性教育・薬物乱用防止教育研開く 学校・家庭・地域一体で 講義や実践発表など―道教委
(道・道教委 2016-12-02付)

性教育・薬物乱用
小葉松氏の講義「性にかかわる現状と課題」などを行った

 道教委は十一月二十一日、札幌市教育文化会館で性教育・薬物乱用防止教育研究協議会を開いた。百十人が参加し、説明や講義、実践発表、グループ協議を通して、学校、家庭、地域が一体となって性に関する指導や薬物乱用防止教育を行う必要性を確認した。

 児童生徒が性や薬物乱用に関して適切に判断し、正しい行動選択ができる資質や能力、実践力を身に付けることが重要なことから、教職員の性や薬物乱用防止教育の指導力向上を図り、保護者や関係機関と情報を共有し、学校、家庭、地域が一体となった指導を推進しようと開いたもの。

 全道の教職員、PTA団体関係者、保健所職員など約百十人が参加した。

 開会式では、健康・体育課の堀本厚課長があいさつ。学校においては、「性や薬物乱用に関する課題も含め、児童生徒が生涯を通じて、心身ともに健康で安全な生活を送るための基礎を培うという観点から、組織的・体系的な健康教育を進めていくことが重要」、家庭においては、「学校で学んだ内容をさらに深め、習慣づけていく」、地域社会においては、「学校で得た知識・能力や態度などを深めたり、高めたりする」とそれぞれの役割などについて述べた。

 その上で、「学校、家庭、地域が適切な役割分担のもとで、相互に連携しながら、社会全体で子どもの健康づくりに取り組んでいくことが求められている」と指摘。

 同研究協議会の成果を学校、家庭、地域における具体的な取組につなげるよう呼びかけた。

 開会式後、「性に関する指導・薬物乱用防止教育の充実」について、担当者が説明。

 続いて、湯の川女性クリニック院長の小葉松洋子氏が「性にかかわる現状と課題」をテーマに講義を行った。

 小葉松氏は、十代女子の人工妊娠中絶実施率、性感染症罹患率ともに減少していること。その背景に、性交経験率の減少があること。その一方で、個別の事案は引き続き起こっており、二極化が進んでいることなどを説明し、「社会の変化を理解することが不可欠。その上で、対応に当たらなければ」と述べた。

 また、これまでの性に関する指導は、性に関するトラブル防止の「ブレーキのかけ方」ばかりで、少子化を踏まえた「アクセルのかけ方を教えていない」と指摘した。

 不妊症の原因で最も多いのは加齢であり、出産後の子育ての期間も考慮して、女性の出産最適年齢を十八~三十歳と試算。「適切に子どもを産み、育てなければ日本の未来はない。そこを教えるのが本当の性教育。ブレーキをかけることは、性教育の一部でしかない」と述べた。

 また、性感染症や子宮頸がんの状況と予防の取組、アダルトビデオが若者に与える悪影響などを説明したほか、「知識がどんなにあっても、親が自分のことを見てくれない、認めてくれない、自分の居場所がないなど、困難な家庭の子どもほど、性に走る」と「性教育の限界」を指摘。

 「地域で、家庭に恵まれない子どもたちが安心して成長できる居場所をつくり、負の連鎖を断ち切る」取組を進め、「子どもたちの幸福」を目指す必要があると訴えた。

 同研究協議会では、このあと、講義「薬物乱用の現状と薬物依存について」(医療法人耕仁会札幌太田病院院長・太田健介氏)、実践発表、グループ協議を行った。

(道・道教委 2016-12-02付)

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