30年度胆振管内教育推進の重点―胆振局が公立小中校長会議 チームとしての学校を 横断的〝つながり〟キーワードに
(道・道教委 2018-04-18付)

胆振教育局公立小中校長会議(佐野局長)
オール胆振の取組を求める佐野局長

 【室蘭発】胆振教育局は十二日、むろらん広域センタービルで管内公立小・中学校長会議を開いた。佐野秀樹局長が三十年度の管内教育推進の重点を説明。教育推進テーマを引き続き「オール胆振で教育効果の高い“チームとしての学校”づくりを目指して」と設定し「横断的“つながり”をキーワードとした教育活動を推進する」と述べた。

 管内教育推進の重点はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 三十年度胆振管内教育推進の重点にかかわり基本姿勢などを説明させていただく。

 このことについては前年度、オール胆振での教育推進のため、各市町の教育行政執行方針や各学校の教育計画への反映、全国学力・学習状況調査の実施時期も踏まえるなど、早い段階で示すこととし、昨年十二月に各教育委員会等を通じて「案」を伝えた。

 その後、この三月に北海道教育推進計画や学校における働き方改革の推進に向けた北海道アクション・プランが新たに示されたことから、それらの内容を加えており、十日に行った管内教育長会議において伝えたので、あらためて、皆さんにも説明させていただく。

 管内教育推進テーマは、前年度に引き続きオール胆振での継続した取組が必要であると考え「オール胆振で教育効果の高い“チームとしての学校”づくりを目指して」を掲げさせていただく。

 また、管内すべての学校において、全教職員が協働しながら、具体的な取組を浸透する中で徹底させ、それを検証し、日常的な授業改善などに努めていただけるよう、働きかけの強化を考えている。

 特に、本年度は子どもにとって学びやすい環境づくりを力強く推し進めることを考えており、学力向上に向け、個に応じた指導の充実を図るほか、先人から受け継いだ財産をさらに発展させるという北海道百五十年事業の趣旨や三十二年のアイヌ民族博物館を含む民族共生象徴空間開設に向けた取組を活用するなど「ふるさとを想い、グローバルな視野でともに生きる力の育成」について、横断的な“つながり”をキーワードに教育活動を推進する。

 さらに、学校における働き方改革を進めるための会議の設置について、新たに掲載させていただいた。

 管内においては、すでにこのことについて教頭の業務改善など、二十八年度に策定された人材育成プランをもとに取組が推進されているが、本年度、道教委に新たに設置される予定の仮称・学校における働き方改革実現本部による取組なども踏まえ、道教委のアクション・プランによる指標実現に向けた取組を管内においても推進したいと考えているので、教育局と各市町教委、校長会等で構成する会議の設置など、校長の皆さんには、趣旨を理解いただき、協力をお願いする。

 つぎに、前年度の教育局としての改善内容と取組状況、その課題については、十二月との変更はないので割愛する。

 三十年度教育局としての改善内容については、十二月の時点から追加・変更しているので、あらためて説明する。

 一つ目は「PTA等と連携した情報機器の活用および家庭学習の定着に向けた取組の推進」について。

 PTA等と連携した情報機器の活用については、前年度、教育長協議会や各学校、PTAなどと連携し、アウトメディアを呼びかけるポスターやリーフレットをすべての学校に配布するなど、アウトメディアに関する意識を高めるための取組を行ってきた。

 しかし、管内は依然としてメディアへの接触時間が長いこと、加えて、家庭学習の時間が少ないことが明らかとなっており、本年度は、前年度の取組に「家庭学習の定着」を加えた。

 また、本年十一月には、校長の皆さんの協力も得ながら胆振管内アウトメディアフォーラムの開催を考えており、医療関係者などとも連携して、より実効性ある取組を推進し、環境醸成に努めていく。

 二つ目は「不登校児童生徒ゼロ運動の推進」について。

 管内における不登校児童生徒数は、二十八年度の問題行動等調査によると、小学生が百二人、中学生が三百三十一人となっており、全道平均よりもかなり高く、解決しなければならない喫緊の課題である。

 不登校は、家庭などの問題に起因する場合が多く、学校・地域・関係機関などと連携することが不可欠であり、一体となって不登校児童生徒を減らす取組を行う必要があり、教育局としては、管内いじめ問題等対策連絡協議会などとも協働しながら各組織と目的を共有し「不登校児童生徒ゼロ運動」を推進していく。

 三つ目は「子どもにとって学びやすい環境づくり」に取り組む。

 新たな学習指導要領においては、社会に開かれた教育課程の実現や、学校段階間の一層の連携が求められている。また、個々の児童生徒の多様な実態を踏まえ、一人ひとりが抱える課題に個別に対応した指導を求めており、困難さに対する指導の工夫の意図、手立てを明確にし、一人ひとりの教育ニーズに応じたきめ細かな指導や支援をさらに行っていただくため、教育局として、“つながり”をキーワードとした教育活動の推進に努めていく。

 四つ目は「指導主事の連携強化」について。

 前年度、教育局と各市町の指導主事およびアドバイザーなどと、オール胆振で、各学校に対する支援と指導助言を行うため、二回の管内指導主事等会議を実施することができた。

 本年度は、教育局と各市町の役割などについて、さらに明確化し、日常的に各学校に対して、きめ細かな支援体制を構築していきたいと考えており、より一層、連携を深めていく。

 五つ目は「学校における働き方改革」「新たな人材育成プラン」について。

 各市町教委や校長会などで構成する会議を設置させていただくほか、道教委のアクション・プランによる指標の実現に向けた取組の推進について、積極的に協力をお願いする。

 また、女性管理職比率の低さへの対応は、重要課題であると考えており、女性ミドルリーダー養成研修や管理職の意識改革など、職場環境の改善などについて、さらに継続して取組を進めていく。

 同様に、「教頭受験者の減少への対応」は、本年度、教頭の業務改善にかかわる検討チームによる提言がまとめられるが、その内容なども踏まえながら、次期人材育成プランの作成も含め、今後とも管内統一した取組を着実に推進していただくようお願いする。

 六つ目は「服務規律の保持にかかわる指導の徹底」について。これまでも機会あるごとに注意喚起してきたが、依然として、不祥事が絶えない状況にある。

 教育局としては、コンプライアンス確立会議や出前講座の充実・拡充など、様々な取組を通じて服務規律の徹底を行っているが、各市町・学校においても、計画的に繰り返し研修等を実施するなど、教職員一人ひとりまでに浸透させていただくよう、指導の徹底をお願いする。

 最後に七つ目は「事務職員の学校経営への参画」について。

 昨年三月に事務職員の職務について、法律が一部改正された。

 このことから、教師の子どもと向き合う時間を確保するため、事務職員の積極的な学校経営への参画について、研修会や各種会議などにおいて、当局担当部署はもとより、道立学校運営支援室においても積極的に働きかけていく。

 以上が、次年度に向けた管内教育推進の基本姿勢である。

 つぎに、三十年度胆振管内教育推進の重点について説明する。

 管内教育推進の重点については、管内教育推進テーマを意識し、北海道教育推進計画に基づいて作成した。

 新たな北海道教育推進計画は、基本目標が六点、施策項目が三十項目とされている。

 計画を受け、教育局としては、新たに策定された道教育推進計画の六点の目標を踏まえ、管内として「浸透・徹底・検証」が必要な十六の項目について、「胆振の重点」と位置付けた。

 教育局としては本年度も、各市町との「連携・協働」を一層強化するとともに、「浸透・徹底・検証・改善」のサイクルをしっかり意識しながら、実効性ある効果的な取組となるよう管内教育を推進するので、変わらぬ理解と協力をお願いする。

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(道・道教委 2018-04-18付)

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