中頓別町の29年度教育行政執行方針=田辺教育長(市町村 2017-03-17付)
中頓別町教委・田辺彰宏教育長
【稚内発】中頓別町教委の田辺彰宏教育長は、五日に開かれた第一回町議会定例会で二十九年度教育行政執行方針を説明した。コミュニティ・スクールの試行に着手することを発表。また、新たに町費負担の複式学級支援教員を配置して、学年ごとの授業の実施に努めることや、外国語指導助手を新たに一人採用し、二人体制で幼少期からの英語活動の充実を図ることを示した。
執行方針の概要はつぎのとおり。
◇
▼社会で活きる実践的な力の育成
▽確かな学力の向上
昨年の全国学力・学習状況調査で、平均正答率が全国平均を上回った教科は、中学校三年生の一教科(国語B)だった。確かな学力の育成には、学習意欲を基盤とした基礎的基本的な知識・技能の習得と、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力などの能力、主体的に学習に取り組む態度を育むことが必要となる。小・中学校では、学ぶことに楽しさや成就感をもたせるとともに、授業の最初に目標を示すことや授業の最後に学習したことを振り返る活動を計画的に取り入れ、指導した内容の定着に努めていく。
一方、学習状況調査によると、児童生徒質問紙調査と学校質問紙調査の数値には、子どもたちの意識と、教員の思いとは異なる面もある。教員には、確実な学習内容の定着を目指していただきたい。プラス1(ワン)、あと一問の正答の達成を目指していただきたい。そして、「教育は人なり」の言葉があるように、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた日常の授業改善に謙虚に取り組み、子どもたちの範となる、学び続ける教員であることを期待している。
子どもたちには、「早寝早起き朝ご飯」など、望ましい生活習慣の確立、それぞれの学年プラス十分をめどとした学習時間の確保等、しっかりと家庭で学習する習慣が定着することを啓発していく。
昨年から土曜日授業を実施している。平日の特別活動等を土曜日に移すことから、平日の授業時間の確保につながり、子どもたちの学びの定着に寄与した、と認識している。二十九年度も、小・中学校で数回実施する。通常の授業や補充的な学習、道徳や総合的な学習の時間、学校行事等を行い、土曜日の学習環境の充実に努めていく。学校生活の中で教育の支援を必要とする子どもたちには、引き続き、支援員の配置を継続していく。
なお、小学校は、単学年は一年生と六年生、ほかの学年は複式で二学級の編制となる。町費負担の複式学級支援教員を配置して、国語・算数・理科・社会等の教科で学年ごとの授業の実施に努める。
さらに、ALT(外国語指導助手)をもう一名採用し二名体制とする予定。小学校の新学習指導要領は、三十二年度から全面実施となる。この改訂で小学校五・六年生は、現在の「外国語活動」が格上げされ教科「英語」へ、小学校三・四年生にも「外国語活動」が導入される。英語教育は、三十年度からの先行実施も可能であり、円滑な実施に向けて準備する必要がある。幼少期からの英語活動の充実を図り、言語や文化等、グローバル化に対応した子どもたちの育成に努めていく。
▽豊かな心と健やかな体を育む教育
子どもたちがお互いを尊重して、ともに支え合いながら、社会の一員として成長していくためには、心身の健やかな発達を支援していくことが必要。とりわけ、道徳教育については、規範意識や倫理観、命を大切にする心や思いやりの心を育むとともに、体験活動を通して、社会性や豊かな心を育むことが大切です。
小学校では三十年度から、中学校では三十一年度から「特別の教科 道徳」が実施される。円滑な実施に向けた校内体制を整備するとともに、道徳教育の全体計画や年間指導計画の見直しを行い、「考え、議論する道徳」へ道徳の授業の質的転換を図ることが求められる。子どもたちにとって意義深い道徳の時間となることを期待している。
また、いじめの防止にかかる法律が施行されてから四年になる。小・中学校では、予防に向けた子どもたちの動静把握やアンケート、面談、リーフレット等によるいじめの根絶に向けた啓発活動を行っている。小・中学校のいじめ防止基本方針に基づき、子どもたちの落ち着いた学校生活や学びの環境を維持すべく、いじめの未然防止、早期発見、早期対応、早期解消に向けた取組を継続していく。
学校給食の食材は、値上がり傾向にある。地元の野菜や季節に応じた新鮮な食材を使用し、栄養バランスを考慮した献立の充実など、安心・安全でおいしい昼食の提供に努めていく。栄養教諭による食に関する正しい知識や、望ましい食習慣を身に付けさせる授業を継続する。
なお、二十九年度から中学校もフッ化物洗口を実施する。昨年から実施している認定こども園や小学校をはじめ、中学校までの子どもたちに、歯の健康を意識させ、虫歯ゼロを目指す体制が整う。
さらに、新しい取組として、小学校四年生と中学校一年生に生活習慣病予防検診(八項目の血液検査等)を行い、生活習慣や食生活等を振り返る機会とする。
▼信頼される学校の構築
▽コミュニティ・スクールの試行
学校と地域がパートナーとして連携・協働するためには、学校が「地域に開かれた学校」から一歩踏み出し、地域でどのような子どもたちを育てるのか、何を実現していくのかという目標やビジョンを地域住民や保護者と共有し、地域と一体となって子どもたちを育む「地域とともにある学校」へと転換していく必要がある。この学校運営協議会を導入することにより、地域ならではの創意や工夫を生かした特色ある学校づくりが進むと期待している。
学校運営協議会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十七条の五(平成十六年制定)に基づく制度で、①校長が作成する学校運営の基本方針を承認する②学校運営について、教育委員会または校長に意見を述べることができる③教職員の任用に関して、教育委員会に意見を述べることができる―の三つの機能がある。学校運営の「基本方針の承認」を行うなどの具体的な権限を有していることから、地域住民や保護者が学校運営に対する当事者意識を分かち合い、ともに行動する体制を構築することができる。
また、学校運営協議会は学校の良きパートナーとなるものであり、学校の応援団。校長が描く学校のビジョンを保護者や地域住民と共有し、校長のリーダーシップのもとにともに汗をかき、そのビジョンの実現を目指そうとするための仕組みである。試行ではあるが、実施に必要な学校運営協議会規則の制定や町の学校管理規則の一部の改正を行い、制度導入の環境を整えた。現在、小・中学校では学校運営協議会委員が選出された。各学校から指定申請書や委員推薦書が教育委員会に提出され、二十九年四月一日からの指定に向けた準備が進んでいる。試行一年目は、何かしら紆余曲折は予想されますが、意欲的にコミュニティ・スクールに取り組んでいく。
▽小・中学校の連携
学校教育の充実のためには、教職員が自らの資質や専門性を高めるとともに、子どもたちの学力や体力の向上を目指して、日常の教育活動に積極的に取り組む必要がある。小学校、中学校が一校の本町においては、お互いの連携は極めて重要。小・中学校の先生が、子どもたちの学習指導や生活面で意見交換をすること、中学校の先生が小学校で授業を行うなど、相互の連携を行うことは、大きな意義がある。
本町では二十一年度から、小中連携の取組が組織され、「中頓別町家庭学習の手引き」が作成されている。今後も教科や授業研究の連携はもちろん、より円滑な小・中学校の接続が必要となる。小・中学校の連携は、義務教育九年間の「教育課程の編成や学びの地図」を作成することにつながり、先生方の資質の向上に結びつくと考えている。なお、認定こども園と小学校についても、情報や意見交換を行いスムーズな受入に努めていく。
▼生涯学習の振興
子ども未来塾・中頓別チャレンジ教室「夏・冬」や高齢者いきいき教室「リフレッシュ研修旅行」の実施など、誰もが主体的、意欲的に生涯学習に取り組むことができるよう、様々な学習機会を創出して、学びへの意識を高めていく。
▼文化芸術・健康づくりとスポーツの振興
▽健康づくりとスポーツの振興
新しく冬季スポーツ少年団が設立された。スキー技術のレベルアップはもちろん、参加した子どもたちの自己肯定感を高めることにつながったと認識している。心に丈夫な根をもち、骨太でタフな子どもたちであることを期待している。
なお、昨年度から実施している「夢と希望を!感動体験事業」は、子どもたちに本物の感動を与えるとともに、学習上の動機づけにもつながることを期待し、二十九年度も継続していく。
(市町村 2017-03-17付)
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