道高校長協会生徒指導委 自己指導能力育成が基本 ネットいじめ等根絶へ提言(関係団体 2017-01-19付)
道高校長協会(大鐘秀峰会長)調査研究部教育課題分科会生徒指導委員会は、ネットトラブルやネットいじめなどの問題行動に対する生徒指導の在り方について、提言を取りまとめた。調査研究「豊かな心を育む教育の推進~ネットトラブル・いじめの根絶に向けた生徒指導」最終報告で示した。問題行動の原因は、人間関係や規範意識の希薄さにあるとし、自己指導能力の育成を基本に掲げた。また、計画的・組織的な情報モラル教育を進めること、民間企業との連携などの社会と連携・協働した取組を推進することが必要と提起した。
生徒指導委員会(平野真嗣委員長)は、二十七・二十八年度の二ヵ年で同調査研究を実施。二十七年度は会員対象のアンケート調査を行い、ネットトラブルやネットいじめなどの未然防止の現状を把握するとともに、先進的な事例を収集した。二十八年度は、効果的な事例、先進的な事例などの調査・分析を進め、その内容を取りまとめた最終報告で提言を行った。
◆先進事例分析し最終報告で提言
提言では、第一に、ネットトラブルやネットいじめなどの問題行動の原因として、人間関係や規範意識の希薄さを挙げ、「基本的には、学校の教育活動全体を通じて自己指導能力を育成するという、積極的な生徒指導を推進していかなければならない」と提起した。
学校では、「様々な場面において、他者のためにも、自分のためにもなる適切な行動を自分で考え、決定し、行動する能力」となる〝自己指導能力〟をもとに、「豊かな人間性を育む教育活動の推進」が求められているとした。
また、「自己決定の場を与える」「自己存在感を与える」「共感的人間関係を育成する」ことを通して、生徒の自己指導能力の育成を図る必要性を指摘。
その上で、「豊かな人間性を育む教育活動」を推進するために、意図的・計画的・総合的に取り組むことが必要とし、その観点として、「命の教育の推進」「人間関係・集団づくり」「体験活動の推進」「基本的生活習慣の定着と規範意識の育成」を挙げた。
第二に、生徒の実態や学校の実情に応じた計画的・組織的な情報モラル教育の推進を提起。その際には、全体計画を策定し、全校体制で取り組むこと、また、様々な資料・教材を活用するほか、保護者への働きかけが必要とした。
第三には、社会と連携・協働した取組の推進を掲げた。問題行動の未然防止に向けた取組として、アメリカの中学生が考案したシステム「Rethink」を例示。このシステムは、SNSで相手を侮辱するような書き込みをしようとすると、本当に投稿するのかを問うメッセージが表示されるもの。メッセージを見て、九割の若者が投稿をやめたという調査結果があるという。
また、専門的な技術をもつ企業が、CSR(企業の社会的責任)活動として、学校と連携した教育活動を行っている事例も挙げ、「学校や教育委員会は、高い技術をもった民間企業と積極的に連携し、ネットトラブルやネットいじめの未然防止はもとより、スマートフォンの適切な使用方法の指導に取り組むことが重要」と呼びかけた。
(関係団体 2017-01-19付)
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