2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月27・28日)(道議会 2016-08-24付)
二定道議会一般質問(六月二十七日、二十八日開催)における大越農子議員(自民党・道民会議)、吉井透議員(公明党)、加藤貴弘議員(自民党・道民会議)、佐野弘美議員(日本共産党)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長、北村博文警察本部長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆食品ロス問題と学校給食
大越議員 食品ロスに関しては、発達段階に応じて「もったいない」という意識を醸成させていくことが大切であり、そのためには学校において、子どもたちにとっても身近な「給食」を通じて、こうした意識を高めていく取組を進めることが大切であると考える。
第一回定例会の予算特別委員会において、学校給食における残食率の状況などについて道教委に伺った。道教委の調査結果では、主食の残食率が一一%を超えており、中でも、白いご飯の残食率が一四%程度となっているなど、多くの給食が残されていることが判明し、心を痛めている。
道からの答弁では、市町村教委および学校に対し、残食量にかかわる調査結果について周知するとともに、残食率の改善に向けた見直しの観点等を示すなどの指導を行うとのことだったが、その後の取組の状況と、今後、残食率の改善や子どもたちの意識を高めていくために、どのように取り組んでいく考えか、所見を伺う。
柴田教育長 食品ロス問題と食育に関し、学校給食における残食率の改善に向けた取組について。道教委では、学校給食が、児童生徒の成長等に必要な栄養量や食事量を考慮して提供されていることを踏まえ、各学校において、適切な栄養管理や食に関する指導の充実が図られるよう、昨年度実施した残食量の調査結果を参考に、今般、献立や調理方法の工夫、楽しく会食するための環境づくりなど、残食率の改善に向けた見直しの観点等を取りまとめた。
道教委としては今後、各市町村教委および学校に対して、各種会議や指導主事による学校訪問など、様々な機会を通じて、このたび取りまとめた見直しの観点等を周知し、地域や学校ごとの目標の設定など、残食率の改善に向けた適切な栄養管理の取組を促すとともに、児童生徒が食事の重要性への理解を深め、食べ物を大切にする心や感謝の気持ちを育んでいけるよう、食に関する指導の充実に向けて、より一層取り組んでいく。
◆ふるさとキャリア教育事業
吉井議員 道教委では、児童生徒に小学校から高校までの十二年間を通して、地域に密着したキャリア教育を行うため、昨年度から、「小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業」に取り組んでいると承知している。
この事業は、地域や地元企業などの積極的な参加協力を得ることで、児童生徒の社会的・職業的自立に向けた効果はもとより、人口減少が大きな課題となっている地域にとっても、地域や地場産業への愛着心の向上、世代間交流などによる地域全体の活力の向上などの効果も期待できると考える。
教育長は、昨年度の事業の成果と課題をどのように認識し、今後、どのように取り組もうとしているのか伺う。
柴田教育長 小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業について。同事業は、昨年度から、全道十四管内において、同一市町村内に所在する小学校、中学校、高校を研究指定校とし、地方自治体や産業界などの支援をいただきながら、地域の資源を生かした、体系的な職業体験やボランティア活動等を通して、地域の未来を担う人材を育成することを目的に実施しているもの。
昨年度は、小学校から高校まで十二年間のキャリア教育の全体計画を作成するなどして、取組体制を整えるとともに、中学生や高校生が町長と意見交換を行う取組や、企業等の協力を得て、高校生が小・中学生に社会の仕組みを教える体験学習などを行った学校もあり、指定校からは、発達の段階に応じて働くことへの理解が深まった、また、自分たちが住む町やそこでの暮らしなどに対して興味や関心をもつことができたなどの成果が挙げられている。
一方で、小中高の一層の連携が必要であるとの意見もあることから、今後においては、研究指定校における効果的な取組事例を逐次情報提供し、事業の充実を図るとともに、全道規模のフォーラムを開催し、取組の成果を普及するなどして、本道の子どもたちが、職業人、家庭人、地域社会の一員等、様々な役割を担いながら、自分らしい生き方をみつけていくことができるキャリア教育の一層の充実に努めていく。
◆小中学校施設の耐震化
吉井議員 熊本地震の被災地では、今なお六千人以上が避難生活を余儀なくされている。被災地では、幸い学校施設本体が崩壊する被害はなかったものの、一方では、体育館の天井やガラスといった非構造物の損壊によって、避難所として使用できなかった学校施設もあった。
被災時の避難所として地域住民の安全の確保を図る意味からも、耐震化が全国に比べて遅れている現状を踏まえ、早急に対策を講じる必要があると考える。
今回の熊本地震を踏まえ、学校施設の耐震化の現状と課題について、どのような認識をもっているのか、また、今後どのような取組を進めようとしているのか伺う。
柴田教育長 小・中学校の耐震化について。学校施設は、子どもたちの学習や生活の場であるとともに、災害発生時には地域の避難所としての役割も担うことから、安全安心な施設の整備は、極めて重要な課題であると認識しており、本道における学校施設の耐震化率が全国平均を下回る状況となっていることや、熊本地震において、多くの学校が避難所として機能した一方、被害を受けて避難所として使えない事例もあったことから、道教委としては、可能な限り速やかに、耐震化を完了させる必要があると考えている。
こうした中、耐震基準を満たしていない校舎等の改築など、本年度予定していた国庫補助事業の多くが年度当初に未採択となったことから、道教委では、道議会の力添えもいただき、先般、国に対し、財源確保に向けた緊急要望を実施しており、引き続き、市町村など関係機関とも連携し、あらゆる機会を通じて、すべての事業の速やかな採択を求めるとともに、今後、市町村の整備計画を把握し、将来を見据えた計画的な整備が確実に実施できるよう必要な財源の確保について国に要望するなど、学校施設における耐震化の早期完了に向けて、積極的に取り組んでいく考えである。
◆職員の飲酒運転について
吉井議員 「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」を制定し、道を挙げて飲酒運転の根絶に向けた取組を進める中、先般、警察官二人が飲酒運転で逮捕されたほか、振興局の職員も同様に飲酒運転で検挙される事態が発生した。また、教職員の飲酒運転も後を絶たない。極めて遺憾であると考える。再発防止策を含め、知事、教育長、道警本部長の所見を伺う。
高橋知事 職員の飲酒運転について。道議会の全会派が一致して制定された、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」が昨年十二月に施行され、関係機関や道民とともに飲酒運転の根絶に向けて取り組んでいる中、道民の先頭に立って取り組むべき警察官、道職員が、逮捕や検挙される事態が発生したことは、誠に遺憾であり、申し訳なく思っている。道民の皆さんに心からお詫びを申し上げる。
このため、先週、臨時のテレビ会議を開催し、各部長、振興局長等に対し、あらためて交通法規の順守を徹底するよう指示したほか、このたびの事案を踏まえ、情報伝達に加え、公表や処分の在り方を検討するよう指示した。
さらに、今後は、「北海道飲酒運転根絶推進協議会」において、民間企業などとも一層の連携強化を図るとともに、新たな方策として、職員の飲酒運転根絶への意識改革を徹底する取組や交通安全運動への参加などによる実践行動への取組を充実するためのプランを飲酒運転根絶の日の七月十三日までに作成し、道職員による飲酒運転の再発防止に向けた取組を徹底していく考えである。
柴田教育長 飲酒運転の根絶に向けた取組について。道教委としては、飲酒運転は絶対に許されない行為として、繰り返し教職員に対して、機会あるごとに指導してきたが、児童生徒に交通安全を指導する立場にある教職員による飲酒運転が依然としてなくならないことは、学校教育に対する保護者や地域の信頼を損なうもので、誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っている。
道教委としては、各学校において、職員会議や校内研修を通して、教職員への指導をより強化することはもとより、教職員自らが組織するマイカークラブの活動を通じて、交通安全に対する意識の啓発により一層積極的に取り組むほか、飲酒運転をはじめ不祥事が発生した場合の速やかな報告を徹底するとともに、飲酒運転を抑止する観点から公表や処分の在り方を検討するなどして、再発防止に向けた取組を一層強化していく。
北村警察本部長 このたび、飲酒運転を取り締まる立場にある警察官が酒気帯び運転で逮捕される事案が発生したことは、道民の皆さんの警察に対する信頼を著しく損なう、極めて深刻な事態であり、誠に申し訳なく思っている。
今般の事案の発生を受け、私と釧路方面本部長以下の幹部職員が釧路方面各警察署へ緊急巡回指導を実施するとともに、臨時の警察署長会議を開催し、再発防止と信頼回復のための職務遂行について指示等を行った。
道警としては、今後、今回の事案を分析し、若手警察官に対する教養や指導の在り方、平素の職員に対する身上把握・指導監督の方法等についてあらためて点検するとともに、特に、車両を保有している者に対しては、運転状況を踏まえた生活指導や交通法令の順守をはじめとする職務倫理教養を繰り返し行うなど、再発防止に向けた取組を進めていく。
◆教職員の時間外勤務
加藤議員 今日の学校を取り巻く環境が複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大する中、教員の長時間勤務の改善が課題となっている。特に、教員が学習指導要領の次期改訂に向けてアクティブ・ラーニングなどの指導方法の改善に取り組む時間や、児童生徒と向き合う時間を確保し、教員一人ひとりがもっている力を高め、発揮できる環境を整えていく必要があると考えている。
そこで、以下伺う。
本道における教員の時間外勤務については、部活動指導に熱心に取り組んでいることや、複雑化・困難化するいじめ・不登校などへの対応などに大変苦労しており、その結果として、時間外勤務につながっていると考えている。そこで、教員の時間外勤務について、あらためて見解を伺う。
柴田教育長 教職員の時間外勤務等の現状について。学校教育の成否は、子どもたちに直接ふれあう教職員によるところが大きく、特に、広域分散型で小規模校が多い本道においては、教員一人ひとりの果たす役割が大きい状況にあり、今日的な教育課題の解決のためには、教員が情熱をもって、健康に働くことができる環境を整備することが重要である。
このため、道教委としては、二十年度に、「教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査」を行い、その結果を踏まえ、「教育職員の時間外勤務等の縮減に向けた取組方策」を策定し、学校等の事務処理体制の改善、部活動指導の実施体制の検討など、六つの基本方向に基づき、様々な取組を進めてきたが、学校を取り巻く環境が複雑化・多様化する中、教員の時間外勤務等の縮減に向けて、一層の取組が必要であると認識している。
加藤議員 学校を取り巻く環境は大きく変化しており、教員の長時間労働の状況も変わってきているのではないかと思われる。教員の時間外勤務を縮減し、児童生徒と向き合う時間を確保するためには、現状を正しく把握した上で、対応を検討する必要がある。文部科学省においても、近く教員の勤務実態調査を行うと承知しているが、文部科学省の調査は全国のサンプリング調査であると聞いている。ついては、本道の実態をより明らかにするために、道教委としても、文科省の調査内容を参考にするなどして、本道の教員の時間外勤務の実態把握に努めるとともに、市町村教委と情報を共有し、適切に対応する必要があると考えるが、見解を伺う。
柴田教育長 今後の対応について。道教委としては、いじめ、不登校など学校をめぐる課題が複雑化・困難化している中、教員が今まで以上に児童生徒と向き合う時間を確保し、きめ細かな指導ができるよう、取り組む必要があると考えている。
こうした中、ことし六月十七日付で、文科省から学校現場における業務の適正化に関する改善方策の提案や教員の時間外勤務にかかる調査を実施する予定であることが示された。
このため、道教委としても、今後の国の調査内容を踏まえ、本道の実態を把握し、二十年度に実施した調査結果との変化を比較できるよう、独自の調査を行っていく考えである。
その上で、この調査結果や文科省から提案された改善方策などを勘案し、市町村教委などと連携しながら、できるだけ早く時間外勤務等の縮減に向けた具体的な取組を進めていく考えである。
◆小中学校の耐震化について
佐野議員 小・中学校の校舎等耐震化率は八八・二%で、全国四十二位の低さである。全国地震動予測地図の二〇一六年版では、根室市や浦河町がともに前回より二ポイント増え、全国でも危険度が増している。
全国でも遅れている小・中学校の耐震化について、どのようにスピード感をもって取組を強めるのか、認識を伺う。
柴田教育長 小・中学校の耐震化について。学校は、児童生徒の学習や生活の場であるとともに、災害発生時には地域の避難所としての役割も担うことから、安全安心な施設の整備は、極めて重要な課題であると認識しており、これまで、直接、市町村を訪問し、事業の前倒しなどを要請してきたが、市町村においては、学校の統廃合を踏まえた実施時期の検討や財政状況等の理由から、整備に時間を要しており、本道の耐震化率は、全国平均を下回る状況となっている。
道教委としては、可能な限り速やかに耐震化を完了させる必要があると考えており、年度当初において、国に対し、学校施設の整備に関する国庫補助事業の採択と必要な財源確保に向けた緊急要望を実施したが、今後はさらに、市町村の整備計画を把握し、耐震化など将来を見据えた計画的な整備が確実に実施できるよう、必要な財源確保についても国に要望するなど、学校施設における耐震の早期完了に向けて、積極的に取り組んでいく。
―指摘―
佐野議員 市町村においては、厳しい財政事情が、本道における耐震化の遅れの最大の要因になっているのではないか。公立小・中学校の耐震化補助事業を行った香川県では、十年間で耐震化率を三一・二%から九八・四%に引き上げているなど、県単独の補助事業が耐震化を早める効果は証明されている。
可能な限り速やかになどと構えていては、子どもの命を守ることはできない。国の財政措置に頼るだけでは、スピード感をもった対応とはならず、道の単独助成措置についても、知事、教育長は連携して対応すべきと指摘する。
◆教職員による飲酒運転
佐野議員 小学校の教諭が酒気帯び運転の疑いで警察から事情聴取を受け、本人も認めていると報じられた。過去三年間で八事案もの飲酒運転が繰り返されてきたことは、児童生徒に与える影響を考えても、とりわけ重大であるが、認識を伺う。
再発防止の取組などは、道教委と小・中学校教職員の服務監督権をもつ市町村教委が連携して行うべき。どのように取り組むのか、決意を伺う。
柴田教育長 飲酒運転の根絶に向けた取組について。道教委としては、飲酒運転は絶対に許されない行為として、繰り返し教職員に対して、指導してきたが、児童生徒に交通安全を指導する立場にある教職員による飲酒運転が依然としてなくならないことは、学校教育に対する保護者や地域の信頼を損なうもので、誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っている。
道教委としては、市町村教委と連携し、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」制定の趣旨を踏まえた法令等の順守について、各学校において、職員会議や校内研修を通して、教職員への指導をより強化することはもとより、教職員自らが組織するマイカークラブの活動を通じて、交通安全に対する意識改革に、より一層積極的に取り組むとともに、知事部局が策定することとしている新たな取組プランと連動した取組を行うなど、飲酒運転の根絶に向けた取組を一層強化していく。
◆高校生の就職と自衛隊勧誘
佐野議員 先月公表された、全日本教職員組合等の「高校生の就職内定実態調査」によると、昨年、わが会派が道議会で取り上げた、全国でルールに反するような自衛官による戸別訪問が、前年の約二倍にも増加していることが分かった。
自衛隊の募集活動は、学校の協力のもとで、民間事業者と同様に行われるべきと考えるが、あらためて所見を伺う。
柴田教育長 自衛隊による募集活動について。道教委では、これまでも、自衛官の募集に当たっては、新規学卒者の求人活動の秩序維持の観点から、自衛隊が毎年度開催する会議において、所定の時期に学校を通じて、学校の協力のもとで行うこと、また、求人申込の受理や選考開始の期日などを順守することなどについて、協力を要請してきている。
今後においても、自衛官の募集については、民間事業者等と同様に行われるよう、協力を求めていく考えである。
佐野議員 もう一つの問題は、自衛隊による勧誘時に、「自動車免許が取れる」「大学に行ける」など、メリットばかりが強調され、「紛争地に行くことによる命のリスク」などの大きな危険があることが、きちんと説明されていないこと。
自衛隊に限らず、どの職種においても、就職活動の際には、メリット・デメリットを公平に情報提供することは当然と考えるが、見解を伺う。
柴田教育長 就職活動における情報提供について。生徒が適切に進路選択をするためには、「職務内容」や「労働条件」などの正確な情報を得るとともに、就労実態等に関する職場情報を正しく理解することが重要であると考えており、道教委においては、毎年、各教育局がハローワークと連携して、求人に関する適切な情報提供が行われるよう、企業に働きかけていくとともに、就職活動に関する情報などについて、進路だよりを発行するなどして、生徒に周知するよう努めてきた。
今後においても、関係機関と連携しながら、生徒が進路選択に際して正確な情報を得ることができるよう、努めていく考えである。
(道議会 2016-08-24付)
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