「違法・不当」と批判 組合加入状況調査で道高教組(関係団体 2017-12-08付)
道高教組(國田昌男中央執行委員長)は五日、道教委が人事協議の際に教員の職員団体加入状況を把握していたことに対する声明を発表した。声明では、道教委の調査について、不当労働行為で、個人の思想信条・プライバシーにかかわるなどの問題があり、「違法・不当な調査」であると批判。教職員組合を「教育政策の決定に関与すべき勢力」と認めた教育行政とするよう求めた。
声明の概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
人事異動協議の場において、人事担当者が校長に対し、異動希望の全教職員を対象として〝組合加入の有無〟を確認している事実を道教委が認めた。教育長は道議会で「誤解が生じることがあってはならないことから、今後見直しを行う」と答弁したが、これら違法・不当な調査は以下に述べる重大な問題が含まれている。
1.組合加入の調査は、憲法、労働組合法、地方公務員法などに反する不当労働行為である
憲法において労働基本権が保障され、労働組合法七条、地方公務員法五六条において「組合員であることを理由とする不利益な取扱いは不当労働行為」と規定されている。組合への加入の有無をもって人事異動に影響が及ぶことは、明らかな不利益扱いであり、また、それらを通じて組合活動への参加を委縮させる行為は支配介入に当たる。それらは、二〇一二年に大阪市が行った「労使関係に関する職員アンケート調査」が、大阪府労働委員会によって不当労働行為と認定されたことからも明らかである。
2.組合の加入の有無について、情報収集すること自体許されない
「調査はパーソナルデータの一環」と道教委は言い開きしているが、必要な情報は人事調書にすべて記載されている。厚生労働省は「労働者の個人情報保護に関する行動指針」において、個人情報保護との関係で、企業は原則として、思想・信条、労働組合への加入の有無等を収集してはならないと定めている。同じく厚労省発出の「公正な採用選考の基本」でも、労働組合の加入状況の把握は就職差別につながるとし、職安法第五条の四・平成十一年告示第一四一号においても、労働組合への加入状況等の個人情報を収集してはならないとされている。
3.組合加入は、個人の思想信条・プライバシーにかかわる問題である
私たち道高教組は「いい教育をしたい」という願いと、「安心して働き続けたい」という要求と、その両方を大切にして運動を進めており、組合員は、子どもたちの豊かな成長のために、教育研究活動や教育条件の改善、教職員の労働条件改善などに取り組んでいる。一方で、組合に加入しているか否かは思想・信条の自由、プライバシーに属することであり、NPO日本ネットワークセキュリティ協会による「情報漏えいが起きた場合に、個人が被る精神的、経済的なダメージ」では、「加盟労働組合」の漏えいは、「加盟政党」や「政治的見解」と同じ、最も高いレベル3の「精神的苦痛」として示されている。本人の同意を得ずに収集された情報が漏えいされることへの精神的苦痛は甚大であり、憲法一三条で保護されたプライバシーの権利、憲法一九条で保護された思想・信条の自由を侵害する行為である。
道教委は違法調査の目的を「教職員の関連情報の一部として把握」とし、「組合加入の有無をもって、人事異動に影響しているということは一切ない」と言うが、「影響がない」なら、〝組合加入の有無〟を尋ねる根拠を欠く。教職員の人事異動について教育委員会へ意見を具申する権限は校長にあり、組合加入の有無を人事異動の判断基準とされた可能性は否定できず、「誤解が生じる」で済まされる話ではない。私たちは、道教委の違法な調査・不当労働行為に強く抗議するとともに、全教職員に謝罪し再発防止策を講じることなどを求めるものである。
また、このような非違行為の背景には、道教委の旧態依然とした反組合的体質があり、それは教職員の言動を封じ込め、教育活動を委縮させる意図をもつ「情報提供制度」の運用を続けていることからも明白である。
教育諸問題について、私たちが自由かつ率直に意見を表明し、校長や道教委はその意見を知ることによってこそ、相互の意思疎通が図られ、職場の民主化とゆきとどいた教育が実現されることは疑う余地がない。道教委は「教員団体は、教育の進歩に大きく寄与し得るものであり、したがって教育政策の決定に関与すべき勢力として認められなければならない(ユネスコ 教員の地位に関する勧告)」の立場で、民主的な教育行政を進めるべきである。
道高教組は、引き続き、広範な労働者との共同・連帯を進めながら、働くものの生活と権利を守り発展させる取組を強めていくことをここに表明する。
(関係団体 2017-12-08付)
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