桧山教頭会が教育研究大会開く 学校間、地域との連携を 国研・藤原総括研究官招き講演(関係団体 2017-12-07付)
2日目の講演には、国研の藤原総括研究官が登壇。約100人の関係者が耳を傾けた
【江差発】桧山教頭会(吉川聖会長)は十一月中旬の二日間、上ノ国町総合福祉センターで第四十九回教育研究上ノ国大会を開いた。助言者や主幹教諭を含め約四十人が参加。「学校間、学校と地域社会との連携」をテーマに教頭の関与の在り方を追究したほか、国立教育政策研究所初等中等教育研究部の藤原文雄総括研究官の講演を通じて教頭としての職能の向上を図った。
研究主題は「豊かな人間性と創造性を育み未来を拓く学校教育~教育課程の改善・充実を図るための学校間、学校と地域社会との連携を推進する教頭の関与の在り方」。第十四次三ヵ年継続研究の一年次目。
初日の開会式では吉川会長があいさつ。研究テーマにふれた上で「桧山教頭会が掲げた〝学校間、学校と地域社会との連携〟は新学習指導要領のキーワードでもあり、〝社会に開かれた教育課程〟の実現の鍵となる」と呼びかけた。
さらに「新学習指導要領は、子どもたちにどのような資質・能力を身に付けられるようにするかを教育課程で明らかにすることを求めている」と指摘。「社会の要請に応えるため、私たち教頭は教育課程を編成・実施・評価し、改善に向けたかかわりを再認識する必要がある」との考えを示した。
開会式に続き、桧山教育局の櫻井康雄次長が「管内教育の一層の充実に向けて」と題して講話。全体会では、各町教頭会が研究の実践発表を行った。
このうち、奥尻町教頭会は、中学校統合によって南北の学区が一つになったため、奥尻中・奥尻小・青苗小を一ユニットとして整理し直し、その結果、各校の学習規律に関する指導の実態やふるさと学習の実態を把握できたことを伝えた。
二日目の講演では、国研初等中等教育研究部の藤原総括研究官が登壇。「〝チームとしての学校〟という切り口で桧山管内の学校の良さを探ってみる」と題して教頭職への期待の言葉を送った。〝チームとしての学校〟が求められる背景にふれ、「全体の教育水準の底上げを図り、新しい時代に必要とされる資質・能力を身に付けさせるだけではなく、貧富の格差など不平等を拡散させずに公平な学校をつくる必要が生じている」ことを説明した。その上で「学校が社会の格差を広げる機関になるか、それともみんなが幸せになる社会をつくる機関になるかが問われている」と伝えた。
つぎに、江差町立南が丘小のよさを挙げ「すべての子どもに優秀性を確保しようと思ったら組織プレーをやらざるを得ないが、南が丘小には子ども向けのスタンダードだけではなく〝教師スタンダード〟が生きている」と評価した。
◆子の幸福感向上は学校教育の役目
また、「学校教育のやるべきことは、子どもの幸福感をアップしてあげること」と語り、「その子のすてきなところを発見し、称賛のボイスシャワーを浴びせてあげることが大事」と強調。「教師の仕事は固有名詞の仕事。Aちゃん、Bちゃんの個別の成長をみとるから面白くなる。南ヶ丘小では子どもが頑張る場面をつくり、一人ひとりを見ながら称賛してあげる様子がみられた」と話した。
このほか、教頭が学校の雰囲気をよくするポイントにふれ「学校にツートップは似合わない。教頭だけ優秀な学校の雰囲気もよくない。教頭はどんなに優秀でも校長を支えてほしい。校長と仲がいい雰囲気をみせることが学校の雰囲気をよくする」と語った。
さらに「校長のリーダーシップだけで子どもの学力と幸福度が上がるわけではない。リーダーシップの総量を増やし、全員がリーダーシップを発揮する学校がいい学校だと言われている」と伝えた。
教頭職については「事務作業に時間を取られて教育職から最も遠い〝不自由な人〟になるが、担任時代と動き方を変え、校長の理念を実現する事務局になる必要がある。大事なのは職員指導の力。いろいろな職員を乗せたり巻き込んだり育てたりしながら、事務局として子どもを幸せにしてほしい」と期待した。
(関係団体 2017-12-07付)
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