2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月24日)(道議会 2016-08-18付)
二定道議会一般質問(六月二十四日開催)における村木中議員(自民党・道民会議)、笹田浩議員(民進党・道民連合)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長、北村博文警察本部長、田中宏之保健福祉部少子高齢化対策監の答弁の概要はつぎのとおり。
◆飲酒運転などについて
村木議員 六月十九日に発生した、帯広署の警察官による飲酒運転については、警察官が何をやっているのか、飲酒運転が起きないように取り締まるのが警察官ではないのかという思いで全国ニュースを見ていた。酒を飲み、当て逃げをして、ナンバープレートを落としたのに気が付いて、事が露見しないようにと考えたのだと思うが、探しに行って逮捕されたという悪質な事件である。
また、六月十日には、振興局の職員が酒気帯び運転で検挙される事案が発生し、さらに、六日には小学校の教員が飲酒運転の疑いで警察の事情聴取を受けており、道職員全体に対する信頼を損なったといっても過言ではない。
飲酒運転撲滅については、小樽市や砂川市における理不尽な事件を経験した本道において、道民挙げて取り組まなければならないとして、条例を制定しており、警察官をはじめ、道庁職員、教職員を含めたすべての道職員が絶対に飲酒運転をしないことを示すべきである。
知事、教育長、警察本部長による独自の取組とともに、連携して職員の飲酒運転撲滅に取り組む必要があると考える。それぞれの見解を伺う。
高橋知事 飲酒運転の根絶に向けた対応について。道議会の全会派が一致して制定した「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」に基づき、関係機関や道民とともに飲酒運転の根絶に向けて取り組んでいる中、道民の先頭に立って取り組むべき警察官、道職員が、逮捕や検挙される事案が発生したことは、誠に遺憾であり、申し訳なく思っている。道民の皆さんに心からおわびを申し上げる。
このため、昨日、臨時のテレビ会議を開催し、各部長、振興局長等に対し、あらためて交通法規の順守を徹底するよう指示したほか、このたびの事案を踏まえ、公表や処分、情報伝達の在り方を検討するよう担当部局に指示した。
さらに、今後は、「北海道飲酒運転根絶推進協議会」に道庁、道警、道教委それぞれの人事担当職員も参画して、民間企業などとも一層の連携強化を図るとともに、新たな方策として、意識改革を徹底する取組や交通安全運動の実践といった取組を充実するためのプランを飲酒運転根絶の日の七月十三日までに策定し、道職員による飲酒運転の根絶に向けた取組を徹底していく考えである。
柴田教育長 飲酒運転の根絶に向けた取組について。道教委としては、飲酒運転を絶対に行わないよう、これまでも教職員に対して、機会あるごとに指導してきたが、児童生徒に交通安全を指導する立場にある教職員による飲酒運転が依然としてなくならないことは、学校教育に対する保護者や地域の信頼を損なうもので、誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っている。
道教委としては、飲酒運転の根絶に向けて、各学校において、職員会議や校内研修を通して、教職員への指導をより強化することはもとより、教職員自らが組織するマイカークラブの活動を通じて、交通安全に対する意識の啓発に、より一層積極的に取り組むほか、飲酒運転を抑止する観点から公表や処分の在り方を検討するとともに、「北海道飲酒運転根絶推進協議会」への参加を通じて、関係機関との連携強化を図りながら、今後、知事部局が策定することとしている新たな取組プランとも連動し、飲酒運転の根絶に向けた取組を一層強化していく考えである。
北村警察本部長 一昨年の小樽市、昨年の砂川市における交通死亡事故等、悲惨な飲酒事故を受けて、道議会においては、飲酒運転根絶のための条例を制定し、官民挙げて飲酒運転根絶に取り組んでいる中、飲酒運転を取り締まる立場にある警察官が酒気帯び運転により逮捕される事案が発生したこと、さらには、事件捜査に当たる警察官が、証拠偽造・地方公務員法違反等で逮捕される事案が発生したことによって、道民の警察に対する信頼を著しく損ねたことは、痛恨の極みである。
このような重大な非違事案を発生させたことについて、道警を代表して、道議会議員の皆さん、道民の皆さんに深くおわび申し上げる。
警察官による飲酒運転については、帯広署員による今般の事案発生を受け、直ちに、「非違事案根絶に向けた厳正な規律保持の徹底について」、すべての所属長に通達するとともに、発生当日に私自身が帯広に赴き、翌日の警察署の朝礼において、署員に対し、真摯な反省を求め、再発防止と信頼回復のための職務遂行を訴えてきた。
さらに、昨日は、緊急の警察署長会議を開催し、再発防止に向けた取組の徹底について指示したが、今後、引き続き、今回の事案の厳重な処分と併せ、事案が引き起こされた原因の究明を行い、これを踏まえた再発防止の取組を行っていく。
また、若手警察官に対しては、警察学校や配置後の警察署において、身上把握、生活指導や職務倫理教養を行うほか、彼らが非違事案を自らのこととして捉える教養を繰り返し行ってきたが、これに加え、特に、実際に車両を保有している若手警察官に対しては、交通法令の順守や日常の安全運転に関する指導・訓練を行っていく。
今後、飲酒運転撲滅に向け、知事部局や教育庁の関係部局と一層の連携を図り、当方から飲酒運転に関する発生状況等の資料を提出させていただくとともに、それぞれの取組方策等について意見交換を行うなど情報の共有を図り、職員の飲酒運転の絶無を期していく所存である。
―指摘―
村木議員 昨年十二月に施行された北海道飲酒運転根絶条例は、小樽市や砂川市で発生した悲惨な飲酒運転による死亡事故をきっかけに、道民が安全で安心して暮らすことができる社会の実現に役立つよう、全会一致で制定された。条例では、すべての道民が、飲酒運転をしない、させない、許さないことを基本理念として、道民の責務とともに道としての責務を定めており、道は飲酒運転の根絶に関する総合的な施策を策定し、実施する責務があるとされている。知事、教育長、警察本部長はもとより、道の組織に属するすべての道職員にも条例が目指す目的実現に向けて取り組む責務があることは当然。にもかかわらず、このたび引き起こされた事案は、警察官、道庁職員、教員が、相次いで酒を飲んだ上で車を運転し、警察官は当て逃げし、そのことが露見しないように立ち回るという悪質なもの。
これまで、飲酒運転によって理不尽かつ悲惨な事故が繰り返されてきたことを考えもできない職員の責任は問わなければならないが、組織としての取組が十分でなかったと言わざるを得ない。事件が起きる都度、遺憾であり再発防止に取り組むとの発言があるが、これまでの対応をみると、注意喚起の通知が出されているに止まり、具体的に取り組むべき対策は示されていない。
運転中にパトカーと併走していると、自然により一層注意して運転することとなるということを経験している。赤色灯を回しながらパトカーを走行させる取組は、そうした効果を期待しているからだと思っている。職場内で常に注意を喚起する上司、同僚の目、仕組みをつくり上げることも考えられる。飲酒運転根絶に関する条例をもつ道として、自らの組織に属する職員が二度と繰り返さぬよう、具体的な対策を示し取り組むとともに、それでもなお飲酒運転を行った職員に対する処分については、これまで以上の処分を考えるべき。知事、教育長、警察本部長から、それぞれ答弁いただいた内容が、確実に進められるよう、強く求めておく。
◆小中学校の耐震化について
村木議員 小・中学校校舎については、災害発生時の避難場所として活用されている。このたびの熊本地震では、学校に避難した住民が繰り返し発生した地震の影響を受け危険となった学校から、さらに避難しなければならない事態が相次いだ。
道内小・中学校の耐震化は、全国平均を下回り、昨年四月時点では最下位グループの水準に止まっている。児童生徒の安全確保はもとより、災害対策の面から早急に取り組むべき課題である。
本年度の小・中学校耐震化工事などの事業については、国の補助金確保が難しくなり、一部着工できなくなっていたが、道教委からの緊急の要望などを受け、先日、追加採択の通知があった。しかしながら、採択されなかった事業はまだ百二十一事業にのぼり、さらなる取組が必要である。
児童生徒の安全確保などに向けた施設整備については、早期の対応が必要であるが、どのように対応していく考えなのか、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 小・中学校の耐震化などについて。学校施設は、子どもたちの学習や生活の場であるとともに災害発生時には地域の避難所としての役割も担うことから、安全安心な施設の整備は、極めて重要な課題であると認識している。
こうした中、老朽化した校舎等の改築など、本年度予定していた事業の多くが年度当初に未採択となったことから、道教委では、道議会の力添えもいただき、先般、国に対し、財源確保に向けた緊急要望を実施した。
その後、一部追加採択がされたが、いまだ半数近くの事業が未採択であることから、今後、市町村など関係機関とも連携し、国の文教施策に関する要望をはじめ、あらゆる機会を通じて、速やかな事業採択を求めるとともに、次年度の財源確保についても働きかけていく考えである。
併せて、市町村における今後五年間の改築事業等の計画を把握し、将来を見据えた計画的な整備が着実に図られるよう、その財源確保についても要望していくなど、学校施設の整備・充実に向け、なお一層積極的に取り組んでいく考えである。
◆特別支援教育について
村木議員 先の第一回定例会におけるわが会派の代表質問において、昭和五十四年に、いわゆる養護学校の義務化が行われる以前は、障がいの状態が重い子どもに対して、就学義務の猶予あるいは免除が行われていたことを取り上げ、その対象となった方々に、義務教育を受ける機会を提供すべきであると申し上げた。
これに対して教育長は、希望されている方々に対して、計画的に訪問教育を実施する考えを示した。
そこで、現在、どのように進めているのか、伺う。
柴田教育長 障がいのある方々への就学機会の提供について。昭和五十四年の養護学校義務制の実施以前は、重症心身障がい者の多くが就学を猶予または免除されており、道教委では、こうした義務教育を受けていない方々に対して、就学の機会を提供するため、昨年度、実態調査を行い、その結果、二百四十人が福祉施設等に教員を派遣して行う訪問教育を希望したことから、希望者全員が、こうした訪問教育を受けられるよう平成三十五年度までの実施計画を策定した。
道教委では、この計画に基づき、本年度、五ヵ所の福祉施設において、七人を対象に訪問教育を実施しており、来年度以降は、毎年三十人程度を対象に、福祉施設や関係団体等と連携を図りながら、訪問教育を実施していく考えである。
◆保育施策について
笹田議員 保育士や幼稚園教諭は、その専門性をもって就学前段階の教育、または零歳児からの保育に当たっている。しかしながら、保育士の量的確保のみに着目した今回の条例改正、それに伴う規則改正は、保育現場に混乱を起こす懸念があるとともに、保育士や幼稚園教諭の専門性を否定すると指摘せざるを得ない点において、あまりにも拙速である。保健福祉行政のみで判断すべき問題ではないと考えるが、見解を伺う。
また、この間、知事部局と道教委の間でどう協議したのかを、併せて伺う。
田中少子高齢化対策監 小学校教諭等の配置について。国では、内閣府、厚生労働省、文部科学省の三省庁連名で通知を発出し、専門性の観点から、幼稚園教諭については三歳以上の子ども、小学校教諭については五歳児を中心的に保育することが望ましいとしている。
道としては、小学校教諭等の活用の特例について、道教委と直接の協議は行っていないが、保育所や幼稚園、学校教育関係者や道教委等が参加する「地方版 子ども・子育て会議」において、意見聴取を行い、その場では、「教諭の活用に当たっては、事前の現場研修が必要」といった意見があった。
柴田教育長 小学校教諭等の配置について。今回の措置は、保育の受け皿が不足していることを考慮し、「当分の間」の措置として実施されるものであり、内閣府、厚労省、文科省の三府省連名の通知では、幼稚園教諭については三歳以上の子ども、小学校教諭等は五歳児を中心に保育することが望ましいこと、また、保育の従事経験がない者には、子育て支援員研修等必要な研修の受講を促すことなどのほか、小学校教諭等は、補助としてのみ従事することができることなどの留意事項が示されていると承知している。
道教委としては、当分の間の措置ではあるものの、特例によって小学校教諭等が配置される場合は、保育士等と連携し、その専門性を発揮できる環境で、保育や幼児教育の充実が図られるよう、関係部局と連携を図りながら、適切に対応をしていく考えである。
―指摘―
笹田議員 今回の特例は、保育の質の低下を招くおそれがある。まずは、保育の質の確保が優先されるべきであるということを指摘する。特例を実施する場合に、どう質を確保するのかについて、具体的な答弁はなかったが、この点は、大変重要なので、今定例会において、さらに議論を深めていきたい。
◆飲酒運転の根絶について
笹田議員 道議会は、昨年十一月三十日、北海道飲酒運転の根絶に関する条例を制定した。しかし、残念なことに、いまだその効果が目にみえて現れているとは言えず、飲酒運転に起因する死亡事故もあとを絶たない。
それどころか、先日は、警察官による飲酒運転および当て逃げという最悪の事件が発生し、さらに、道職員や教職員の酒気帯び運転の事例が発覚するなど、条例まで制定して根絶を目指している道民の気持ちを逆なでする言語道断の行為が相次いだ。飲酒運転の根絶を目指すに当たり、職員の意識改革にどのように取り組んでいくのか、知事、教育長、警察本部長に決意を含め伺う。
高橋知事 飲酒運転の根絶に向けた対応について。道議会の全会派が一致して制定した、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」に基づき、関係機関や道民の皆さんとともに飲酒運転の根絶に向けて取り組んでいる中、道民の先頭に立って取り組むべき警察官、道職員が、逮捕や検挙される事案が発生したことは、誠に遺憾であり、申し訳なく思っている。道民の皆さんに心からおわびを申し上げる。
このため、昨日、臨時の会議を開催し、あらためて交通法規の順守を徹底するよう指示したほか、このたびの事案を踏まえ、公表や処分の在り方を検討するよう、担当部局に指示した。
道においては、これまで、様々な機会を通じて行ってきた条例の趣旨の周知徹底や注意喚起に加え、今後は、新たな方策として、職員の飲酒運転根絶への意識改革を徹底する取組や交通安全運動への参加による実践行動への取組を充実するためのプランを、飲酒運転根絶の日の七月十三日までに策定し、道職員による飲酒運転の根絶に向けた取組を徹底していく考えである。
柴田教育長 飲酒運転の根絶に向けた取組について。道教委としては、飲酒運転は絶対に許されない行為として、繰り返し教職員に対して、指導してきたが、児童生徒に交通安全を指導する立場にある教職員による飲酒運転が依然としてなくならないことは、学校教育に対する児童生徒や保護者、地域の信頼を損なうもので、誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っている。
道教委としては、「北海道飲酒運転の根絶に関する条例」制定の趣旨を踏まえた法令等の順守について、各学校において、職員会議や校内研修を通し、教職員への指導をより強化することはもとより、教職員自らが組織するマイカークラブの活動を通じて、交通安全に対する意識改革により一層積極的に取り組むとともに、飲酒運転を抑止する観点から公表や処分の在り方を検討するなどして、飲酒運転の根絶に向けた取組を一層強化していく。
北村警察本部長 このたび、飲酒運転を取り締まる立場にある警察官が酒気帯び運転で逮捕される事案が発生したことは、道民の皆さんの警察に対する信頼を著しく損なう極めて深刻な事態であり、誠に申し訳なく思っている。
事案の発生を受け、直ちに、全所属長に対し、「非違事案の根絶に向けた厳正な規律保持の徹底について」通達するとともに、私自身、帯広警察署に赴き、朝礼において、署員に対し、真摯な反省を求め、再発防止と信頼回復のための職務遂行を訴えた。
また、昨日は、臨時の警察署長会議を開催し、再発防止に向けた取組の徹底について指示した。
道警としては、今回の事案に特有な問題という観点に加え、警察組織の運営にかかわる全般的な問題という観点の双方から今回の事案を分析し、若手警察官に対する教養や指導の在り方、職務倫理教養の進め方、平素の職員に対する身上把握・指導監督の方法等をあらためて点検し、飲酒運転根絶に向けた職員の意識改革を進めていく所存である。
笹田議員 条例では、アルコール健康障害の対策と教育についても規定されている。これについて、どのような対策がとられているのか、所見を伺う。
柴田教育長 飲酒運転の根絶にかかわる教育について。各学校においては、学習指導要領に基づき、保健体育の授業をはじめ、特別活動などにおいて、飲酒による、思考力・自制力の低下や依存症、さらには、飲酒運転の危険性など、飲酒が心身の健康や社会に及ぼす影響について、発達の段階に応じた指導が行われている。
また、道教委では、学校における指導の充実に向け、飲酒などを取り上げた指導資料の授業での効果的な活用を促すとともに、学校関係者や保護者、地域住民などを対象とした学校安全教室や学校安全推進会議を各管内で開催し、飲酒運転の根絶など交通法規の順守について理解の促進を図っている。
今後においては、こうした取組に加え、アルコールによる健康障害や飲酒運転の危険性について児童生徒の理解がより一層深まるよう、各種研修会の充実や、学校安全教室等における条例の趣旨の徹底などに取り組んでいく考えである。
―指摘―
笹田議員 飲酒運転に伴う不祥事について、知事、教育長、警察本部長からそれぞれ謝罪の表明があった。また、いずれも飲酒運転の根絶に向けた取組も表明したが、昨年、条例を制定した、その重みをしっかりと認識していただき、再発の防止に向けて全職員が意識をさらに高めていただくよう、強く指摘しておく。
◆全国学力・学習状況調査
笹田議員 全国学力・学習状況調査は、本年度も結果の公表が行われることと承知している。
学力調査については、結果向上のために、過去問題に取り組ませる事態が発生し、文科大臣からも問題視するコメントがあった。市町村別の結果公表が、さらなる地域間競争をあおることになってしまっているからである。公表の在り方については、中止を含め慎重に検討すべきと考えるが、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 全国学力・学習状況調査の結果の公表について。本道の子どもたちの学力向上を図るためには、教育委員会や学校が保護者や地域住民に対し、調査結果を踏まえた的確な情報提供を行い、学力向上に向けた認識を共有し、関係者が一体となって取り組むことが重要であると考えている。
このため、道教委では、国の実施要領に示されている、公表する内容や方法等は、教育上の効果や個人が特定されることの影響等を考慮すること、また、調査により測定できるのは、学力の特定の一部であることや、学校の教育活動の一側面であることなどを明示することなどの配慮すべき事項を踏まえ、市町村ごとの特色や取組状況などを明らかにした公表を行うこととし、市町村教育委員会に対しても、こうした考え方を丁寧に説明し、同意を得られた市町村について公表を行ってきており、公表内容についても、学校教育関係者の意見を聞くなどして毎年度、改善に努めてきた。
道教委としては、今後も、市町村教育委員会と意見交換を行うなど密接に連携を図りながら、調査結果の公表を通じて、本道の学力向上に向けた取組の一層の充実に努めていく考えである。
―再質問―
笹田議員 調査結果の公表を通じて、本道の学力向上に向けた取組の一層の充実に努めると教育長は答弁したが、このことこそが、地域間競争をあおっている原因となってきたはずなのである。あらためて結果公表の中止を求める。
それでも公表するというのであれば、本調査で測定できているのは、学力の特定の一部および教育活動の一側面であることから、特定の一部の内容を明らかにし、この点についてのみの公表であること、結果公表の内容が学力のすべてではないことを明示すべきである。
そして、過去問題への取組と、単に点数学力の向上に特化した授業ではなく、教職員の創意工夫ある実践を通して、子どもたちの学びの質を上げることが最優先であることも明示すべきだと考えるが、教育長の見解を伺う。
柴田教育長 全国学力・学習状況調査の結果の公表について。本道の子どもたちの学力向上のためには、学習指導要領に基づく創意工夫を加えた授業改善が必要であると考えており、道教委では、これまでも、調査結果の公表に当たっては、国の実施要領に示されている、調査によって測定できるのは学力の特定の一部であることや、学校の教育活動の一側面であることなどを留意事項として明示するとともに、調査の分析結果から明らかになった授業改善のポイントや事例を掲載するなど、市町村教育委員会や学校が効果的に活用できるよう、公表内容の改善に努めてきている。
道教委としては、学校教育関係者と密接に連携を図りながら、引き続き、本道の子どもたち一人ひとりの学力向上に向けた取組を進めていく考えである。
―指摘―
笹田議員 道教委は、調査結果の公表について、国の実施要領にある、調査で測定できるのは学力の特定の一部であることや、学校の教育活動の一側面であることなどを留意事項として明示しているのだと答弁しているが、その明示が不十分であるために、道民にその点がしっかりと伝わらず、学力すべての結果のように認識されてしまっていると指摘せざるを得ない。調査結果の公表に当たっては、報道機関等を通じ、そういった点をしっかりと重点的に広報、啓発するよう指摘する。
また、教職員の創意工夫ある実践を通じて、子どもたちの学びの質を上げることが最優先であると明示すべきとも質問したが、教育長からは答弁がなかった。子どもたちの真の学ぶ力、学びたいという意欲、そして、学びの質を高めるのは教職員の責務であり、その環境を整備することが道教委の責務、最優先課題といっても過言ではない。その点をしっかりと認識し、教育現場の声を受け止めながら取り組むよう強く指摘する。
(道議会 2016-08-18付)
その他の記事( 道議会)
2定道議会予算特別委の質問・答弁概要(28年7月5日)
二定道議会予算特別委員会(七月五日開催)における大越農子委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、村上明寛総務政策局長、成田直彦教育職員局長、河野秀平教育政策課広報・情報担当課...(2016-09-14) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月29日)
二定道議会一般質問(六月二十九日開催)における千葉英也議員(自民党・道民会議)、中野秀敏議員(自民党・道民会議)、花崎勝議員(自民党・道民会議)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長...(2016-09-13) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月27・28日)
二定道議会一般質問(六月二十七日、二十八日開催)における大越農子議員(自民党・道民会議)、吉井透議員(公明党)、加藤貴弘議員(自民党・道民会議)、佐野弘美議員(日本共産党)の質問、および高...(2016-08-24) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月27日)
二定道議会一般質問(六月二十七日開催)における佐々木恵美子議員(民進党・道民連合)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長の答弁の概要はつぎのとおり。 ◆高校受検について 佐々木議...(2016-08-23) 全て読む
2定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年6月24日)
二定道議会一般質問(六月二十四日開催)における赤根広介議員(北海道結志会)の質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長、北村博文警察本部長の答弁の概要はつぎのとおり。 ◆飲酒運転問題につ...(2016-08-19) 全て読む
道議会文教委員会の質問・答弁概要(28年6月20日)
道議会文教委員会(六月二十日開催)における佐野弘美委員(日本共産党)、佐々木恵美子委員(民進党・道民連合)、田中英樹委員(公明党)の質問等、および村上明寛総務政策局長、北村善春学校教育局長...(2016-08-12) 全て読む
道議会文教委員会の質問・答弁概要(28年6月20日)
道議会文教委員会(六月二十日開催)における川澄宗之介委員(民進党・道民連合)、山崎泉委員(北海道結志会)の質問、および杉本昭則教育部長、梶浦仁学校教育監、磯貝隆之学校教育局特別支援教育担当...(2016-08-10) 全て読む
道議会文教委の質問・答弁概要(28年6月20日)
道議会文教委員会(六月二十日開催)における丸岩浩二委員(自民党・道民会議)の質問、および杉本昭則教育部長、梶浦仁学校教育監、磯貝隆之学校教育局特別支援教育担当局長、土井寿彦新しい高校づくり...(2016-08-09) 全て読む
道議会文教委(28年8月2日) 市町村教委と一体で推進 飲酒運転根絶に向けた取組
道教委は、道議会文教委員会(二日)で、飲酒運転の根絶に向け、市町村教委と一体となった取組を進めていく考えを示した。 道教委は七月八日、道教委職員・道立学校教職員の飲酒運転根絶に向けた「...(2016-08-04) 全て読む
道議会文教委(28年8月2日) 知事・教育長連名で要請 学校施設の耐震対策で道教委
二日の道議会文教委員会では、文部科学省が公表した公立学校施設の耐震改修状況調査結果に基づき、質疑が行われた。杉本昭則教育部長は、早期の耐震対策の完了が見通せない場合、市町村に「知事と教育長...(2016-08-04) 全て読む