道高校長協会後期研 困難な課題に協働で対応 大鐘会長のあいさつ概要
(関係団体 2017-01-12付)

高校長協会後期研・大鐘会長
あいさつする大鐘会長

 道高校長協会の二十八年度後期研究協議会(十日、ホテルライフォート札幌)における大鐘秀峰会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 昨年は、上川、十勝地方などの台風による水害や、それに伴う交通障害等、該当地域の教育活動の支障となる出来事があった。ことしは、全道的に持続可能な教育活動の推進はもとより、本道の高校生が希望をもって未来に向けた豊かな学びに取り組むことができるよう、北海道高校教育のさらなる充実・発展を目指して校長協会の活動を展開していきたいと考えている。

 新年の新聞各紙では、不確実性や不平等、格差が広がるグローバル社会の中で、自由主義、民主主義、資本主義といった、二十世紀を発展させてきた根本理念や制度を問い直し、その上に立って日本が新たな価値を構築していくべきであるとの論説が目立った。日本社会全体の未来像を主体的に描くべき時期に来ていると感じる。

 そうした中、国レベルの教育改革の輪郭が明らかになり、すでに各学校で実践すべきレベルに入っている。昨年暮れに次期学習指導要領の答申が出される一方、高大接続改革では、新しい二つのテストの試行やプレテストが始まる。

 そのような高校教育の内容に直接かかわる改革とともに、それを支える「チーム学校」や教員の資質・能力の向上にかかわる答申もなされている上に、「次世代の学校・地域協働プラン」も策定され、学校および教員の在り方そのものに深くかかわるような総合的な改革が進行している。

 一方、道レベルでも、第五次北海道教育長期総合計画の策定が始まった。また、「新たな高校教育に関する指針」の検証がなされ、道教育推進会議高校専門部会によって、「新しい指針」の改訂過程に入っている。

 そこでは、基本的な視点として、「活力と魅力のある高校づくり」「経済社会の発展に寄与する人材を育む高校づくり」「地域とつながる高校づくり」の三つが示されている。これら三つの高校づくりの視点は、今後の本道の高校教育の在り方を方向づける指針の基盤となるものである。

 こういうことから、校長協会としては、本道の高校教育の在り方の新たなデザインを目指しながら、自校の課題を一層明確にしていく時期が到来しているという認識を強くもたなければならない。これからの十年は激動の時期であり、しっかりと腰を据えて課題に対峙していくことになる。そのためには、校長協会の立ち位置を確認しながら、理念レベルと実践レベルの両方について、共有できる目標を掲げ、その解決に向けたビジョンが強く求められる。

 そうした中で、先に述べた学習指導要領や新しいテストへの対応が大きな課題の一つとして挙げられるが、これまでの学校教育の在り方を変えていくような根本的な変更が認められることから、戦後七十年に及ぶ新制高校教育の大きな転換期にあるという認識も必要である。

 その具体的なポイントは、生徒の「主体的・対話的な深い学び」を進める教育であり、それと連動した教科横断的視点に基づくカリキュラム・マネジメントである。

 前者は、これまで知識・技能の習得を中心としてきた説明・講義型指導から脱して、「何ができるようになるか」という育成すべき「資質・能力」に重点を置いた指導が求められている。言い換えれば、インプット中心だった指導から、それに加えてアウトプットを重視した指導を加えていかなければならないということである。

 また、そうした学習指導の変更と連動して求められるカリキュラム・マネジメントのポイントは、各教科を超えた横断的かつ汎用的視点に立つものであることから、これまで教員の特質であった個業性を超えて協働性に発展させていく必要がある。

 そうなると、今日の教育改革による課題は、単に学習指導の在り方だけではなく、学校組織や働き方全体にわたる変更を余儀なくさせるとともに、学校の境界を広げていくという点で、学校をめぐる総合的な取組になってくる。もはや部分の問題ではなく、全体の問題だということである。

 これらの大きな変革に対しては、校長のリーダーシップによる組織マネジメントを中心とした対応はもちろん不可欠だが、共通する課題であることから、協働した対応が可能である。課題解決に向かう道教委による各種事業への協力はもちろんのこと、本協会の調査研究部の活動を柱とした研究・研修や、支部活動の活性化も求められる。

 この協働的研究・研修活動によって推進されるのは教育改革への対応ばかりではない。学習する組織文化による後継者の育成や校長協会の盤石な体制の維持継承も並行して可能になるはずである。

 以上のような教育改革への対応は、言うまでもなく、生徒一人ひとりが変化の激しい社会を生きるために必要な「生きる力」を身に付け、社会的・職業的に自立した知・徳・体のバランスのとれた育成を目指すことを基本とした「信頼される学校づくり」という不易の土台の上に成り立つものである。

 「信頼」こそ個人の可能性を広げるとともに、社会や集団の組織力を高める社会関係資本であることから、学校の機能を十分に発揮し、使命を果たす基本となる。あらためて学校資本の根本として「信頼」を位置付けたいものである。

 その土台に立って学習指導を単に技術の問題としてとらえることなく、学びの在り方をはじめとして学校の在り方を、地域や社会、また、大学との連携という、より広い視点からとらえ直し、自校の教育を教職員が協働で再構築することが新しい高校の未来を描く出発点になると考える。

 新制高校設置の翌年に発足した本協会が、三十年度に発足七十周年を迎える。これまでの周年記念誌をひもとくと、「改革と試練」という表現がいつの時代にも出てくる。新制高校が量的拡大期を経て、すでに半減期となる中、日本社会は変容し、世界の構図も変わっている。

 今までとは質の異なる課題に対応するための新しい方法論を創造する難しさはあるが、温故知新の精神でこれまでの諸先輩が克服してきた歴史を顧みて様々な知恵をいただきながら、本年は校長協会が一丸となって課題解決に当たっていく初年度となるような緊張感を抱いている。

 困難な課題に協働で取り組むところに希望が生まれる。教員間は言うに及ばず、学校間、学校と地域など、自校に閉塞していた価値観を越境させることが新たな学校や教員の可能性を生み出す。その先導となるべく校長間のメンバーシップを基盤とする校長協会が適切にリーダーシップを発揮していきたいと考えている。

 ことしも、会員の皆さんが対話と協働を通して、課題解決に当たる年にしたい。今後とも、皆さんの理解と協力をいただくようよろしくお願いする。

(関係団体 2017-01-12付)

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