4種校長会長インタビュー②道中学校長会・古谷雅幸氏 つなぎ合い、前に進む組織へ 創立70周年オール北海道を意識(関係団体 2017-07-10付)
道中学校長会 古谷 雅幸氏
―中学校長会会長としての抱負
昭和二十二年七月十五日に発足した「新制中学校長懇親の会」を前身として、昭和二十四年七月にその名称を「北海道中学校長会」に改め活動してきた本会は、ことし、創立七十周年の節目の年を迎えている。
会の創立以来「中学校長の職能向上を図り、北海道中学校教育の振興を図る」ことを目的として、それぞれの時代の課題に真摯に向き合い、たゆまぬ歴史を刻んできた本会の会長の任に就くのに当たり、大変光栄なことであると同時に、その職責の重さを強く感じている。副会長をはじめ、運営委員・理事・幹事、そして全道二十地区、五百八十六人の会員の皆さんの支援と協力をいただきながら、道中の歴史と伝統を引き継ぎ、諸課題に対し全力で取り組んでいきたい。
また、ことしは私たちが暮らすこの土地が「北海道」という名になり百五十年という記念すべき年でもある。風雪や困難に立ち向かってきた先人たちに思いをはせながら、ふるさと北海道への誇りや愛着を再認識するべき年でもある。
九月二十二・二十三日に開催される「道中学校長会創立七十周年記念 第五十九回道中研究大会石狩・千歳大会」では、道中の歴史を振り返りながら記念誌を発行するとともに、記念式典、記念祝賀会を挙行し、道中のさらなる前進の決意をすべての会員で固められる場としていきたい。主管する石狩管内校長会の校長先生には多大な苦労をかけるが、大会の成功を目指したい。
三月三十一日、新学習指導要領が告示された。「社会に開かれた教育課程」の実現を目指し、学習指導要領が、学校、家庭、地域で共有して活用できる「学びの地図」としての役割を果たせるような「カリキュラム・マネジメント」の実現が求められている。
そのような中、本年度は新学習指導要領の周知期間とされている。私たちはこの期間をうまく活用すると同時に、私たち自身が「主体的に対話を重ねて深い学び」の機会を積極的にもち、アクティブ・ラーナーとして「教育の質の向上」を目指した学校改善に寄与できる校長でありたい。
―中学校長会の抱える課題と対策
本年度、道中の会員数は昨年度から十人減となった。少子化と人口減少社会の到来は今後ますます深刻化することが予想され、二十七年度に道小とともに調査した十年後の中学校数は、本年度よりも四十数校減少する見込みである。
また、本年度実施された政令市への税源移譲に伴う札幌市中学校長会とのこれからの組織の在り方もかんがみ、道中では、二十六年度から組織検討委員会を立ち上げ、業務・組織のスリム化を検討するとともに経費の縮減を図ってきた。
昨年度末までに、①会員規定を「各地区中学校長会の連合体とする」②札幌市を一つのブロックとして独立させ六ブロック体制にする③三十年度から「会長は札幌市を除く五名の副会長による互選とする」④四つの部に関しては各地区で担当し、原則三年間継続して担当する―という会則等の改正に取り組み、会計執行に関しても改革を進めてきた。
これまで札幌市の校長が中心を担ってきた役員・事務局員を、可能な限り各地区で担う体制へと変わることもあり、これまで以上に「オール北海道」という意識を醸成していきたい。
地区校長会の多くは、小学校長会と中学校長会が一体となった校長会で運営されており、今後、その形態は増えていく見込みもある。また、各自治体に小・中学校が一校ずつしかない地域が増加すると同時に、小中一貫校や義務教育学校の開設の増加も予想される。各地区の教育課題に対して、小・中学校が連携して取り組んでいく体制が求められることからも、今後、できるだけ早いうちに道小・道中で統合にかかる議論をしなければならないと考えている。
広大な北海道であるため、各地区の状況集約には困難さもあったが、インターネット環境は格段に進歩しており、大きな情報も瞬時に届けられる環境が整ってきている。事務局としては副会長、各地区理事と双方向で情報交換し、より確かなネットワークの構築に努めていくと同時に、各地区からの意見・要望を十分に把握しながら、道教委等の施策へ意見反映していきたい。
昨年度は、教員による不祥事が多くあり、学校教育への不信を招いた年であった。「信頼される学校」を構築するためには、広域で小規模校が多い北海道においては、何よりも教員一人ひとりの資質・能力の向上が不可欠である。大学とより一層の連携を進めながら、教員のキャリアステージに応じた養成・採用・研修の一体改革に、道中としても積極的にかかわっていきたい。
また、教員の時間外勤務縮減も取り組まなければならない大きな課題である。
文部科学省から発出された「学校現場における業務の適正化に向けて」では、①教員の担うべき業務に専念できる環境の確保②部活動の負担の大胆な軽減―を打ち出し、具体的な動きが加速してきた。道中としては、道高校長協会・道中体連・道高体連・道高文連等との「部活動指導の見直しにかかる申し合わせ」に基づき、部活動休養日の設定等の取組を推進するとともに、定時退勤日の設定等、まずは取組をスタートさせることが大切であると考えている。加えて、SCやSSW、部活動指導員等の「チーム学校」体制の早期確立のために、中教審の動きも注視しながら、全日中はもちろんのこと、道小や道P連等の関係団体とも連携し、道や国へ強く要望していきたい。
―本年度の重点
総会・研修会の場で、私たちは人間尊重の精神に徹した学校からの教育改革を実行して、新しい時代に求められる学校づくりに向けてこれまで以上にリーダーシップを発揮し、特色ある教育活動のより一層の充実に努める決意を新たにした。また、校長会の使命である「教育の質の向上」を目指し、授業改善や学校改善に不断の努力を積み重ねていくことを確認し合った。
四ヵ年継続研究主題「社会を生き抜く力を身に付け、未来を切り拓く日本人を育てる中学校教育」の二年目を迎えたことし、道中研究大会石狩・千歳大会の場では、創立七十周年を祝うとともに、分科会の場で、右に述べた決意や姿勢に基づく実践研究の成果と課題を各地区からもち寄り、熱心な討議が展開されることを大いに期待している。様々な教育改革が形になってきた最中に開催される研究大会であるが、副主題「一人ひとりが未来の創り手に~心豊かでたくましい子どもを育てる学校経営の在り方」の姿を全道に、全国に発信する大会にしていきたい。
また、本年度の道中は新たな組織体制の最初の年としても位置付けられている。「つなぎ合い 前に進む道中」を合言葉に、力強く前進していきたい。
結びになるが、北海道の中学校教育の振興のために、これまで各地区、各学校で積み重ねてきた実践とその成果を十分に踏まえ、保護者・地域の理解と協力を得るとともに、教育関係機関・関係団体と協働し、「チーム北海道」の一員として粘り強く確実に歩みを進める決意である。
引き続き、会員各位・関係者各位の理解と支援をお願いしたい。
ふるや・まさゆき
昭和56年道教育大札幌分校卒。同年札幌市立藻岩中を振り出しに、中の島中、清田中、平岡中に勤務。平成19年平岡緑中教頭、23年もみじ台南中校長、26年平岡中校長を経て、28年から現職の中の島中校長。
昭和32年7月28日生まれ、59歳。歌志内市出身。
(関係団体 2017-07-10付)
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