昨今の教育情勢を解説 道小理事研―角野会長あいさつ
(関係団体 2017-07-05付)

 三日に開かれた道小学校長会の第二回理事研修会における角野誠会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

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 私の方から教育情勢について、三点お話しする。

 一点目は、六月二十三日に行われた全国連合小学校長会常任委員会についての報告である。

 最初に、全連小の種村会長は、教育再生実行会議第十次提言の内容について「これまで提言に基づき様々な施策が法制化されているので、その動向を注視していかなければならない」と述べていた。

 また、教師の業務負担軽減については、松野文科大臣が働き方改革に大変熱心だということである。新聞報道にもあるとおり、改革案を中教審に諮問し、今後、検討される予定とのことである。

 続いて「小学校外国語教育にかかる新教材の整備等実施スケジュール案」について。まず、六月二十二日と二十三日の両日、全国の指導主事等を対象とした「新教育課程説明会」が開催された。各教科等の解説書の内容も公表されている。今後、様々な場面で、詳しい説明が教育委員会等から行われる。本日も、道教委義務教育課の川端主幹から説明いただくこととなっている。これからの新教材整備等のスケジュールが発表されているので、参考にしていただきたい。

 続いて、本年七月十日に予定されている全国連合小学校長会の「小学校教育の充実に関する文教施策ならびに予算についての要望書」の提出先についてである。全国のブロック代表の会長も提出に同行することになっている。この内容については、六月二十三日の時点ではまだ公表はできないということだったが「教育費の増額」「子どもと向き合う時間を確保するための教員の定数改善や人的措置、諸条件の整備」など九項目にわたっている。ちなみに、八番目には「教育の機会均等を保障するために、へき地・小規模校の教育をさらに充実させる施策を講じられたい」という項目があった。へき地・小規模校の多い北海道にとっては、大切な要望となる。正式な要望書については、機会をとらえて皆さんに紹介する。

 続いて、全連小が文科省に提出した「小学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置案」についての意見書である。この意見書では、移行措置期間中に、外国語活動の時間確保のために総合的な学習の時間の授業時数から十五時間を減じた場合、総合のねらいが達成されなくなるという懸念と、三十二年から、また本来の時間数に戻るということを十分理解しておくよう周知する必要があると述べている。また、注意点として、種村会長から「新たに十五時間の授業時間を確保するのは、教科の外国語ではなく外国語活動なので、移行期間中における通知表の評価の在り方は、これまでと変わらない」との言葉があった。

 二点目は、六月十六日に東京で行われた日本教育会総会の中での合同研修会における文科省からの行政説明について。道小からは、私と本間事務局長が出席した。この研修での資料は百ページ余りあったが、本日は、説明の中でふれられた部分を抜粋して綴じこんでいる。机上に配ったCDには、すべてのページのデータが入っているので、研修会等で活用いただければ幸いである。

 最初は「スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーによる教育相談体制の充実」について。三十一年度までの目標としてスクールカウンセラーを全公立小・中学校二万七千五百校に配置するとある。文科省では、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの職務を新たに規定したという通知を発出している。その通知文には、具体的な職務内容が記述されている。

 二つ目は「学校の業務改善」について。最初は「わが国の教員の勤務時間状況」の結果が出ている。三十四ヵ国が参加するOECD調査において、一週間当たりの教員の勤務時間が最長の五十三・九時間を記録していることが示されている。また、役職ごとの十八年度(十年前)との比較も掲載されている。どの役職においても、時間が増加しているのが分かる。実際の時間数については、小学校の教諭では五十五時間から六十時間未満が一番多く、副校長・教頭では六十時間から六十五時間が一番多くなっている。

 業務内容別の学内勤務時間においては、授業にかかわることや成績処理、学年・学級経営にかかわる時間が多くなっていることが分かる。

 三つ目は「コミュニティ・スクール」について。コミュニティ・スクールの導入状況においては、二十八年度、二一・一%の学校設置者がコミュニティ・スクールを導入している。コミュニティ・スクールの成果認識やコミュニティ・スクールに関する制度改正の内容に留意する必要がある。改正後も、努力義務という言葉が残っている。

 四つ目は「教職員の資質向上」について。教育公務員特例法の一部改正の中に、校長および教員の資質向上に関する指標の全国的整備の記載があり「教員等の任命権者は、教育委員会と関係大学等とで構成する協議会を組織し、指標に関する協議等を行い、指針を参酌しつつ、校長および教員の職責、経験および適性に応じて、その資質の向上を図るための必要な指標を定めるとともに、指標を踏まえた教員研修計画を定めるものとする」となっている。

 その他「特別支援教育の推進」など、様々な施策の説明があった。

 最後の三点目は、第一回の理事研修会や六月の会長研修会の折に話題となった「本来配置されるはずの定数欠期限付教諭が未配置となっている問題」について。これについては、四月に全道的に調査を行い、定数欠期限付教諭一人未配置の学校が三十四校三十四人、二人未配置の学校が二校四人という結果が出ていた。

 道小としては、六月下旬に会長が道教委幹部に直接会い、再度、教育現場の窮状を訴えた。その後、道教委教職員課の担当者から対応策についての説明を受けた。

 道小では、今後も、教育委員会と連携を図りながら問題の解決に当たっていきたいと考えている。

(関係団体 2017-07-05付)

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