三次犯罪被害者等基本計画」においては、被害者少年等に対する学校におけるカウンセリング体制の充実等に関して、「三十一年度までにスクールカウンセラーを全公立小・中学校に配置し、スクールソーシャルワーカーも全公立中学校に配置することによって、学校における教育相談体制を充実させること」が挙げられており、さらには、「大学の教職課程にカウンセリングに関する教育、および教員に対するカウンセリングに関する研修内容を含めるなど、その内容の充実を図るよう促す」という、より具体的な方策も示された。
道教委においても、このような国の方向性を踏まえ、災害等の被害やいじめ、不登校、非行など、様々な要因によって心の傷を負った子どもに対して、十分なケアが行われる体制づくりに向け、教育総合会議において知事としっかり協議するなどして、積極的に取り組むべきであると申し上げておく。
◆ストレスチェック
大越委員 文科省が実施した二十六年度公立学校教職員の人事行政状況調査によると、教育職員の精神疾患による病気休職者数は、十九年度以降、全国では五千人前後で推移しており、メンタルヘルス対策の充実が喫緊の課題となっていることが明らかとなっている。
病気休職では精神疾患の占める割合が高いと伺っているが、道内の公立学校における教育職員の過去五年間の状況はどうなっているのか伺う。
中島福利課長 精神疾患の状況について。札幌市を除く道内公立学校における過去五年間の教育職員の精神疾患による病気休職者数は、二十三年度は、病気休職者三百五十八人のうち二百四十六人で六八・七%、二十四年度は、三百十二人のうち二百二十人で七〇・五%、二十五年度は、三百二十四人のうち二百十六人で六六・七%、二十六年度は、三百二十七人のうち二百十七人で六六・四%、二十七年度は、二百九十九人のうち百九十三人で六四・五%となっており、精神疾患による病気休職者は、減少してきているものの、病気休職者全体に占める割合は、六割を超える状況が続いている。
―再質問―
大越委員 精神疾患による病気休職者の割合は、六割を超える状況が続いているとのことであるが、随分多いという印象を受けた。精神疾患となった要因については、どのように把握しているのか伺う。
また、休職者の復帰に当たっては、状態によって勤務の軽減を図るなどの配慮が必要なケースもあるのではないかと考える。精神疾患による病気休職から復職する場合、どのような配慮が行われているのか伺う。
中島福利課長 精神疾患となった要因などについて。精神疾患は、仕事などの「環境」や完璧主義といった「本人の性格」、さらには、「遺伝」や「慢性的な身体疾患」などが発生要因と考えられているが、道教委が行っている、休職者の職場復帰のための健康判定審査における対象者からの聞き取りでは、仕事への負担感、特別な配慮・支援が必要な生徒指導、職場の人間関係などの業務上の要因のほか、家族の介護負担や体調不良等の業務以外の要因が挙げられている。
また、職場復帰に当たっては、健康判定審査において、休職者本人の面談の際に、所属長や家族も同席し、医師から、業務の負担軽減など復帰後の勤務の在り方や家庭での過ごし方等に関するアドバイスを行うなど、再発することがないように配慮している。
大越委員 労働安全衛生法が改正され、本年度からストレスチェック制度が義務化されたと承知している。道内の公立学校における実施状況はどのようになっているのか伺う。
中島福利課長 ストレスチェック制度の実施状況について。労働安全衛生法の改正によって、労働者が五十人以上の事業場での実施が義務化されたが、道教委としては、道立学校において、病気休職者に占める精神疾患による休職者の割合が、依然として高く推移していることから、メンタルヘルス不調の未然防止を図るため、本年度から、すべての道立学校の教職員を対象にストレスチェックを実施することとしている。
また、市町村立学校については、ことし五月に札幌市を除く道内の市町村教育委員会に意向調査を実施したところ、二十八年度からは三十市町村、また、二十九年度からは九市町村が実施予定としており、実施時期を検討中とした二十市町村と合わせて五十九市町村がストレスチェック制度の実施を予定している。
一方、教職員数が五十人以上の学校がないことなどから、現時点で、百十九市町村が実施を予定していない。
大越委員 教職員数五十人以上の学校がないので、百十九市町村が実施を予定していない。ストレスチェック制度は、職員が五十人以上の事業所に実施が義務付けられているもの。全職員数が五十人以上の学校は実施義務があるけれども、五十人未満であれば実施しなくてもよいということにもなり得る。実態に合ってないのではないという印象をもつが、そこで伺う。
二十七年度の精神疾患による病気休職者の所属する学校について、職員が五十人以上の学校と五十人未満の学校を比較するとどうなっているのか伺う。
中島福利課長 学校規模別の精神疾患による病気休職者の状況について。二十七年度における札幌市を除く公立学校においては、小・中学校では、職員数が五十人以上の学校が十六校あり、精神疾患による病気休職者は二人、五十人未満の学校が一千三百四十九校あり百二十八人、また、高校・中等教育学校および特別支援学校では職員数が五十人以上の学校が百十六校あり四十人、五十人未満の学校が百七十二校あり二十三人となっている。
大越委員 小・中学校ではほとんどの市町村が五十人以下ということであるから、基本的には、すべての市町村に義務付けるべきではないかと思っているが、道内の学校では職員数が五十人未満の学校における精神疾患による休職者数が圧倒的に多い状況である。ついては、市町村立学校においても道立学校と同様、規模にかかわらずストレスチェックを実施すべきと考えるが、見解を伺う。
成田教育職員局長 市町村立学校におけるストレスチェックについて。ストレスチェック制度は、教職員自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場環境の改善につなげ、メンタルヘルス不調を未然に防止することを目的としており、教職員の心の健康の保持増進を図る上で、極めて重要な取組であると認識している。
ストレスチェック制度は、労働者が五十人未満の事業場では努力義務とされているものの、ことし三月の文科省からの通知の中で、同制度にかかわって、「学校等の規模にかかわらず、すべての学校等において適切に実施されるよう指導されたい」旨示されており、道教委としては、その旨、各市町村教委へ通知することはもとより、教委連や各種校長会に対しても、周知を図ってきている。
道教委としては、今後とも、道立学校の取組について情報提供するなどして、学校規模にかかわらず、すべての教職員を対象にストレスチェックが実施されるよう、市町村教委に対し、様々な機会を通じて働きかけていく考えである。
―指摘―
大越委員 現時点で未実施としている市町村は百十九市町村にのぼっているが、道教委としては、すべての市町村で実施されるよう理解を求めていくということである。病気で休職する先生方のうち、精神疾患が原因という方が六割を超える状況が続いているという答弁があった。どんな病気もそうであるが、早期発見、早期治療が何より大切である。精神疾患は痛みなどの自覚症状もなく、人によっては状態がかなり悪化するまで家族を含め、周りの人たちも気づかないことも多いと聞く。
そのようなことを考えれば、すべての学校でストレスチェックを実施すべきと申し上げる。
◆情報の安全管理について
大越委員 佐賀県教委が管理している学校教育ネットワークに不正アクセスがあり、不正にアクセスした生徒の自宅パソコンから県立学校関連のファイルが発見され、約一万人分の個人情報が含まれていた。道教委でも、校務支援システムを導入しており、こうした事件が発生したことについてどう考えるのか、道教委の見解を伺う。
村上総務政策局長 佐賀県の学校教育ネットワークに対する不正アクセスについて。県教委の発表によると、学校教育ネットワークに対する不正アクセスによって、県立学校九校の校務用サーバーに保存されている生徒・教職員等の氏名などの個人情報や成績関連書類などが抜き取られたほか、教育情報システム上の教職員や生徒のID、氏名などの情報が窃取された。
道教委としては、佐賀県におけるネットワークシステムの詳細なセキュリティ対策については承知していないが、児童生徒等の成績などの重要な個人情報が外部へ流出することはあってはならないことであり、学校や教育委員会では、常に危機感をもって、情報セキュリティ対策に当たらなくてはならないと、あらためて認識した。
大越委員 現在、道教委が運用している教育情報ネットワークシステムにはどのようなものがあり、どう活用しているのか伺う。
河野教育政策課広報・情報担当課長 教育情報に関するネットワークシステムについて。道教委では、十四年度から、道立学校と道立の教育関係機関を接続したほっかいどうスクールネットを整備し、教職員および生徒が教育用教材の検索や電子メール、Eラーニングの受講、電子会議などに活用しており、セキュリティ対策としては、メールの送受信時のウイルスチェックや、不正なサイトにアクセスしないようフィルタリングなどを行っている。
また、二十四年度には、道公立学校校務支援システムを導入し、道立学校と一部の市町村立学校において、教職員が児童生徒情報の共有、出欠情報の管理、成績処理等の業務に活用しており、このシステムでは個人情報を管理していることから、厳格なセキュリティ対策に努めている。
なお、両システムは、それぞれ独立しており、システムやデータは異なるデータセンターのサーバーにおいて管理している。
大越委員 道教委の校務支援システムについては、すべての道立学校と一部の市町村立学校に導入されているが、同じような事態が本道で起こることが懸念される。情報セキュリティは十分に確保されているのか伺う。
河野教育政策課広報・情報担当課長 校務支援システムにおける情報セキュリティ管理について。このたび、不正アクセスの被害があった佐賀県のシステムは、インターネットからもアクセスが可能であるとともに、教材を活用するため、教職員のほか、児童生徒からもアクセスが可能な仕組みになっている。
一方、道教委の校務支援システムは、専用回線に接続した校務用パソコン以外からはアクセスできない設計としているほか、当該学校に所属する教職員以外は、閲覧できない仕組としている。
このたびの佐賀県の事案を受け、道教委の校務支援システムにおけるシステム委託事業者に同様の情報流出が起こる可能性について点検させた結果、現時点では、佐賀県のような不正アクセスは起こらないとの報告を受けているが、引き続き、システムの運用を含め、セキュリティ対策に万全を期していきたい。
大越委員 セキュリティ対策に万全を期すということであるが、学校の校務の効率化を図るとともに、児童生徒の必要な情報を共有することによって、教育の質の向上にもつながる校務の情報化は極めて重要である。こうした施策を進めていくためには、個人情報の保護が前提になると考えるが、市町村立の小・中学校でも校務支援システムが使われていることも踏まえ、道教委としては、どのように対応していこうと考えているのか伺う。
柴田教育長 学校における情報の安全管理に関する今後の対応について。校務支援システムにおいては、IDとパスワードによる個人認証を厳格に行うほか、住民基本台帳や住民税などの処理システムと同様の方式を採用し、通信内容に高度な暗号処理を施すとともに、サーバーへの侵入を防ぐ措置を何重にも講じるなど、総務省が定めた情報セキュリティ対策ガイドラインに基づき、個人情報の保護に万全を期するよう努めている。
こうした中、他の自治体や民間企業において、外部からの不正アクセスによるウイルス感染や標的型メール攻撃による個人情報の流出事故が多発している状況を踏まえて、現在、道立学校におけるセキュリティ対策の取組状況について調査を行っている。
今後、この調査結果を踏まえ、一層の点検・改善に取り組むとともに、市町村教委に対しても、こうした道教委の取組を周知するなどして、情報セキュリティ対策に万全を期すよう働きかけていく考えである。
―指摘―
大越委員 情報セキュリティ対策においては、ハード・ソフト両面から厳格な対応が求められることはもちろんであるが、最もこわいのはヒューマンエラー。それを取り扱う教職員等の意識が重要である。
パソコンの側にID、パスワードなどのメモを無造作に置いたり、操作中の画面をそのままにして席を立ってしまったりするなど、ちょっとした不注意が重大事故につながるおそれがあるという基本的なことを、この機会にあらためて職員一人ひとりがしっかりと認識すべきであると強く申し上げる。
(道議会 2016-09-14付)
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