市立札幌みなみの杜高等支援が初の公開研 3年計画で教育課程を研究 協働育成システムを説明
(学校 2018-03-06付)

みなみの杜第一回公開研究会
全国・全道から96人が参加した

 市立札幌みなみの杜高等支援学校(池上修次校長)は二月二十三日、同校で第一回公開研究会を開いた。研究主題「みなみの杜協働育成システムで生徒が自分らしく成長するために」のもと、教科学習・コース実習の五授業を公開したほか、研究グループがポスターセッションなどを実施。開校から一年間、積み重ねてきた実践の成果を発表した。

 同校は、市で二校目となる高等支援学校で、昨年四月に開校。道内初となる普通科職業コースを設置し、校内にある「杜cafe」運営を中心とした三部門七職業コースで実習を行っている。

 開会式では、はじめに池上校長があいさつ。同校が教育の柱として掲げる職業コースでの〝働く力を育てる学び〟だけではなく、教科学習などの〝生き抜く力を育てる学び〟を通して「自分を高めたり、人を大切にしたりする学びを育てていきたい」と強調。一年間積み重ねてきた実践について「皆さんにありのままを発信する。本校の教育に対し、きたんのない意見、批正をいただきたい」と求めた。

 続いて、全体会を実施。教務主任の髙杉美和教諭が同校の教育課程について、新山淳教諭が研究概要について説明した。新山教諭は、企業や地域などと連携し生徒を育てる「みなみの杜協働育成システム」について、三年計画で検討し完成させる教育課程の研究を行うことなどを説明した。

 全体会のあと、授業を公開。国語と社会の教科学習と、職業コースの「センター」「キッチン」「サポート」の三コースの実習を公開した。

 このあと、公開授業の振り返りと、同校教諭によるポスターセッションを行った。また、神奈川県横浜市立若葉台特別支援学校の川口信雄研究主任兼特別支援教育コーディネーターが「学校全体で〝働き続けられる人〟を育てる~就職がゴールではない」と題して講演した。

◆2授業、3実習を公開 杜cafeでの学びなど紹介

 市立札幌みなみの杜高等支援学校の公開研究会では、教科別学習の二授業と、三つの職業コースの実習を公開した。

 このうち、若林慎二教諭が指導した一年六組社会「私たちの周りにある店、働く人」(生徒数八人)は、五時間扱いの四時間目。本時の全体目標を「杜cafeの利用者アンケートを読み解き、発表したり、意見交流したりすることができる」「タブレットPCの表計算ソフトを活用し、カフェの売り上げ食数表からグラフを作成することができる」「作成したグラフから店の売り上げ食数の傾向を読み解き、その原因を予想して発表したり、交流したりすることができる」と設定した。

 前時までに、生徒は、誰もが集えるバリアフリーな場所を目指してボランティアなどで運営している「ユニバーサルカフェ minna」を取材。運営や店内の工夫について調べ、学級内で取材した内容を整理している。

 この日、若林教諭は、生徒が取材して気づいたことを前時にまとめた紙を黒板に掲示。カフェが「地域の人のために」などの考えのもと工夫している点を確認した。

 続いて、杜cafeを昨年十二月に利用した人のアンケートを、生徒が一台ずつ持っているタブレットPCに表示。アンケートを読んで気づいたことは何か問いかけた。生徒がよい意見ばかりを選んだ際には「よくないことも書いてあるはず」と指摘し、杜cafeの運営における改善点に気づかせた。

 続いて、昨年十二月の杜cafeの売り上げ食数を営業日ごとにまとめた表を配布し、タブレットPCの表計算ソフトに数字を入力させた。表計算ソフトは、数字を入力すると棒グラフが作成される仕様になっており、前時までに数学で使用している。

 生徒が作成した棒グラフをテレビに表示し、グラフから読み取れる売れ行きの傾向を考えさせた。生徒からは「全体的にオレンジジュースやウーロン茶が売れていない」といった意見が出たほか、その理由として別の生徒から「ソフトドリンクを飲む子どものお客さんが少なく、寒いので温かいコーヒーが売れた」という意見が出た。生徒に様々な観点を提示し、多様な意見が出るようにかかわったほか、データを分析させる活動を通して、カフェ運営を自分ごととしてとらえさせた。

 若林教諭は生徒の意見を板書してまとめ、「地域に愛される杜cafeにするにはどうしたらよいか」と問いかけた。生徒からは子どもが来店したときのために「絵本があったらよい」といった意見が出た。

 公開授業後の振り返りでは、若林教諭の授業について、教科横断的な内容を評価する声が挙がったほか「データをグラフ化して読み解く部分は、これだけで一時間使いたい内容」などの意見が出た。札幌市教委教育課程担当課の荻澤吐夢特別支援教育担当係長は、地域での学習を「カフェに生かすことにとどまらず、人とのかかわり、温かさや思いやりを学び、自分たちの生活に生かしている」と話していた。

(学校 2018-03-06付)

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