高校教育は新たなステージ 道高校長協会 川口会長あいさつ(関係団体 2018-05-11付)
川口会長は同協会の運営について4点述べた
道高校長協会の本年度総会・前期研究協議会(八日、ホテルライフォート札幌)における川口淳会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
本年は本道が「北海道」と命名されてから百五十年を迎える。本道の歴史や文化、自然や産業などの貴重な財産を引き継ぎ、新たな一歩を踏み出すことになる。本道の教育においても北海道総合教育大綱において、つぎの世代を担うための目指すべき人材を「その先の道を切り拓く北海道人」として地域で大切に育んでいくとしている。
この大綱に基づく北海道教育推進計画では、「自立」と「共生」を本道の教育の基本理念として、社会で生きる力や豊かな人間性の育成などを目標としている。また、選挙権年齢が十八歳以上となり、子どもたちにとって社会や政治が身近になってきている。
このような中、子どもたちが将来、社会で活躍し、貢献できるよう、社会とのかかわりの中で子どもたちの成長を支えていくことが重要であるとあらためて感じており、本協会としても高校教育の充実を図り、将来の社会を担う人材の育成のための役割を果たしていく必要があると考えている。
こうしたことを踏まえ、本年度における本協会の運営について四点申し上げる。
一つ目は、協会の協働体制の構築について。
本年度、本協会の活動方針の主題を「北海道の未来を担う人を育む高等学校教育の創造」、副題を「新高等学校学習指導要領が目指す教育の研究と実践を推進する」としている。
本年三月に高校学習指導要領が告示された。知識や技能だけでなく、思考力・判断力・表現力や、学びに向かう力・人間性など、いわゆる資質・能力の三つの柱の育成を実現し、生きる力を育むことを目指している。そのためには主体的・対話的で深い学びを重視した授業改善を進めていく必要がある。
また、探究という言葉を付した科目は、発展的な学習、課題の設定・探究などの内容であり、より深い学びが実践されるものと考えている。
さらに、すべての教育活動に必要とされる言語能力や高度情報化に必要とされる情報活用能力などは、学習の基盤となる資質・能力であり、教科等の横断的な学習によって培う必要がある。
今後、各学校では、新しい教育課程の編成を含め、カリキュラム・マネジメントを確立していくことから、主題と副題を設定している。
前年度設定した本協会の重点目標については、一部文言を修正しているが、その趣旨を継続している。本年度も重点目標の実現に向けて、本協会が様々な活動において、高校教育にかかる課題を共有し、協議を深め、その解決を図っていきたいと考えている。
二つ目は、研修の充実と調査研究の推進について。
本協会では、調査研究部において、委員会および小委員会でテーマに沿って調査・研究していただいている。本年度は、四つの委員会および、引き続き、進路指導委員会の中に高大接続小委員会を設けている。
この四月に高校に入学した生徒から対象となる大学入学共通テストについては、すでに実施方針が示されている。国語と数学における記述式の導入と、英語の四技能を評価する観点から民間の検定等の活用が現行のセンター試験から大きく変わる。昨年、試行調査が実施されたが、全般的に問題文が工夫され、読解力の必要性をあらためて感じた。
今後、試行調査の結果などを踏まえ、より詳細な実施方法などが示されるものと考えている。
また、次年度から実施される高校のための学びの基礎診断については、本年中に学校で活用する測定のツールが公表されることとなっている。今後、各学校で共通テストや基礎判断の実施に向けた検討が必要になるものと考えている。
こうしたことから、高大接続小委員会において、大学入試等に関する調査・研究をしていただきたいと考えている。
学校安全に関しては、小委員会を設けず、生徒指導委員会の中で調査研究を進めることとした。委員を中心に調査・研究を進めていただきたいと考えているので、理解と協力をお願いする。
文教施策要望については、前年度末にいただいた意見、要望を取りまとめている。本年度も教育改革の動向や本道の高校教育にかかる課題などを考慮するほか、要望の具体化、焦点化、継続化の観点から、重点項目を絞り、要望項目や内容を明確にするなど、要望書の作成に努めたいと考えている。
三つ目は、教職員の資質・能力の向上について。
全国的に働き方改革に向けた様々な取組が推進されており、本道では北海道アクション・プランが、この四月から施行された。「一週間当たりの勤務時間が六十時間を超える教員をゼロにする」ことを目標にして、部活動休養日の完全実施や学校閉庁日の設定をはじめ、様々な取組を進めていくこととしている。
各学校で、目標の実現に向けて、計画的に取り組んでいくことが大切である。
また、前年度、不祥事の防止や危機管理能力の向上を図るため、本協会内に特別委員会としてコンプライアンス推進委員会を設置し、学校における研修などの参考となる資料を作成した。
しかし、依然として教職員による不祥事がなくならないことや学校が抱える課題が複雑になり、長期化する場合があることなどから、本年度も継続して本委員会を設置し、教職員の意識の高揚を図るような取組を行いたいと考えている。
さらに、後継者の育成が課題となっていることから、ことし三月に初めて昇任教頭事前研修会を開催した。様々な立場の方々からの講話のほか、グループ協議が熱心に行われるなど、充実した研修会となった。今後も、後継者の育成につながるような取組を推進していきたいと考えている。
最後に、本協会の創立七十周年について。
本年度は、本協会が創立してから七十年の節目を迎える。今後、運営委員会を発足させ、総務・式典・祝賀会・記念誌の四つの委員会を組織し、来年一月八日の記念式典に向けて、準備を進めたいと考えている。
これまで本協会が築いてきた歴史を顧みながら、今後の本協会の活動や高校教育について、展望する機会になるものと考えている。皆さんの協力をお願いする。
以上、本協会の運営について話させていただいた。
高校教育は今、新たなステージを迎えている。二〇三〇年以降の社会を見据え、変化の激しい時代の中で、人々と協働しながら、新たな価値を創造していく人材が必要とされており、高校教育には資質・能力の三つの柱について、バランスを重視しながら育むことが求められている。
こうしたことを背景として、教育改革の方向性が示されてきており、本年度はこうした動きに対応していくスタートの年になると考えている。
各学校では校長がリーダーシップを発揮し、具体的な方策について検討を進めていくこととなる。
そのためには、自校の教育理念を明確にし、その具現化の方向を示していくことが大事である。
また、現状と課題を的確に把握し、課題に確実に向き合うことが重要である。リーダーが考え方を示すことは、組織が動くためには必須なことであり、保護者や地域への説明責任を果たしていくためにも必要であると考えている。
また、リーダーは、物事を検討する際、時間的な視点と空間的な視点が必要である。短期的な視点だけでなく、中長期的な視点をもち、一面だけでなく、多面的な視点をもち、教育の効果や期待される成果について検討することが大切であると考えている。
さらに、教職員一人ひとりの能力や意欲、様々なアイデアは教育を支える礎であり、こうした力量を発揮するような組織づくりに努めることは、組織の活性化にもつながるものと考えている。
本協会としても、校長の学校経営に資するためには、校長間のネットワークが大切であると考えている。
このため、本年度も協働ということに重点を置いて、教育改革や教育課題に関する様々な情報を共有し、課題の解決に向けて協議を深め、相互の協力によって実効性のある活動に結び付けていきたいと考えている。
本協会では、これまで社会に貢献することを目的として「DO3KO福プロジェクト」に取り組んできており、ことし四年目を迎える。これまでの協力に感謝申し上げるとともに、今後とも協力をお願いする。
(関係団体 2018-05-11付)
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