地域性生かした教育実現を 道教委の高校づくり指針素案に声明―北教組
(関係団体 2017-09-21付)

 北教組(信岡聡中央執行委員長)は十三日、道教委の「これからの高校づくりに関する指針(素案)」に対する声明を発表した。「子どもたちを早期に差別・選別し、平和で民主的な社会を担う主権者の育成に向け人格の完成をめざす〝47教育基本法〟の理念をないがしろにするもの」と非難。北海道の地域性を生かした豊かな後期中等教育の実現、「素案」の撤回・再考を求め「すべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる地域合同総合高校の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等を保障するための道民運動を一層強化していく」との方針を示した。

 声明の概要はつぎのとおり。

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 道教委は九月十一日、道議会文教委員会に「これからの高校づくりに関する指針(素案)」を報告した。

 その内容は、昨年十月に公表した『〝新たな高校教育に関する指針〟検討報告書』に基づき、「高校づくりの三つの視点」として、①多様なタイプの高校づくりなどにかかわり「活力と魅力のある高校づくり」②職業学科の在り方などにかかわり「経済社会の発展に寄与する人材を育む高校づくり」③地域キャンパス校の在り方などにかかわり「地域とつながる高校づくり」―を掲げた。

 また、現行の「新たな高校教育に関する指針(二〇〇六)」からの主な変更点として、①「地域キャンパス校」を「地域連携特例校」と改称し、再編基準については現行の入学者二十人未満から十人未満に緩和する。ただし、入学者が二年連続十人未満の場合は再編整備とする②一次産業や医療・福祉分野を担う人材育成に力を入れるため、農業、水産、看護と福祉の学科についても「地域連携特例校」と同様の再編基準とする③定時制課程においても入学者が二年連続十人未満の場合は、再編整備を進める④農業科や水産科の道外からの推薦入学枠拡大について検討する⑤基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図るため「新たな特色ある高校」の導入について検討する―などとした。

 しかし、これまでの「指針」同様に「生徒の興味・関心、進路希望等の多様化、中学校卒業者数の減少」などを口実として「一学年四~八学級を望ましい学校規模」とした「適正規模」を一方的に定め、財政論に依拠した機械的な学科再編・統廃合を進めようとする基本的な姿勢は何ら変わっていない。

 また、①学校間格差・受験競争激化の要因となっている通学区を改めず、現行十九学区を継続する②「理数科、体育科および外国語科に関する学科」など、スーパーエリート養成教育を一層強化する③「高校生徒遠距離通学費等補助制度」の拡充は行わない④教育委員会等による教育への不当な介入が懸念される「コミュニティ・スクール」を導入する―など「グローバル化や情報化の進展などの社会の急速な変化に対応する人材育成」を基本に据え、国家・財界が求める教育を進めるもので極めて問題がある。

 これらは、子どもたちを早期に差別・選別し、平和で民主的な社会を担う主権者の育成に向け人格の完成をめざす「47教育基本法」の理念をないがしろにするもので断じて容認できない。

 北教組は、現行「指針」「配置計画」によって、財政論に依拠した機械的な間口削減・統廃合と差別・選別の教育が進められ、子どもたちの学ぶ権利が侵害されるとともに「貧困と格差」に一層拍車がかかり、北海道の地域を疲弊させてきたことなどから「指針」の撤回・再考を訴えてきた。

 また、地域キャンパス校の再編基準見直しやしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもたちが地元の高校へ通うことのできる「地域合同総合高校」の設置など、北海道の地域性を生かした豊かな後期中等教育の実現を求めてきた。

 「本素案」では、①「地域連携特例校」の再編基準を現行の二十人未満から十人未満へと緩和する②「地域連携特例校」間や「地域連携協力校」以外の高校との連携を進める―などが盛り込まれた。これは、北教組の要求や子ども・保護者や地域の願いを受け止めたものであり、私たちは、これらを足がかりに「地域合同総合高校」の実現へとつなげていかなければならい。

 道教委は、今後行われる道教育推進会議高校専門部会、パブリックコメントや道内十九会場での「意見を聞く会」などを実施した上で、「これからの高校づくりに関する指針」を策定し、二〇二一年度以降の配置計画から適用(実施可能な施策は二〇一八年度から実施)するとしている。

 私たちは引き続き、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を結集し、道教委に対して根本的な問題が何ら改善されていない「素案」の撤回・再考を求めるとともに、すべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等を保障するための道民運動を一層強化していく。

(関係団体 2017-09-21付)

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