【解説】那須雪崩事故検証委の報告書

（解説 2017-10-18付）

　栃木県那須町で、栃木県高校体育連盟主催の春山安全登山講習会に参加していた高校生などが雪崩に巻き込まれた事故について、栃木県教委設置の検証委員会は十五日、最終報告書を取りまとめ、再発防止に向けた七つの提言を行った。

　栃木県教委は、第三者による検証委員会を四月に設置し、事故原因などの調査・検証や、再発防止に向けた提言の検討作業を進めていた。

　検証委員会が十五日、教育長に提出した最終報告書では、事故発生の「根源的かつ最も重要な要因」として、高体連と登山専門部の「計画全体のマネジメントおよび危機管理意識の欠如」を指摘。

　「関連するその他の要因」には、従来の慣行に従い、低い危機管理意識のままに実施されていた講習会を見過ごしていた県教委の「チェックや支援体制の未整備」や、講師等の雪崩の危険に関する理解不足などの「個人の資質」を挙げた。

　さらに「背景的な要因」として、関係者全体の「正常化の偏見（正常性バイアス）とマンネリズム（形骸化）」があるとした。

　再発防止に向けた提言は、①ＰＤＣＡサイクルに基づいた計画のマネジメントと危機管理の充実②安全確保のための県教委のチェック機能の充実③総合的な安全への対応力の向上を目指した顧問等の研修の充実④高校生等の安全な登山活動を支え、推進するための国、関係機関等の支援⑤高体連の主体性の確立と部活動指導者の育成、確保⑥すべての関係者の心のケアの推進⑦生徒の学ぶ意欲を喚起し、事故の教訓の風化を防ぐための取組―の七点。

　具体的な取組として「登山に限らず、すべての部活動にかかわる危機管理マニュアルを作成し、専門家の助言なども得ながら、機能するものに改善する」ことなどを示している。

(解説 2017-10-18付)