道教育大附属札幌中が研究大会　自律と共栄に向かう学びを

（学校 2017-08-03付）

３年総合的な学習の時間では、小路教諭が２つの手法を用いて生徒に求める情報を精選させた

　道教育大学附属札幌中学校（佐々木貴子校長）は七月二十六日、同校で二十九年度教育研究大会を開いた。研究主題「自己を拓き、協創する生徒の育成」のもと、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭、英語、道徳、総合的な学習の時間、特別活動の十五授業等を公開。積み重ねてきた実践の成果を紹介した。

　二十八年度から三ヵ年計画で研究を進めている同校は、その主題を「自己を拓き、協創する生徒の育成」と設定。二年次目の研究の重点を「〝省察〟を活用した展開により、〝自律〟と〝共栄〟に向かう学びを深化する」「〝学び舎〟の創造」の二点に据えて、研究を進めている。

　この日は、一次、二次を合わせて十五の授業等を公開。このうち、三年Ｃ組の総合的な学習の時間「リサーチする内容を精選しよう」（小路美和教諭、生徒数三四人）は二時間扱いの二時間目。本時の目標を「〝ハイ・ロー・マトリクス〟などを活用して、検証の方向性を明確にしながら、求める情報を精選することができる」と設定した。

　生徒は、総合的な学習の時間で自分自身の目的を設定。目的の解決に向けて、九月初旬に実施するフィールドワークの準備を進めている。

　小路教諭は前時の学習について、目的解決に向けた質問を考えるのに当たり、質問内容を検証する視点として「目的の解決に結び付くか」「調べてすぐに分かるものではないか」「相手に失礼ではないか」など、学んだことを振り返ったほか、相手側に立って考える視点を説明。授業協力で参加していた道教育大学の戸田弘二教授は「知りたかったこと（意図）が相手に伝わるか」「得られる情報は、目的・問題意識の解決につながるか」などを確認させ、どのような質問を考えればいいかを問いかけた。

　また、求める情報を精選するのに当たって、二つの視点から目的に結び付くかを比較して一つ一つの質問を分類する「ハイ・ロー・マトリクス」と、一つの質問について複数の視点で検証する検証シートについて、それぞれのよさを確認させた。

　生徒個人で考えさせたあと、グループ交流を実施。質問する内容が適切かなど、互いの研究の目的を共有し、内容を検討させることで他者と協働する力を育んだ。また、他者と交流させることで、自分にはない視点から内容を検証できることに気づかせた。

　授業公開後には、総合的な学習の時間の取組の発表および意見交流などを行う「〝学び舎〟の創造交流会」や研究討議が行われた。

(学校 2017-08-03付)