【解説】教職員定数削減、財務省案に文科省反論
(解説 2016-11-11付)

 文部科学省は八日、教職員定数を十年間で約四万九千四百人削減できるという財務省の案について、「この試算では現在の教育環境を維持できない」との反論をまとめた。特別支援教育や日本語指導が必要な児童生徒の増加など多様な課題に対応するために、教職員定数の減少を約一万五千人にとどめていく方針をあらためて示した。

 二十八年度の公立小中学校の教職員定数は約六十九万二千人。財務省は、四日の財政制度等審議会分科会で、少子化の進展によって、現在の教育水準を維持したままでも、「基礎定数」と「加配定数」を今後十年で約四万九千四百人減らせるとの試算を発表。具体的には、十クラス当たりの基礎定数割合は十六・二人から十六・四人となり、加配定数割合は一・六人を維持できると分析。教職員の負担軽減に向け、自治体や地元企業など外部人材と連携して、子どもの支援に取り組むよう提案した。

 これに対し文科省は、子どもの数・クラス数の減少を背景に、基礎定数割合と加配定数割合を維持できるとした財務省の試算は、外国人児童生徒や通級指導を受ける児童生徒の増加傾向が加味されておらず、「現在の教育環境を継続させた試算になっていない」と反論。

 また、外部人材との連携については、「正規の教育課程である通級指導や外国人児童生徒の指導は、法令上、免許状を有する教員が指導する必要がある」と否定的な見解を示した。

 松野博一文科相は、八日の閣議後の記者会見で、「教育現場を十分に理解していない」と強く批判。「教職員を機械的に削減しても現在の教育環境を継続できるという主張は、学校現場の実態を無視した議論であり、政府の教育再生に向けた動きに反するものだ」と述べた。

(解説 2016-11-11付)

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