2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月24日)(道議会 2016-08-19付)
二定道議会一般質問(六月二十四日開催)における赤根広介議員(北海道結志会)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長、北村博文警察本部長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆飲酒運転問題について
赤根議員 六月十九日、帯広警察署で勤務する二十歳の警察官二人が、帯広市内において、酒気を帯びた状態で、当て逃げ事故を起こし、現行犯逮捕されるという重大な不祥事が発生した。
さらには、釧路総合振興局の男性職員が速度違反・酒気帯び運転によって検挙される事案の発生や、教職員の飲酒運転にかかわる処分事案も後を絶たない。現状では、処分が確定するまで事案の公表を控えるケースがあることに、危機管理体制に疑問を感じざるを得ない。
道内では、一昨年、昨年と飲酒が絡む悲惨な交通事故が相次ぎ、道民一丸となって飲酒運転の根絶に取り組んでいる中での、現職の道職員と教員、警察官による事件であり、道民からは、「前代未聞」「言語道断」などといった怒りの声が噴出している。
また、不祥事が発覚した際の知事への報告や公表の在り方の遅れも指摘されており、知事も会見で、「情報伝達体制の不備も遺憾」と述べている。不祥事事案発生時の道庁、道教委の対応そのものを見直す必要があると考えるが、所見を求める。
また、飲酒運転に関係する道職員の懲戒処分については、「北海道職員にかかる懲戒処分の指針」に基づき、任命権者である知事が判断するものと承知している。過去の酒気帯び運転を適用した事案十一件の懲戒処分は、人身重傷での免職処分一件を除く十件が停職一ヵ月である。昨今の飲酒運転をめぐる本道の状況、あるいは、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」制定の意義をかんがみたとき、酒気帯び運転を適用した処分については、これまでとは違う次元の新しい判断が必要と考える。
道庁ならびに道教委の綱紀粛正、服務規律の確保は、各々の順法精神によって担保されるべきであり、処分を厳罰化して、抑止力とすることは本来的には望ましいことではないが、自らが襟を正し、飲酒運転根絶の先頭に立つ気概を示すためにも、氏名の公表等も含め、酒気帯び運転を適用した懲戒処分の在り方の見直しを早期に検討すべきと考えるが、所見を伺う。
また、帯広警察署では、昨年の三月にも、二十歳代の警察官による酒気帯び運転が発覚しており、今回逮捕された二人の警察官も、不祥事を防止するための指導・教養を受けていたと思うが、全く浸透していないと言わざるを得ない。
これまで道警では、採用後間もない二十歳前後の若手警察官に対し、どのような指導・教養を行ってきたのか、また、今回の事案を受け、再発防止に向けてどのような対策を講じていくのか伺う。
高橋知事 不祥事事案にかかる対応について。道議会の全会派の皆さんが一致して制定した、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」に基づき、関係機関や道民の皆さんとともに飲酒運転の根絶に向けて取り組んでいる中、道民の先頭に立って取り組むべき警察官、道職員が、逮捕や検挙される事案が発生したことや、事案の発生から公表までに時間を要したことは、誠に遺憾であり、申し訳なく思っている。道民の皆さんに心からお詫びを申し上げる。
このため、昨日、各部長、振興局長等に対し、あらためて交通法規の順守や危機事案の速やかな情報伝達と迅速な対応を徹底するよう指示した。
現在、職員の不祥事等が発生した際の情報伝達体制等を定めた危機対応マニュアルに基づき対応しているが、このたびの事案を踏まえ、マニュアルの対象とする事案や、早期の報告についての必要な見直しをはじめ、公表や処分の在り方についても検討していく。
柴田教育長 飲酒運転の根絶に向けた取組について。道教委としては、飲酒運転を絶対に行わないよう、これまでも教職員に対し、機会あるごとに指導してきたが、児童生徒に交通安全を指導する立場にある教職員による飲酒運転が依然としてなくならないことは、学校教育に対する保護者や地域の信頼を失うもので、誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っている。
道教委としては、道立学校や市町村教委に対して、これまでも、教職員による不祥事が発生した場合は、種類を問わず速やかに報告するよう求めているが、今後は、この取扱いをより一層徹底するとともに、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」制定の趣旨を踏まえ、飲酒運転を抑止する観点から、公表や処分の在り方を検討するなどして、飲酒運転の根絶に向けた取組を一層強化していく。
北村警察本部長 ことし四月に採用された警察官の約半数は未成年者であり、こうした若手警察官の教育には、力を入れて取り組んでいる。
警察学校においては、採用後、おおむね一年間にわたって、社会人としての心構えを養うことをはじめ、警察官として必要な職務倫理を培い、専門的な知識・技能を習得させるための研修を実施している。
また、警察署に配置された際、実際の職場において、身上把握、生活指導や上司による職務倫理教養を行うほか、警察署単位で警察本部から指導員を派遣し、配置後間もない若手警察官を対象として非違事案防止検討会を開催し、彼らが非違事案を自らのこととしてとらえられる教養を実施している。
しかしながら、このたび、飲酒運転を取り締まる立場にある警察官が酒気帯び運転で逮捕される事案が発生したことは、道民の皆さんの警察に対する信頼を著しく損なう極めて深刻な事態であり、誠に申し訳なく思っている。
道警としては今後、これまでの取組を検証するとともに、二十歳になった警察官や飲酒の機会や経験の乏しい若手警察官に対しては、飲酒に関する正しい知識やその影響を教養するなど、その特性に応じたよりきめ細かな指導・教養を徹底し、二度とこのような事案が発生しないよう取り組んでいく所存である。
◆教育施設の耐震化について
赤根議員 先日、二十八年度に行われる予定だった小・中学校の校舎や体育館の大規模改造、耐震化工事など、道内五十三市町村百五十一件の事業が着工できなくなっている問題が明らかになった。その後、国庫補助金約八億三千万円が追加措置され、十七市町村三十事業が着工できる見通しになったものの、残り百二十一件は着手不能のままである。
二十七年四月一日現在の道内公立学校施設の耐震化率は、小・中学校で全国平均九五・六%なのに対し北海道は八八・二%で全国四十二位、さらには、屋内運動場等における吊り天井等で対策を行っているのは、五・二%にすぎない。道内の小・中学校で耐震化が遅れている要因としては、様々な問題があるが、それは大なり小なり全国同じである。
幸い大きな被害はなかったと聞いているが、先日の道南地方を中心とし地震は、函館で震度六弱の強い地震であった。地震は、いつどこで発生するか分からない。このような耐震化の状況で、あすの北海道を担う子どもたちの安全を、本当に守れると考えているのか、見解を伺う。
都道府県の中には、国の補助制度とは別に、単独で補助制度を設けている自治体が、青森県をはじめ複数あり、こうした地域は耐震化率が高くなっている。
道教委としても、耐震化促進のため、道単独の補助制度を設ける必要があると考えるが、併せて、見解を伺う。
柴田教育長 学校施設の耐震化について。学校は、子どもたちが一日の大半を過ごす場であるとともに、災害発生時には、避難所としての役割も果たすことから、国においては、耐震化の早期完了を促すため、補助率の嵩上げや全国防災事業債の活用によって、市町村の負担を一割程度まで軽減する財政支援措置を講じてきており、道教委としては、こうした国の特例措置を踏まえ、市町村に対し、事業の前倒しなどを直接要請してきた。
こうした中、本道においては、学校の統廃合を踏まえた実施時期の検討や財政状況等の理由から、学校施設の耐震化率が八八・二%と全国平均を下回っており、道教委としては、可能な限り速やかに耐震化を完了させる必要があると認識している。
このため、道教委では、国に対し、様々な機会をとらえ、市町村の負担軽減が図られるよう強く求めるとともに、市町村の整備計画を把握し、将来を見据えた計画的な整備が確実に実施できるよう、必要な財源の確保について働きかけるなど、学校施設における耐震化の早期完了に向けて、積極的に取り組んでいく考えである。
―再質問―
赤根議員 教育長に全国平均を下回る小・中学校の耐震化について尋ねたが、当事者意識も危機感も全く感じられない答弁であった。
たしかに、校舎等建物の管理責任は設置者である市町村にあり、耐震化実施のための財政支援の主体は国かもしれないが、本道の子どもたちの安全を確保する責務は、道教委にもあるのではないだろうか。
全道の耐震化率の平均は八八・二%だが、いまだ、五〇%台あるいは六〇%台の市町村もあり、耐震性のない棟と診断未実施の棟は二十七年四月現在で、六百十四棟もある。過去に耐震化促進のための道補助金を要求した経緯などもあると承知しているが、厳しい道財政のもと、財政支援は困難だとしても、すべて市町村や国任せだけではなく、道教委としても、耐震化促進のために行えることはあると思う。
再度の答弁を教育長に求める。
柴田教育長 耐震化の促進に向けた取組について。道教委では、本年度、耐震基準を満たしていない老朽化した校舎の改築など、市町村から要望のあった国庫補助事業の多くが未採択となったことから、直ちに、国に対し財源確保に向けた緊急要望を実施しており、引き続き、市町村の負担軽減が図られるよう、すべての事業の速やかな採択を求めていく考えである。
また、今後は、市町村に対して、耐震診断などの技術的な指導や助言を積極的に行いながら、三十二年度まで延長された国庫補助率の嵩上げ措置も活用した、今後五年間の整備計画の作成を働きかけるとともに、計画に基づく整備が着実に実施できるよう国に対し、必要な財源確保について強く求めていく考えである。
(道議会 2016-08-19付)
その他の記事( 道議会)
16日から3定道議会代表質問 問題行動の防止など質疑 AL定着に向けた取組も
三定道議会では、きょう十六日から代表質問が始まり、本格的な論戦に入る。各会派の代表質問では、道教委が取りまとめた二十七年度活動状況に関する点検・評価結果に対する認識や今後の取組、アクティブ...(2016-09-16) 全て読む
2定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年7月5日)
二定道議会予算特別委員会(七月五日開催)における大越農子委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、村上明寛総務政策局長、成田直彦教育職員局長、河野秀平教育政策課広報・情報担当課...(2016-09-14) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月29日)
二定道議会一般質問(六月二十九日開催)における千葉英也議員(自民党・道民会議)、中野秀敏議員(自民党・道民会議)、花崎勝議員(自民党・道民会議)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長...(2016-09-13) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月27・28日)
二定道議会一般質問(六月二十七日、二十八日開催)における大越農子議員(自民党・道民会議)、吉井透議員(公明党)、加藤貴弘議員(自民党・道民会議)、佐野弘美議員(日本共産党)の質問、および高...(2016-08-24) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月27日)
二定道議会一般質問(六月二十七日開催)における佐々木恵美子議員(民進党・道民連合)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長の答弁の概要はつぎのとおり。 ◆高校受検について 佐々木議...(2016-08-23) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月24日)
二定道議会一般質問(六月二十四日開催)における村木中議員(自民党・道民会議)、笹田浩議員(民進党・道民連合)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長、北村博文警察本部長、田中宏之保健福...(2016-08-18) 全て読む
道議会文教委員会の質問・答弁概要(28年6月20日)
道議会文教委員会(六月二十日開催)における佐野弘美委員(日本共産党)、佐々木恵美子委員(民進党・道民連合)、田中英樹委員(公明党)の質問等、および村上明寛総務政策局長、北村善春学校教育局長...(2016-08-12) 全て読む
道議会文教委員会の質問・答弁概要(28年6月20日)
道議会文教委員会(六月二十日開催)における川澄宗之介委員(民進党・道民連合)、山崎泉委員(北海道結志会)の質問、および杉本昭則教育部長、梶浦仁学校教育監、磯貝隆之学校教育局特別支援教育担当...(2016-08-10) 全て読む
道議会文教委の質問・答弁概要(28年6月20日)
道議会文教委員会(六月二十日開催)における丸岩浩二委員(自民党・道民会議)の質問、および杉本昭則教育部長、梶浦仁学校教育監、磯貝隆之学校教育局特別支援教育担当局長、土井寿彦新しい高校づくり...(2016-08-09) 全て読む
道議会文教委(28年8月2日) 市町村教委と一体で推進 飲酒運転根絶に向けた取組
道教委は、道議会文教委員会(二日)で、飲酒運転の根絶に向け、市町村教委と一体となった取組を進めていく考えを示した。 道教委は七月八日、道教委職員・道立学校教職員の飲酒運転根絶に向けた「...(2016-08-04) 全て読む