【解説】低所得層の成績基準撤廃―無利子奨学金
(解説 2016-11-02付)

 文部科学省は十月二十八日、日本学生支援機構による大学進学者を対象とした無利子奨学金の貸与条件である成績基準を、住民税非課税世帯に限って撤廃することを決めた。経済的理由での進学断念を防ぐことがねらい。二十九年度から実施する。同日から追加募集を開始した。

 日本学生支援機構の貸与型奨学金は、大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人を対象とした、国が実施する貸与型の奨学金。貸与型奨学金の種類は、利息の付かない第一種奨学金(無利子奨学金)と、利息の付く第二種奨学金(有利子奨学金)の二つ。これらと合わせ、入学時の一時金として貸与する利子付きの入学時特別増額貸与型奨学金がある。

 今回、ことし八月二日に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」を踏まえ、文科省は、無利子奨学金の採用基準に含まれる成績基準を撤廃することを決定。低所得者層の奨学金を必要とする生徒に対して無利子奨学金を貸与するため、基準を改正し、高校等の三年生を対象に、例年、この時期に実施している有利子奨学金の追加募集にあわせて、無利子奨学金の追加募集を行うこととした。

 従来の無利子奨学金は、高校の成績が五段階評定の平均三・五以上が条件で、そのほか、世帯人数や世帯収入・所得の上限に応じた家計基準によって審査が行われていた。

 今後は、住民税非課税世帯であれば成績基準を満たさなくても、高校の推薦を受けて無利子奨学金を借りることができることとなった。

 成績基準撤廃によって、低所得者のうち、現在、有利子奨学金の貸与を受けている生徒約二万人が無利子奨学金の貸与対象者となる見込み。希望者は、在学中の高校に問い合わせること。

(解説 2016-11-02付)

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