30年度上川管内教育推進の重点 上川局が高・特校長会議開く 社会で〝活きる力〟育成 学校・家庭・地域の連携密に(道・道教委 2018-05-02付)
中島局長が教育推進の重点について説明した
【旭川発】上川教育局は四月十八日、上川合同庁舎で三十年度管内高校・特別支援学校長会議を開いた。中島康則局長が本年度の管内教育推進の重点を説明。学校評価や道高校学習状況等調査などの各種調査などを活用した学校改善プラン等に基づく検証改善サイクルなど、カリキュラム・マネジメントの確立に向けた組織的な取組の推進を通じて、確かな学力を育む教育を図るほか、高校英語力向上事業、U―18未来フォーラム指定事業を通してグローバル化に対応した外国語教育の充実に努めていくことなどを示した。
管内における教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
三十年度管内教育推進の重点を申し上げる。
校長の皆さんには、これまで、今日的な教育課題の解決に向けて力強いリーダーシップを発揮していただいたことに感謝する。
昨年度は、本年三月に告示された新学習指導要領を視野に、上川の子どもたちが自らの将来を切り開いていくために必要な学力や体力などを一層育んでいくことが責務であるとの考えのもと、組織として教育活動に取り組む体制の整備に尽力いただいたものと認識している。
そのため、本年度は、より一層、学校、家庭、地域および行政がそれぞれの役割と責任を自覚し、一体となった取組を進め、管内の学校に通うすべての子どもたちに、確かな学力や豊かな心、健やかな体がバランスよく育成されるよう、上川らしい教育を推進していただきたいと考えている。
さて、道教委では、新学習指導要領や知事が定める道の教育、学術、文化の振興に関する北海道総合教育大綱を踏まえ、三十年度以降の北海道が目指す教育の全体像を示した北海道教育推進計画を策定し、本年二月には教育行政執行方針を示した。
本日は、道教育推進計画や教育行政執行方針をもとに、本年度の管内教育推進の重点の中で、特に高校、特別支援学校で重点的に取り組んでいただきたい内容について示す。
【基本目標I 社会で活きる力】
基本目標1の1「確かな学力を育む教育の推進」について、特にお願いしたいことは、カリキュラム・マネジメントの確立に向けた組織的な取組の推進や、外部人材を活用した知識や教養を身に付けさせる指導の充実などである。
管内においては、学校評価や各種調査などの結果を踏まえ、カリキュラム・マネジメントの確立に向けた組織的な取組を推進していただいている。
また、選挙権年齢が十八歳に引き下げられたことに伴い、生徒に選挙に関する知識や教養を身に付けさせるため、公民科の授業のみならず、ホームルームや総合的な学習の時間など、学校の教育活動全体を通じた取組を進めていただいている。
一方、外部人材を活用した取組においては、事前の打ち合わせが不十分で、ねらいや指導内容が明確でなかったり、内容自体が不適切なものなど、学習活動において課題がみられる。
そのため、各学校においては、特に基本目標1の1にかかわり、
▽各種調査などを活用した学校改善プラン等に基づく検証改善サイクルなど、カリキュラム・マネジメントの確立に向けた組織的な取組の推進
―などを通じて、確かな学力を育む教育の推進を進めていただくようお願いする。
教育局としては、指導主事による学校運営指導訪問などにおいて、学力向上に向けた検証改善サイクルの確立や授業改善の具体的な方策などについて指導助言に努める。
基本目標1の3「新しい時代を切り拓く力を育む教育の推進」について、特にお願いしたいことは、グローバルな視野で活躍するために必要な資質・能力の育成や、生まれ育った地域への愛着や誇りをもち、主体的に自己の進路を選択・決定できる力の育成である。
管内においては、高校英語力向上事業、U―18未来フォーラム指定事業を通してグローバル化に対応した外国語教育の充実や、生徒の社会的・職業的自立に向け様々な教育活動に取り組んでいただいている。
一方、生徒の英検準二級の取得率は目標五〇%に対し、一三・五%にとどまっている。
また、管内の高校におけるインターンシップの実施率が三二%にとどまっているなど、課題がみられる。
各学校においては、グローバル化した現代社会で活躍する人材を育成するため、海外の生徒との交流など、国際理解教育の取組の一層の充実を図っていただくようお願いする。
また、事前・事後学習と関連付けたインターンシップを全生徒が在学中に経験するよう、取組の充実を図るようお願いする。
教育局としては、生徒が国際的な視野を広げるよう、U―18未来フォーラム指定事業の成果の普及や、地区フォーラムなどを活用し英語教育の充実に努めるとともに、各学校のキャリア教育の充実に資するよう、昨年度まで富良野市で取り組んでいた小中高一貫ふるさとキャリア推進事業の成果の普及に取り組む。
【基本目標Ⅱ 豊かな人間性】
基本目標2の1「いじめや不登校を解消する取組の充実」について、特にお願いしたいことは、学校いじめ防止基本方針に基づいたいじめの未然防止や学校と家庭・関係機関が連携した不登校の子どもへの対応についてである。
管内においては、学校いじめ防止基本方針に基づいた組織的な取組や、入学前に中学校と情報交換するなど関係機関と連携した取組を進めている。
一方、不登校生徒は増加傾向にあり、個々の事案は家庭や環境などの様々な要因が複雑に絡み合い、対応が困難で解決に時間がかかるケースがみられる中、児童生徒理解・教育支援シートなどの活用や、家庭や関係機関と連携した取組に課題がみられる。
そのため、各学校においては、基本目標2の1にかかわり、
▽児童生徒理解・教育支援シートなどの活用や、家庭や関係機関と連携した不登校の問題の対応に向けた取組の推進
―などを通じて、いじめや不登校を解消する取組の充実に取り組んでいただくようお願いする。
教育局としては、関係機関と連携した取組事例を紹介するなど、効果的な実践が推進されるよう支援に努める。
【基本目標Ⅲ 健やかな体】
基本目標3の1「体力・運動能力の向上」について、特にお願いしたいことは、新体力テストの全学年・全種目の実施についてである。
管内においては、体育・保健体育科の授業において、多くの学校が新体力テストを全学年・全種目で実施されるなど、体力向上に向けた取組の充実が図られてきている。
一方、子ども自身が自分の体力の向上を実感できるようにするなど、計画的・継続的な体力向上の取組を充実させることや日常的に運動する機会を確保することなどに課題がみられる。
そのため、各学校においては、基本目標3の1にかかわり、
▽新体力テストの全学年・全種目の実施および課題のある種目の複数回実施による体力向上の把握など全校での継続的な取組の推進
―を通じて、体力・運動能力の向上に取り組んでいただくようお願いする。
教育局としては、子どもの体力向上ボトムアップ事業や体育専科教員活用事業などの成果の普及などに努める。
【基本目標Ⅳ 学びを支える家庭・地域】
基本目標3の1「家庭の教育力の向上」について、特にお願いしたいことは、望ましい生活習慣の定着に向けた取組の推進についてである。
管内においては、学校と家庭が連携した望ましい生活習慣の定着に向けた取組を行っていただいている。
一方、二十八年度道高校学習状況等調査において、調査を行ったすべての高校で「学習の目的以外で、平均一日にどのくらいインターネットを利用するか」という質問に対して、「三時間以上」と回答した生徒が四八・五%となるなど、課題がみられる。
そのため、各学校においては、基本目標4の1にかかわり、
▽電子メディア接触時間を見直すと同時に家庭での学習習慣の定着を図る取組の推進
―などを通じて、家庭の教育力の向上に取り組んでいただくようお願いする。
教育局としては、PTAと連携して取り組んでいるどさんこアウトメディアプロジェクトの推進を通して、ネット利用も含めた望ましい生活習慣の確立に向けた取組を推進する。
【基本目標Ⅴ 学びをつなぐ学校づくり】
基本目標5の1「教職員に対する信頼性の向上」について、特にお願いしたいことは、教職員一人ひとりに服務規律の保持徹底や教職員が子どもたちと向き合う時間の確保に向けた業務改善の推進についてである。
管内においては、飲酒運転根絶などコンプライアンス確立にかかわる職場研修や個人面談の実施、授業改善に向けた管理職による授業参観やメンター研修の実施を推進していただくとともに、一斉定時退勤日や部活動休養日を設定するなど、勤務時間の縮減に向けて工夫していただいている。
一方、服務規律の保持や学校における勤務時間などに課題がみられる。
そのため、各学校においては、基本目標5の1に示した
▽教員の時間外勤務の縮減による子どもと向き合う時間の確保
―を通じて、教職員に対する信頼性の向上に取り組んでいただくようお願いする。
教育局としては、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」に基づき、教員が業務の質を高めるとともに、日々の生活や教職員人生を豊かにすることで、自らの専門性や人間性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行い教育の質を高めるという、働き方改革の理念を共有しながら取組を進めるとともに、教員の資質・能力の向上を図るため、教員育成指標に基づく教員研修の充実などに努める。
基本目標5の2「魅力ある学校づくりの推進」について、特にお願いしたいことは、新学習指導要領への移行を見据え、新しい時代に対応したチーム学校としての組織づくりを推進することである。
各学校においては、自校の教育活動の様子をウェブページで公表していただいるが、地域から信頼され、魅力ある学校づくりを推進するためには、PDCAサイクルに基づき、学校評価における喫緊の課題に即した評価項目の設定や、教育活動やその他の学校運営の状況について積極的に公表することなどに課題がみられる。
そのため、各学校においては、引き続き、ウェブページなどを活用し、教育活動の様子や学校運営の状況を保護者や地域に向けて積極的に公表するようお願いする。
教育局としては、教育実践、教育活動の情報を進路相談通信や授業実践講座としてウェブページにアップし、教育局と学校が連携した取組を積極的に公表していく。
【基本目標Ⅵ 学びを活かす地域社会】
基本目標6の1から3については、教育委員会の担当部署と連携して各取組を進めていく。
各学校においては、ふるさと北海道への理解を深め、愛着をもたせるため、道民カレッジの周知や、文化財保護強調月間や芸術週間における芸術文化に親しむ取組の推進について、協力いただくようお願いする。
【むすび】
以上、本年度の管内教育推進の重点について、五つの柱から皆さんに取り組んでいただきたいことについて申し上げた。
ことし、本道は北海道と命名されて百五十年の節目の年を迎えたが、北海道命名の地であるここ上川がこの先、二百年、二百五十年と持続・発展していくために、次代を担う子どもたちが自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう、学校・家庭・地域・行政との緊密な連携のもと、一丸となって教育の充実・発展に取り組んでいくことが重要である。
上川教育局としては、新しい北海道教育推進計画で示された北海道教育の基本理念「自立」と「共生」のもと、学校と市町村教委が手を携えながら、上川らしい取組を積極的に展開し、管内教育の充実・発展に取り組み、三十年度の管内教育推進の重点の実現に向けて、理解と協力をいただくようお願いする。
(道・道教委 2018-05-02付)
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