2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月27日)
(道議会 2016-08-23付)

 二定道議会一般質問(六月二十七日開催)における佐々木恵美子議員(民進党・道民連合)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長の答弁の概要はつぎのとおり。

◆高校受検について

佐々木議員 この春の高校入学者選抜において、定時制の受検生が、出願者が定員に満たないのにもかかわらず、不合格となる事例が発生した。一次試験を受けられず、二次試験を病室で受けたが、不合格。そのあと、二次後と呼ばれる追加募集の病室受検で不合格、さらに、追加募集の試験を受けて不合格となった。

 出願者が定員に満たないのに、学力を問わない面接のみの入試において、不合格となり続けた理由は何なのか伺う。

柴田教育長 高校入学者選抜に関し、不合格の理由について。入学者選抜における特定の個人の合否の理由等については、個人情報に関することであり、答えることはできないが、高校の入学者選抜については、国の通知において、各高校、学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものとされており、このことを踏まえ、道教委においては、選抜の具体的な方法等について、道立高校入学者選抜実施要項に定め、これまで、入学者選抜を実施してきている。

 この入学者選抜実施要項において、定時制課程の選抜は、個人調査書および学習成績一覧表に加え、面接の結果をもとに行うこととしており、合否については、各学校で設置する「入学者選抜委員会」が作成した原案を職員会議において審議したのち、最終的に校長が総合的に評価して判定している。

佐々木議員 この受検生には、障がいがある。この四月から、障害者差別解消法が施行された。そのさなかに、障がいを理由に不合格とした、不当な差別的取扱いを行った、「障害者差別」があったと言わざるを得ない。誰に対しても学ぶ権利や機会は平等であるべきと考えるが、道教委の認識を伺う。

柴田教育長 定時制における入学者選抜について。道教委では、入学者選抜を受ける機会を広く確保する観点から、これまで、「特別な配慮を必要とする障がいのある生徒」が出願しようとする場合には、道立高校入学者選抜実施要項において、「在籍中学校長は出願しようとする高校長にその事情を説明し、当該高校長は学校教育局高校教育課長と協議すること」と定めており、これまでも、事前に生徒、保護者、中学校、高校のほか、必要に応じて関係者が加わるなどして、協議した上で、特別な配慮を行ってきた。

 各高校においては、こうした配慮を行った上で、実施要項に基づき入学者選抜を行い、合否については、職員会議での審議を経て、校長が総合的に評価して判定している。

佐々木議員 障害者差別解消法の理念を理解した上での合理的配慮をどのように考えているのか伺う。

高橋知事 障害者差別解消法などについて。この法律は、すべての国民が、相互に人格と個性を尊重し合いながら共に生きる社会を目指し、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供を義務付けるなど、障がいを理由とする差別の解消に向けた対応が求められているものと認識する。

 私としては、こうした理念を踏まえ、合理的配慮を必要とする児童生徒においては、一人ひとりの障がいの状況等に応じ、必要かつ合理的な範囲で対応がなされるよう、本人およびその家族、学校関係者等が対話を重ね、相互理解を図りながら適切と思われる配慮を行うことが大切であると考える。

柴田教育長 障害者差別解消法の理念などについて。「障害者差別解消法」は、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげることを目的として制定され、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供が義務付けられているものと承知している。

 また、法令の中では、「合理的配慮」とは、障がいのある方が日常生活や社会生活で受ける様々な制限をもたらす原因となる社会的障壁を取り除くために、障がいのある方に対し、個別の状況に応じて行われる配慮であり、学校教育においては、生徒および保護者、学校関係者等が対話を重ね、相互理解を通じて適切な配慮が行われることが大切であると考えている。

佐々木議員 今回の決定が、道民に与えた影響は非常に大きい。障がい者と共に学び、ともに生活をする共生社会を本気でつくっていく姿勢を知事として示すべきと考えるが、今回の定員内不合格について、どのように考えているのか伺う。

高橋知事 入学者選抜について。私としては、障がいのある方もない方も、お互いに理解し、尊重し合いながら、ともに暮らす社会をつくるためには、障がいのある子どもたちの特性を踏まえた教育を受けられる機会を確保していくことが大切であると考える。

 また、高校の入学は、法令によって校長が許可するものとされている中、道教委では、出願者が募集人員に満たない場合においては、特別の支障がないかぎり、全員を入学させるように配慮するよう、各学校に指導しているものと承知している。

 入学者選抜の実施における、いわゆる定員内不合格については、公正・公平な入学者選抜を行うという観点に立ち、合理的な配慮のもと、学校が個人調査書や面接の結果等を総合的に評価して判断したものと考える。

 いずれにしても、丁寧に生徒や保護者などとの相談も重ねながら、本人や家族が不安なく受検に向けて取り組むことができるよう、配慮に努めていくことが大切と受け止める。

佐々木議員 道教委が行っている「特別な配慮を必要とする生徒の受検に関する事情説明書」は、障がいのある受検生に対する「合理的配慮」を実施するもの。これまで、希望した合理的配慮が認められなかった事例がいくつかあると伺っている。どのくらいの申請があり、どのくらいの実施状況にあるのか伺う。

 また、今回の定員内不合格でも、「他の受検生との公平性」を理由に、申請された合理的配慮が認められなかったと聞いている。追加募集に関しては、ほかに受検生がいるわけではなく、一人で病室で受検し、不合格となった。誰と何を公平にするために認めなかったのか伺う。

柴田教育長 特別な配慮について。道教委においては、これまでも入学者選抜実施要項に基づき、特別な配慮の必要性やその具体的な内容等について、生徒や保護者、中学校、高校、関係者等で事前に協議の上、入学者選抜の目的に本質的な変更を及ぼさないことなどに留意しながら、特別な配慮を行ってきた。

 こうした中で、二十八年度入学者選抜においては、延べ百三十一人について、特別な配慮に向けた協議を行い、具体的には、面接における筆談やうなずきによる回答のほか、病院における受検などの配慮を行ったが、一方、面接日以前にあらかじめ質問用紙を渡し、それに記入して提出することや、面接時における受検者の発言の趣旨を補足説明するための介助者を配置することなどについては、入学者選抜の目的である、それぞれの高校等の教育を受けるに足る能力・適性等の判定に的確性を欠くおそれがあると判断し、特別な配慮を行わなかった。

佐々木議員 障害者差別解消法では、行政機関が合理的配慮を求められたときに実施することは、義務とされている。合理的配慮を断れるのは、過重な負担になる場合などだが、文部科学省が私立学校などに示している対応指針でも、代替措置の選択も含め、建設的対話によって相互理解し、柔軟に対応することが書かれており、公立の学校には当然、それ以上のものが求められる。

 さらに、合理的配慮とは、障がいのない人と実質的な平等を確保し、同じスタートラインに立つ、同じ土俵に立つためのものであり、公平性を担保するためにあるもの。一人ひとりの障がいの状況に合わせて行われるものなので、十人十色であり、求められたものと違う内容であったり、過不足があっては、配慮したことにはならない。受検時の公平性を言うのであれば、少なくても、中学校で実施してきた合理的配慮については、当然行うべきと考えるが、見解を伺う。

柴田教育長 受検時の特別な配慮について。入学者選抜においては、生徒や保護者、中学校、高校、関係者等で事前に協議の上、行っており、例えば、座席の配慮や筆談など、中学校が受検者に対して行ってきた配慮の内容も参考にしながら、実施してきた。

 今後においては、受検者一人ひとりの状況等に応じて、一層、丁寧に相談などを重ねながら、本人や保護者が不安なく受検に向けて取り組むことができるよう合理的配慮に努めていく考えである。

佐々木議員 対応要領は、日常的に接することとなる場合や合理的配慮を求められたときなどの、具体的な対応や考え方についての記載がまったく乏しく、表面的な内容になっている。

 今回、障害者差別解消法の施行に際し、道教委として、説明会や研修会を設けたのか。設けたとするならば、どのような内容で、誰を対象にしたものであったのか伺う。

 法の趣旨が理解できていないから、このようなことになったのではないか。今後、このようなことがないようにするため、できたばかりの対応要領ではあるが、早急な見直しが必要ではないかと考えている。道教委の見解を伺う。

 特に、受検に関して、入選の実施要項などに合理的配慮について明記するとともに、受検生側にも、障がいがあっても合理的配慮によって公正・公平に受検することを周知し、入学願書の合理的配慮の希望の有無を確認する欄を用意するなど、差別解消法が施行されたことを施策に反映することが当然必要と考えるが、見解を伺う。

柴田教育長 職員対応要領等について。道教委では、障がいを理由とする差別の禁止や合理的配慮の提供について、職員が適切に対応するため、知事部局と連携しながら、障害者関係団体等の意見なども踏まえ、職員対応要領をことし二月に作成し、道立学校を含めたすべての道教委所管の部局において、全職員を対象とした職場研修を実施した。

 今後は、さらに、学校の教育活動などにおける合理的配慮の事例を取りまとめ、あらゆる機会を通じて周知するなどして、障害者差別解消法の趣旨を踏まえた取組が行われるよう指導していく考えである。

 また、受検者に対する特別な配慮については、中学校、高校等において、受検者一人ひとりの状況を踏まえ、丁寧に教育相談が行われることが大切であると考えており、今後、道教委においては、指摘を踏まえ、障がいのある生徒の希望をより確実に把握することができるよう、入学願書に特別な配慮の希望について記載する欄の設定や、具体的な記入方法などについて検討するとともに、相談窓口の拡大や、保護者への周知を徹底するなど、生徒や保護者が受検に対する不安や悩みを相談しやすい体制づくりに取り組んでいく。

佐々木議員 今回の件は、明らかに「障害」を理由とする不合格であり、差別であったと言わざるを得ない。今後、障がいを理由にした定員内不合格は出さない、「障害者差別」との疑念を抱かれるような事態は避けると宣言すべきではないか。今後の受検生に安心して受検していただくことが必要ではないかと考えるが、道教委の見解を伺う。

柴田教育長 今後の対応について。義務教育の基礎の上に高度な教育を施すことを目的としている高校においては、それぞれの学校や学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定する入学者選抜を行ってきており、道教委としては、こうした入学者選抜の目的を踏まえた上で、出願者が募集人員に満たない場合については、特別の支障がない限り、全員を入学させるよう配慮することについて、引き続き、学校に指導していく考えである。

 また、障がいのある生徒が受検するに当たって、特別な配慮を希望する場合には、これまでも、事前に協議を行ってきたが、今後は、より丁寧な合意形成を図る観点から、協議の在り方や特別な配慮の在り方などについて、専門的な立場の方からの意見を求めるなどして、障がいのある生徒が安心して受検できるよう、よりきめ細かな対応に努めていく。

―再質問―

佐々木議員 全道で、同じような障がい者の生徒が、全日制、定時制を問わず、普通学校で学び、卒業している事例がいくつもある。その中で、この受検生だけが不合格になったことは、配慮が十分でなかったということではないか。どこの高校を受検しても、差別解消法の理念を十分理解した上での、合理的配慮が行われるべき。地域の格差や学校間格差のない教育行政があるべきと考えるが、教育長に伺う。

柴田教育長 高校入学者選抜に関し、合理的配慮の在り方について。「合理的配慮」とは、障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段および方法について、過重な負担を考慮し、代替措置の選択も含め、互いの話し合いを通じて、合意形成を図りながら必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものであると理解している。

 道教委としては、入学者選抜においても、こうした考え方のもとで、生徒や保護者、中学校、高校および関係者等で事前に十分協議を行いながら、合理的な配慮に努めていく考えである。

佐々木議員 保護者の記録では、障がいを理由にした不合格で、対応要領にある不当な差別的取扱い。法で禁止されている直接差別そのものと言える。さらに、保護者が希望している合理的配慮は否定された。これも差別。二重に差別したことにならないか。二度とこういうことが起こらないよう、早急に具体的な対策が必要だと思うが、見解を伺う。

柴田教育長 入学者選抜における合理的配慮について。障害者差別解消法に基づく合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであることから、道教委としては、入学者選抜の目的に本質的な影響を及ぼさないことなどに留意しながら、事前に関係者が十分協議の上、合理的配慮を行っており、今後とも、受検者一人ひとりの状況等に応じて、より丁寧に相談を重ね、本人や保護者が不安なく受検に向けて取り組むことができるよう、合理的配慮に努めていく。

佐々木議員 合否の判定は、職員会議での審議を経て、校長が総合的に判断しているとの答弁をいただいた。様々なことを総合的に判断することは必要だが、今回のように、出願者が定員に満たない状況にもかかわらず、障がいのある受検生だけが不合格になるというのは、差別があったからではないかと疑念をもたれてしまう。丁寧で、温かみのある対応に努力をしていくことが必要でないかと思うが、見解を伺う。

柴田教育長 合否の判定について。各高校における入学者選抜は、それぞれの学校、学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適性等を判定して行うものであり、定時制課程の合否の判定については、中学校における学習や生活状況を記載した個人調査書および学習成績一覧表に加え、面接の結果をもとに、それぞれの学校が、志望動機や学習意欲、基礎知識、高校進学の目的や将来の進路希望のほか、面接の応答の的確さや問題解決能力など、学校が決めた観点について、総合的に評価し、最終的に校長が判定しているものと承知している。

 なお、生徒の健康の状況等については、合格したあとの学校生活を送る上で必要となる特別な配慮を検討する際の参考としている。

佐々木議員 二次後の追加募集は、不合格になった場合の救済措置的な意味合いが強い。それを二度も行いながら、二度とも落とす。その判断が、本当に教育的であったのかどうか、疑問がもたれる。

 教育者として、学ぶ意欲のある生徒は、高校生活で少しでも伸ばしていくという教育的な視点が必要だと思う。現在も、多くの障がいのある生徒たちが高校生活を送っている。彼らの未来のためにも、障がい者差別をしない、真の合理的配慮をしっかりと行っていく当事者目線で寄り添っていくという宣言をすべきと思うが、見解を伺う。

柴田教育長 第二次募集等について。入学者選抜における第二次募集は、合格者の数が募集人員に満たないとき、または、合格者のうち、入学意思のない者等が出たため、入学予定者の数が募集人員に満たない場合に実施することとしており、受検を希望する生徒の出願があった場合には、当初出願時の入学者選抜と同様に、関係者が協議の上、合理的配慮を行いながら、それぞれの学校や学科の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力や適性等を判定することとしている。

佐々木議員 保護者の記録では、四月一日以前の校長は退職し、新しい校長は、本人に一度も会っていないという。試験後にも、会うことを拒否し続けていると聞いた。理由は何か。試験をただ繰り返すだけではなく、両親としっかりと教育相談しながら、行き先がなくなることがないように調整することが、教育者として必要だったのではないか。

柴田教育長 校長の対応について。入学者選抜において、校長は最終的に合否を判定することになることから、事前に特定の受検生と面会したり、面談したりすることは、公平・公正の観点から、一般的に行われていない。また、入学者選抜実施要項において、特別な配慮の要望に対する回答や合格者の氏名等の通知など、選抜に関する手続きは、高校と中学校との間で行い、原則として、中学校から生徒や保護者に伝えることとなっている。

 なお、学力検査の得点に関する情報の開示に対しては、高校において、本人および保護者に対し、口頭で回答することになっており、その際には、担当教諭や管理職が対応していると承知している。

佐々木議員 この保護者は、入選の対応に疑問を抱いて、入選の合否にかかわる公文書を開示請求した。しかし、出てきた公文書は、黒塗りにされている。開示請求している本人の発言が、なぜ本人に開示できないのか。職員会議の記録、教務の原案提示や入選委員会の原案どおり決定した記録もあるので、その原案を開示請求したところ、口頭による発表で文書を作成していないとされた。文書もつくっていない対応、決定に問題がなかったのか伺う。

柴田教育長 定時制課程の入学者選抜にかかる資料の開示について。入学者選抜において使用される資料は、個人調査書、学習成績一覧表、面接調書であり、これらについて開示請求があった場合、個人調査書については全面開示、学習成績一覧表は、ほかの生徒を除き本人部分について開示しており、面接調書については、受検者の回答した内容に併せて、合否にかかわる判断が記述されていることから、開示によって、その判定基準が明らかとなり、適切な評価を行うことが困難になるおそれがあるため、道個人情報保護条例の規定に基づき、一部を非開示としている。

 また、合否については、各学校で設置する「入学者選抜委員会」が作成した資料をもとに、職員会議において審議したのち、最終的に校長が総合的に評価し判定しているものと承知している。

―再々質問―

佐々木議員 対応要領には、差別解消法は、障がいのある方に対する不当な差別的取扱いおよび合理的な配慮の不提供を差別と規定する。行政機関においては、差別の解消に率先して取り組む主体として、差別の禁止と合理的配慮の提供が法的義務となっていると書いてある。法律の趣旨や意義を含めて徹底するよう、しっかりと取り組んでいただきたい。

 この対応要領も含め、マニュアル的なものをつくると、どうしても対象者や対応が限定されてしまう。当てはまらないような場合もいろいろ出てくる可能性がある。柔軟に対応することを徹底する必要があるのではないか。

 障害者差別解消法の範囲は、社会生活、日常生活全般であることを考えると、道教委は、特に、学校、社会生活施設で、障がいの種別、程度で差別することなく対応していく必要があるのではないかと考えるが、見解を伺う。

柴田教育長 障害者差別解消法の趣旨の徹底について。道教委では、職員対応要領に基づき、道立学校など道教委所管のすべての所属において、全職員を対象とした職場研修を実施したほか、道教委の職員研修計画における職場研修の重点事項として、「障がいのある方へのよりよい対応」を位置付けた。

 今後は、さらに、学校や社会教育施設など道教委所管のすべての所属において、施設や事業に応じた対応の手引きや、合理的配慮事例集を整備するなどして、障がいのある方への対応について、職員がより一層理解を深める取組を推進していく。

佐々木議員 本人、保護者の選択権を保障することが必要ではないか。

柴田教育長 入学者選抜について。生徒、保護者においては、出願先の高校を、中学校における進路指導のもとで選択しており、各高校においては、受検に際し、特別な配慮の要望がある場合には、事前に生徒、保護者、中学校、高校のほか、必要に応じて医療の関係者が加わるなどして、協議した上で、特別な配慮を行っている。

 道教委としては、今後も、障がいのある生徒や保護者が受検に対する不安や悩みを抱くことがないよう、よりきめ細かな配慮が行われるよう努めていく。

佐々木議員 道教委の言う公平・公正には、障害者差別解消法とのずれがあるのではないか。

柴田教育長 合理的配慮の在り方について。道教委としては、障害者差別を禁止し、共生社会の実現を目的とする障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、入学者選抜において、障がいのある生徒が安心して受検できるよう、障がいや合理的配慮の在り方などについて、教職員の理解をより一層深めることはもとより、生徒や保護者が受検に対する不安や悩みを相談しやすい体制づくりに取り組むとともに、専門的な立場からの意見も聞きながら、生徒一人ひとりの状況を踏まえた、よりきめ細かな配慮が行われるよう努めていく。

佐々木議員 偏見や差別があったのではないか。そのことを認めるべきと考えるが、見解を求める。

柴田教育長 入学者選抜における面接について。面接は、出願者の志望の動機、就学意欲、基礎知識、高校進学の目的や将来の進路希望などを把握し、入学者選抜を行うに当たっての資料として実施してきており、その際には、中学校が受検者に対して実施してきた配慮の内容も参考にしながら、事前に関係者が相談した上で、特別な配慮を行ってきているが、道教委としては、今後、関係者のより丁寧な合意形成を図る観点から、協議の在り方や特別な配慮の在り方などについて、専門的な立場の方からの意見を求めるなどして、よりきめ細かな対応に努めていく。

―特別発言―

佐々木議員 不合格の理由は、障がいそのものではなか。そのことを、道教委はどのように考えるのか。

 合理的配慮や支援をしていくとき、本人に聞きながら、建設的に話し合うことは基本中の基本。共生社会をつくるためには、子どものうちから、分けない、身近にある障がいのある子も、ない子も、当たり前のように生活してかかわり合う状態をつくる。教育や教育行政が担う役割は大きい。道や道教委は、模範とならなくてはならない。そのことを肝に銘じて、道政に当たっていただくことをお願い申し上げたい。

柴田教育長 合否の判定について。先ほども答弁申し上げたように、個別の案件については、答えることはできないが、各高校における入学者選抜は、それぞれの学校、学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力・適正等を判定して行うものであり、定時制課程の合否の判定については、中学校における学習や生活状況を記載した個人調査書および学習成績一覧表に加え、面接の結果を基に、それぞれの学校が志望動機や学習意欲、基礎知識、高校進学の目的や将来の進路希望のほか、面接の応答に的確さや問題解決能力など、学校が決めた観点について総合的に評価し、最終的に校長が判定しているものと承知している。

(道議会 2016-08-23付)

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