2定道議会予算特別委員会の質問・答弁概要(28年7月5日)(道議会 2016-11-02付)
二定道議会予算特別委員会第二分科会(七月五日開催)における荒当聖吾委員(公明党)、中山智康委員(北海道結志会)の質問、および柴田達夫教育長、岸小夜子学校教育局指導担当局長、伊賀治康教職員課服務担当課長、鈴木淳義務教育課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆飲酒運転の根絶について
荒当委員 飲酒運転根絶条例が施行されて以降、道職員、道警職員、教職員の飲酒運転が相次いで発生している。
児童生徒に交通法規の順守を指導すべき立場にある教職員が自ら飲酒運転をすることは、指導を受けた児童生徒はもとより、保護者や地域に対する裏切り行為と言わざるを得ない。二十五年度から二十七年度までの過去三年間に、教職員の飲酒運転による懲戒処分の件数は何件あり、どのような内容の処分を行ったのか伺う。
また、道教委では、飲酒運転は絶対に許されない行為として、繰り返し教職員に対して指導してきていると伺っているが、どのような指導を行ってきたのか伺う。
伊賀教職員課服務担当課長 教職員の飲酒運転について。札幌市を除く、道内の公立小・中学校、道立の高校、特別支援学校の教職員による飲酒運転は、過去三年間で八件あり、その内訳は、小学校が五件、中学校が一件、高校が一件、特別支援学校が一件、処分内容は、免職が一件、停職が七件となっている。
また、飲酒運転の根絶に向けた指導については、これまでも、全道公立学校の各校長会や管内ごとの会議などにおいて、道教委から直接指導助言するほか、道立学校や市町村教委に対し、年末年始など飲酒する機会が増える時期や教職員による飲酒運転が発生した際などに再発防止を図るための指導通知を発出し、飲酒運転防止の徹底に取り組んできた。
荒当委員 飲酒運転については、一部の職員が起こしているものではあるが、二度とこうした事故を起こさせないよう、早急に対策を講じることが必要と考える。
今後、道教委として、どのように取り組むのか伺う。
柴田教育長 飲酒運転の根絶に向けた今後の取組について。道教委としては、飲酒運転は絶対に許されない行為として、繰り返し教職員に対して指導してきたが、教職員による飲酒運転が依然としてなくならないことは、誠に遺憾であり、大変申し訳なく思っている。
このため、道教委としては、六月二十七日に臨時教育局長会議を開催し、各教育局において、道立学校長や市町村の教育長を対象とした会議を早急に開催し、二度と飲酒運転による違反者を出さないという強い決意をすべての教職員がもつよう、周知するとともに、あらためて飲酒運転の根絶に向けた指導を徹底するほか、教職員自らが組織するマイカークラブなどを活用して、教職員の自発的な活動を促すよう指示した。
また、会議に合わせて、道立学校や市町村教委に対し、飲酒運転の根絶に向けた校長による所属職員への訓示や、条例制定の趣旨の徹底、さらには、飲酒運転根絶の日におけるすべての学校での取組などについて通知しており、今後、こうした取組を徹底することによって、飲酒運転の根絶に向け、鋭意取り組んでいく考えである。
― 指 摘 ―
荒当委員 取組を徹底し続けていただきたい。
事故発生の有無にかかわらず、職員打ち合わせの時間や職員会議、校内研修などの機会を通じて、定期的に、粘り強く指導を重ねていくことで、教職員の法令順守の意識の醸成が図られ、飲酒運転の根絶につながっていくものと考える。
飲酒運転をはじめとした事故の撲滅に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思うので、どうぞよろしくお願いする。
◆全国学力・学習状況調査
中山委員 道教委の目的として、「社会で自立するために必要な学力を身に付けることを目指す」としているが、それは、どの程度の学力なのか。
また、市町村教委や学校が教育の改善に効果的に活用することができるようにするとしているが、どのような活用をしているのか伺う。
鈴木義務教育課長 子どもの学力と報告書の活用について。子どもたちに必要な学力としては、学校教育法に規定された義務教育課程における基礎的・基本的な知識・技能、具体的には、読み書き計算など、実生活において不可欠で、常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育み、主体的に学習に取り組む態度を確実に養うことが重要であると考えている。
また、報告書については、各市町村教委や学校では、域内や自校の教科や質問紙調査の調査結果を本道全体の結果と照らし合わせて詳細に分析したり、他市町村の学力向上の取組事例を参考に課題解決に向けた具体策を考えたりするなど、教育施策の充実や学習状況の改善等に活用しているものと承知している。
中山委員 学校教育法に規定された義務教育課程における基礎的または基本的な知識・技能を考えると、小学校は非常に大事なところであると思う。読み書き計算をさせるということだが、それがないと、専門的な知識や技術も身に付けることができない。また、主体的に学習に取り組む態度を養うということこそが、家庭の学習ということになるから、極めて大事なことである。
二十六年度の調査結果について、前回、質問させていただいたが、二十七年度の報告書で、どれくらい指摘したことに対し改善されたのか伺う。
鈴木義務教育課長 二十七年度の報告書について。二十七年度は、二十六年度の報告書に掲載した分析項目に加えて、学校および児童生徒の質問紙調査から、本道において、これまで改善が十分に図られていない項目を洗い出し、その解決方策をより明確にするため、成果を上げている秋田県との比較分析を行った。
その結果、授業の冒頭で目標を示すことや最後に振り返る活動を行うこと、家庭での学習方法を具体例を示しながら教えることなどを行った学校が、秋田県と比べて少ないなどの違いが明らかになったため、子どもが見通しをもてるよう、授業の冒頭で示す目標を工夫すること、授業の最後に子ども自身が学習したことを振り返る活動を位置付けることなど、すべての学校で共通して取り組む授業改善のポイントや、家庭学習の定着に成果を上げている市町村の取組事例など、市町村教委や学校の学力向上の取組の参考となる具体的な方策を掲載した。
中山委員 二十七年度の調査結果について、社会で自立するために必要な学力が十分身に付いていないと答弁し、全国に比べ、テレビやゲームをする時間が長いことや復習をする時間が十分ではないこと、さらには、家庭学習の時間の短さなどを課題としていたが、これまでに、どのような改善がなされたのか伺う。
鈴木義務教育課長 二十七年度全国学力・学習状況調査結果から明らかになった課題の改善状況について。道教委では、昨年八月に公表された二十七年度の調査結果で、家庭での学習時間が短いことや望ましい生活習慣が確立していないことなど、十分に改善が図られていない状況がみられたことから、保護者の意識をより一層高める必要があると考えた。
このため、子どもたちの望ましい生活習慣の確立に向けた親の役割の重要性を理解していただくため、親子で生活リズムをチェックする取組を普及するとともに、地域が一体となって学力向上の機運を高めることを目的に実施している「学力について考える会」では、保護者同士が家庭学習の取組等についての悩みを打ち明けながら、子どもの生活習慣の改善方策を考える場を設定するなど、保護者の参画を促す取組を進めてきた。
― 意 見 ―
中山委員 様々な改善をしていただいたことに深く感謝を申し上げるとともに、これからも科学的エビデンスに基づいた、しっかりとした調査と検証をして、これをやった方が望ましいということを明確にしていくことが大事だと思う。家庭の環境は非常に大事だと思うから、楽しい家庭学習とか、楽しい勉強といったことをどうやって表現したらいいのかということをもっとやっていった方がいいのかなと思っている。
中山委員 知事部局や道P連と連携し、「北海道の子どもたちの健やかな成長を願って」を出し、啓蒙活動をしたことについては敬意を表するが、家庭環境が学力に大きく影響している現状を考えれば、教育委員会、学校、家庭の努力はもちろん、地域が一体となった取組を進めることが重要と考えるが、どう取り組むのか見解を伺う。
岸学校教育局指導担当局長 家庭・地域との連携について。道教委では、子どもたちの学力向上のためには、授業改善と望ましい生活習慣の確立に向けて、学校、家庭、地域、行政が一体となって取り組むことが重要であると考えており、各学校に対しては、子どもたちの学力や学習状況を保護者や地域住民の皆さんに丁寧に説明するよう働きかけるとともに、家庭に対しては、PTA連合会の各種研修会をはじめ様々な機会に、昨年度作成した保護者の適切なかかわり方を示したリーフレットを活用し、生活習慣の確立に向けた意識啓発を行ってきた。
また、学校と地域が子どもたちの成長に対する目標や課題を共有しながら、社会総がかりで子どもたちを育む持続可能な仕組みとして、コミュニティ・スクールの導入促進にも努めてきており、今後も、こうした取組を引き続き行い、学校、家庭、地域、行政がそれぞれの役割を果たしながら、一体となって、子どもの学びを支援する取組の改善・充実に努めていく考えである。
中山委員 そのとおりであり、誰がいいとか悪いとかではなく、学校、家庭、地域、行政が一体となって、子どもの教育をしっかりとしていくという体制づくりが必要だと思っている。
義務教育の機会均等とその水準の維持向上は原則であると認識している。現在の学力を、学校や家庭、また、本人が知ることによって、改善すべきところは改善し、伸ばすところはしっかりと伸ばすことがかなうと考える。もっと高度な分析が求められると考えているが、なぜか公表の有無や、過剰な競争への懸念ばかりが話題になってしまう。
小学生は、自分の将来について、明確にビジョンをもてるわけではなく、何をやりたいのかはっきりしたときに、その選択肢を教育や習慣によって狭めないことが、小学校の教育にとって極めて大事なことだと考えている。「社会で自立するために必要な学力」も大事であるが、「子どもたちに輝かしい将来をつくる教育」が北海道の教育には大事であると考えるが、教育長に決意を伺う。
柴田教育長 全国学力・学習状況調査の活用などについて。子どもたち一人ひとりが、将来の夢や志の実現のために挑戦し、自らの人生を切り開いていくためには、例えば、小学校段階においては、自分の特徴に気づき、自分らしい生き方を実現していこうとする態度を育成していくことが重要であると認識している。
道教委では、これまでも、教科に関する調査結果と質問紙調査の学習への関心・意欲にかかわる項目などの相関関係を分析し、授業で子どもに見通しをもたせることや、学級の友達と話し合う活動を行うなど、意欲的に学ぶ子どもを育てるための学校の取組などについて、参考となる事例を報告書等で示してきた。
今後も、教科に関する調査と質問紙調査の相関をさらに分析するほか、国が本調査と合わせて抽出で実施している調査や各部局等で実施している調査も活用しながら、より一層、きめ細やかな分析に取り組み、本道の子どもたちにとって、将来にわたってたくましく生きる力を育むため、市町村教委や学校の取組がさらに充実するよう支援をしていく考えである。
― 指 摘 ―
中山委員 二十八年度の報告書が出た段階で、また同じような質問をさせていただくので、よろしくお願いする。
(道議会 2016-11-02付)
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