5ヵ年の教育推進基本計画策定―釧路市教委 確かな学力の育成など 項目ごとに達成目標を示す
(市町村 2018-05-16付)

 【釧路発】釧路市教委は、今後五年間における施策の方向性を明らかにするとともに、これらに基づく教育施策を総合的・体系的に推進していくことを目的に、第二期「釧路市教育推進基本計画」を策定した。三十~三十四年度を計画期間とし、①教育委員会・学校・家庭・地域の幅広い連携②教育を取り巻く環境の変化への対応③市の特色を生かした教育の実現―の三つの視点から、「確かな学力の確立」「豊かな心の育成」など六つの基本方針と十二の基本方策を提示。項目ごとの達成目標の数値も示した。

 計画は、釧路市まちづくり基本構想の学校教育に関する分野の計画に位置付けるとともに、教育に関する大綱に沿って具体的な施策を展開するための行動計画として策定。基本方針として、①確かな学力の確立②豊かな心の育成③健やかな体の育成④充実した学びを支える教育環境の整備⑤信頼に応える学校づくりの推進⑥健全な育ちを支える連携・協働の強化―を掲示。それぞれ「生きる力を支える学力の向上」など十二の基本方策と、二十四項目の具体的な施策を示した。

 中で、コミュニティ・スクールを導入している割合を現状の小学校二三・一%を六〇%に、中学校二〇%を四〇%に、中学校区における小中連携協議会等の設置数を九から十四とするなど、達成目標を示した。

 主な施策をみると、①では、子どもたちの確実な基礎・基本の定着のため、一人ひとりの学力の定着状況を的確に把握し、生活習慣や家庭学習の指導も含め、個に応じたきめ細かな指導の充実に努めることとし、釧路市標準学力検査の活用や、補充的な学習サポートの実施などを盛り込んだ。達成目標として、「平日、家庭学習を全くしない」と回答する児童生徒の割合(現状―小6〇・三%、中3七・〇%)をゼロとすることなどを掲げた。

 また、深い学びとなるよう、子どもの学習に対する意欲を一層高める指導の充実に努めるとし、学校教育(訪問)指導やICT機器などを活用した授業の充実に取り組む。

 さらに、特別支援教育の充実に向け、特別な教育的支援を必要とする児童生徒の状況を的確に把握し、一人ひとりのニーズに応じた適切な指導や必要な支援に努める。達成目標として、特別な支援が必要な児童生徒の「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」が整備されている小・中学校の割合(現状―小四六・二%、中三三・三%)を小・中学校ともに一〇〇%とすることなどを挙げた。

 ②では、道徳教育の充実に向け、家庭や地域と連携を図りながら、基本的な倫理観や思いやりの心、強い意志など、社会性や豊かな人間性を育む道徳教育の充実に努めることとし、「特別な教科 道徳(道徳科)」の充実や、豊かな情操の育成に取り組む。

 また、多様な興味・関心に応える魅力ある図書を充実し、子どもたちの豊かな感性や表現力、創造力を高める読書活動を充実させることとし、釧路市中央図書館などとの連携、学校図書館の整備などを進める。

 さらに、いじめなどの問題行動について、子ども理解と正確な状況把握に基づくいじめの未然防止、早期発見、早期対応に向けた取組の充実やいじめ根絶に対する意識の徹底を図るとし、「いじめは、どんな理由があってもいけないことである」と回答する児童生徒の割合(現状―小6八八・四%、中3七五・九%)を小6・中3とも一〇〇%とすることを目標に掲げた。

 ③では、体育の授業や体育的行事における活動を通じて、運動の楽しさや喜びを実感させ、生涯にわたって進んで運動に親しもうとする意欲を高める体育活動の充実に努め、新体力テスト実施の工夫改善や、「一校一実践」などの運動習慣づくりを促進する。

 ⑤では、信頼される学校づくりを進めるため、保護者や地域と成果や課題を共有しながら、主体的な学校運営の改善が図られるよう、教育活動状況の積極的な情報発信をするなど開かれた学校づくりに努める。コミュニティ・スクールを導入している割合を小学校二三・一%を六〇%に、中学校二〇%を四〇%とする目標を掲げた。

 ⑥では、「小一プロブレム」「中一ギャップ」などの未然防止、発達段階の学習内容の確実な定着を図るため、異校種間の円滑な連携・接続に努める。具体的には、同一中学校区内小学校と中学校が課題意識を共有し、合同の研修会をもつなどして、義務教育学校を含めた小学校と中学校の連続的な学びを推進。中学校区における「小中連携協議会」等の設置数を現状の九から十四に引き上げる。

(市町村 2018-05-16付)

その他の記事( 市町村)

札幌らしい学校教育推進事業―札幌市教委 検討プロジェクト設置へ 成果等整理し新たな特色を

 札幌市教委は、札幌らしい特色ある学校教育の推進にかかる検討プロジェクトを設置する。自立した札幌人の育成に向けて行うもの。設置時期は未定だが、これまで取り組んできた十年間の成果や課題を整理す...

(2018-05-22)  全て読む

七飯町30年度教育行政執行方針 8月に3日間の学校閉庁日 給食費―第3子以降無料に

七飯町教育長與田敏樹  【函館発】七飯町教委の與田敏樹教育長は、十六日に開会した臨時町議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。学校における働き方改革の一環として、八月十三日から十五日までの三日間を学校閉庁日にす...

(2018-05-21)  全て読む

医療的ケア児支援に関する提言採択 指定都市サミットin札幌で 環境整備へ国に支援要望

 指定都市市長会(会長・林文子横浜市長)は十五日、指定都市サミットin札幌で「医療的ケア児に対する十分な支援体制の確保に関する指定都市市長会提言」を採択した。医療的ケア児は、人工呼吸器などを...

(2018-05-21)  全て読む

業務時間外の転送電話試行―札幌市教委 21日から15校で展開 既存2校含め課題など精査

 札幌市教委は、業務時間外における転送電話(留守番電話)の試行実施について、二十一日からモデル校を十三校増やす。保護者などからの時間外の電話に対して、業務時間外であることを知らせる機能を電話...

(2018-05-21)  全て読む

新たに医療的ケア児などの専門研修―札幌市保健福祉局 現場見学などで知識向上 秋以降、デイサービス職員等対象に

 札幌市保健福祉局は、本年度新たに医療的ケア児などに関する専門研修を実施する。医療的ケアを必要とする子どもの支援における知識を向上させることが目的。対象は、放課後等デイサービスの職員などを予...

(2018-05-17)  全て読む

道町村教委連が道教委に要望 教職員定数・待遇改善を 新規2項目含む73項目要請

道町村教委連文教施策要望書手交  道町村教育委員会連合会(会長・石田政充美深町教育長)は十一日、道庁別館で道教委に対し、三十一年度文教施策に対する要望活動を行った。小・中学校教職員定数の改善、教職員の待遇改善など、五分野七...

(2018-05-15)  全て読む

19日からスタート 札幌市立小学校の運動会

 ことしも運動会シーズンがやってきた。札幌市教委のまとめによると、本年度の市立小学校運動会は、今月十九日(土)が皮切り。九月十五日(土)で締めくくりとなる。今月二十六日(土)に運動会を行う小...

(2018-05-14)  全て読む

次期文化芸術基本計画を策定へ―札幌市 7月以降、検討委で案作成 パブコメ経て年度末までに

 札幌市は、「札幌市文化芸術基本計画」の次期計画を年度末までに策定する予定だ。文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために策定。三十一年度からの五ヵ年計画で、六月末から七月初旬に検...

(2018-05-14)  全て読む

30年度小学校英語専門教師配置事業―札幌市教委 10校指定し授業づくり研究 16日まで推進校募集受け付け

 札幌市教委は、本年度の小学校英語専門教師配置事業について、研究推進校を十校指定する。現在、研究推進校を十六日まで募集。推進校は『札幌市小学校教育課程編成の手引~移行期措置に関する資料~外国...

(2018-05-11)  全て読む

雪・環境・読書で47校指定 札幌らしい学校教育推進事業実践校―札幌市教委 11日にプロジェクト会議

 札幌市教委は、三十年度札幌らしい特色ある学校教育推進事業の研究実践校を決定した。四十七校を研究実践校に指定。各研究実践校は雪・環境・読書のそれぞれのテーマに沿って、特色ある教育活動を推進し...

(2018-05-10)  全て読む