教職員の協力を高める学校づくり〈No.2〉 養護教諭と協力関係を 保健室は子どもの居場所(教職員の協力を高める学校づくり 2017-05-26付)
今号は、子どもたちにとって最後の居場所ともいわれている保健室について、職員室の協力を高める学校づくりの視点から説明します。
◆養護教諭連携は十分ですか
保健室には様々な理由で子どもたちが訪れます。養護教諭はその対応のため忙しい毎日を送っています。
いわば子どもたちにとって養護教諭は、学校のお母さんであり、励ましや安心
を与えてくれる全校の担任ともいえます。
養護教諭は、直接子どもたちを指導したとしても、自己完結せず担任や関係の先生に実情を説明する役目を担っています。場合によっては直接保護者の相談を受けることもあります。
学校の中で独立した保健室の業務を続けながら、報告や相談を大切にし教職員と連携して仕事を進めるため、関係が途切れては円滑な保健室業務を進めることができません。
そこには養護教諭ならではの気遣いがあります。
ある養護教諭は担任に「○○先生の学級の○○君が、きょう保健室に来て、家庭のことを相談してきましたのでお伝えします」というと、「担任でもないのに余計なことをしてほしくない」とシャットアウトされ、どう対応したらよいのかと困惑したそうです。
またある学校では、「○○さんの体調がよくないので、保健室で休ませています」と担任に話したところ、「○○は、いつものサボリだから」と軽くあしらわれ、その後、○○さんは保護者とともに体調不良の原因を突き止めるため病院に行ったところ、極度の貧血であることが分かったそうです。
学校は組織体であり、協力して業務を進めることが求められています。このような状況では、子どもたちの安全すらも脅かすことになります。
教職員の皆さんは養護教諭の話に向き合い、対応を協議するなど協力関係をより深めていただきたく思います。
◆1日1回は保健室に
あわせて、管理職の皆さんを含め、「一日に一回は保健室に行っていますか」と問いたいと思います。
ご存じのように、「子どもたちの心配の縮図は保健室にある」と言っても過言ではありません。自分の学級や学年の子どもが保健室にいる、いないにかかわらず必要な情報を交換し、その後の対応に生かすことが大切です。
管理職の先生はなおさらです。学校の危機管理の対応を図るため自ら保健室へ足を運びたいものです。
ある道立学校の校長先生は、各学年の授業参観と保健室へ行くことを日課とし、「私は、学校の状況を把握していないような裸の王様になりたくはありません。管理職自ら現場の状況を目で見て話を聞き、把握することがよい学校づくりの出発点です」と話してくれました。
(社会福祉法人恵友会監査室長・北海道医療大学非常勤講師・石垣則昭)
(教職員の協力を高める学校づくり 2017-05-26付)
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