道特別支援学校長会が理事研 全教職員で支え合う職場を 法令順守の取組徹底―宮崎会長
(関係団体 2017-07-13付)

道特長理事研宮崎会長
あいさつする宮崎会長

 道特別支援学校長会は十日、道庁別館で二十九年度第一回理事研究協議会を開いた。開会式では、宮崎真彰会長があいさつ。近年、多大な被害をもたらす自然災害が増えていることを踏まえ「有事の際は、全教職員の連携こそが機動力」と指摘し「全教職員が子どもに向き合い、支え合う職場づくりを進めていきたい」と述べた。また、法令順守に取り組むことを呼びかけた。

 理事研の前半は、本年度の校種別研究計画や支部活動計画、夏季・冬季研究協議会などについて協議。

 後半では、道教委の新たな「特別支援教育に関する基本方針」策定への対応や、管理職などの大幅交代期への対応について話し合った。

 開会式における宮崎会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 本年度は、十人の校長が採用され、開校した学校もあったが、各支部においては、様々な情報の共有を通して進めてきたと思う。

 事務局には、大きな事故の報告はないが、適切な初期対応によって複雑化していないのだと思う。あらためて、各支部長、各障がい会長に感謝申し上げる。

 一日深夜に、安平町を震源に震度5弱の地震があった。札幌市も大きく揺れたが、先月、北海道・東北肢体不自由校長会で聞いた福島原発の数㌔㍍圏内にあった特別支援学校での避難の話や、先日の全特長での、熊本震災で避難所運営に当たった特別支援学校の話がよみがえった。

 福島では、原発事故が加わっているので、別の困難さがあるが、緊急避難で持ち出せたのは、児童生徒名簿だけだったとのこと。また、教職員は県外も含めて散り散りに避難したが、特に、家族と一緒に避難したベテラン層の教職員が、若手は頑張っているのに自分はこんなことでいいのかと相当の精神的ストレス下にあったとのことだった。

 また、熊本の報告では、児童生徒と家族の六十人と、地域住民の七百人を三週間にわたって受け入れたが「熊本の最も大きな反省は、熊本には大地震は起きないだろうという思い込みがあったこと」「それまでの教訓から本気で学んで来なかったことである」との言葉が印象的であった。

 熊本かがやきの森支援学校の報告は、全特長の冊子にも記載されているので、参考にしていただきたい。また、より詳しいデータが配布されているので、各支部長を通して、周知していただきたい。

▼全国特別支援学校長研究大会

 全特長総会・研究大会が六月二十九・三十日に国立オリンピック記念青少年総合センターで開催され、昨年度の活動報告および本年度の計画が了承された。

 文部科学省の特別支援教育課長の行政説明でも、特別講演でも、学習指導要領の改訂にかかる内容が中心であったが、いずれも、社会が急激に変化していく中にあって、特別支援教育の合理的配慮やインクルーシブ教育システムの役割が大きいと理解した。

 第一章第六節の「学校運営上の留意事項」には「校長の方針のもとにカリキュラム・マネジメントを行うよう努めるものとする」とある。

 先月、総則の要点について資料を発信したが、校長の方針のもととして、あえて明文化し、リーダーシップを求めていることに心したい。

 また、全特長の最重要課題としての要望に、時間外勤務の縮減に向けた改善と勤務実態に見合った処遇改善など、教職員の働き方についてもふれている。

 中央教育審議会においては「学校における働き方改革」の検討作業が始まった。

 本会としても引き続き、全特長と課題等を共有し、校長としての資質を高めたい。

▼特別支援教育にかかわる本道の動向

 新学習指導要領の前文には「よりよい学校教育を通して、よりよい社会を創るという理念を学校と社会が共有し」とある。

 我々が願うよりよい社会とは、共生社会である。知識基盤社会が進行していくにつれ、働き方に影響するほどの競争が激化し、所得の格差もあるなど、グローバル化の影も顕著になってきた。その中で、ともに生きる社会をつくる理念を固めていくには、特別支援学校、特別支援教育の役割は極めて大だと考える。

 その一つとして、ことしの夏季研では、コミュニティ・スクールについての協議を予定している。

 また、六月初めには、次期の「特別支援教育に関する基本方針」の策定に向けて、道特長会としても意見をまとめ提出した。

 このあと、意見をいただくが、施策提言や要望についても、よりよい社会、言い換えると、よりよい地域をつくる視点で意見を挙げていきたい。意見をよろしくお願いする。

 三十年度から、高校における通級が制度化されるが、全国高校長協会の特別支援学校部会において、通級モデル事業を通した体制づくりについて、神奈川県足利高校から発表があった。

 通級指導を通して、指導から支援へと教職員の意識改革が図られたこと、組織的授業改善によって分かる授業が加速したこと、地域に求められ生き残れる高校づくりが進められたことが報告され、今後の可能性として、特別支援学校過大化の解消にもつながるのではとある。

 具体的には、三年間のモデル事業で、生徒指導件数も、中途退学者も、成績不振者数も半減したとのこと。丁寧なアセスメントと校内体制を整備することによって、学校が変わるということである。

 全特長の資料に入っているので、ぜひ一読いただき、各支部、各圏域の高校との連携に活用していただきたい。

▼学校経営にかかわる課題

 教職員の職責に基づく業務管理、健康管理や服務管理と、目配り、気配り、心配りの毎日のことと思う。

 昨年度は、飲酒運転が大きな話題となったが、体罰、セクハラ、金銭事故など、学校の信頼を損なうことがないよう、法令順守に取り組まなければならない。

 特別支援学校は、職員数の多さもあって、同僚間の連携が希薄な職場風土もある。昨年は、十勝・オホーツク圏域を中心に、台風による甚大な被害があった。冒頭の地震も同様に、有事の際は、全教職員の連携こそが機動力となる。

 日ごろから、全教職員が、子どもに向き合い、手を離さないよう、支え合う職場づくりを進めていきたい。

 校長の大幅な交代期となり、本道の特別支援教育の一層の充実・発展を目指すために、本会の取組の一つ一つが大変重要である。

 きたんのない協議をお願いする。

(関係団体 2017-07-13付)

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