全道代表高校長研で道教委所管事項説明・上 生徒・教員の英語力向上 適切な評価や外部検定活用(道・道教委 2018-07-03付)
道教委主催の三十年度第二回全道代表高校長研究協議会(六月十五日、道庁別館)では、各課等の担当者が所管事項を説明した。高校教育課所管事項では、英検準二級相当以上の英語力のある生徒の割合五〇・〇%、準一級以上を取得している教員の割合七五・〇%との目標に向けた実践や適切な評価の実施、外部検定の受検促進などを要請した。
説明概要はつぎのとおり。
《高校教育課①》
【教育課程の編成・実施】
▼教科書採択
各学校においては、二十六年六月九日付教高第四一三号教育長通達「“道立学校の教科書(中等教育学校の前期課程ならびに特別支援学校の小学部および中学部において使用する教科書を除く)の採択に関する実施要綱”の施行について」に基づき、適正かつ公正な選定を行うとともに、選定した教科書の報告については、三十年六月十一日付教高第五一四号通知「三十一年度に道立学校で使用する教科書の選定結果の報告について」に基づき、教育長の採択決定後に変更や追加などのないよう正確に行っていただきたい。
特に、教科書の選定結果の報告、および需要数報告の手続きなどにおいて、誤りがないよう、学校での確認・点検を確実に行っていただきたい。
なお、二十七年度以来、採択関係者に対する検定申請本の内容の開示を伴う不適切な行為や、宣伝活動などに関するルールを逸脱する行為が多くの教科書発行者において継続的に行われていたことが明らかとなったことから、各学校においては、三十年四月十一日付教義第三九号教育長通知「教科書採択における公正確保の徹底等について」に基づき、教科書採択の公正性・透明性の確保に万全を期していただきたい。
高校等において使用する教科書については、前年度の教科書採択から、各学校における教科書の選定結果およびその理由を高校教育課のウェブページに掲載することとした。本年度も同様に掲載するので、承知おき願う。
▼履修と修得の分離等(カッコ内は、前年度の学校数)
▽二学期制=全日制百九十二校(百九十一校)、定時制三十五校(三十五校)
▽学期の区分ごとの単位修得の認定=全日制六十四校(六十一校)、定時制十一校(十二校)
▽卒業に必要な履修と修得の単位数の分離=全日制百七校(百五校)、定時制十七校(十七校)
▽学校外における学修の単位認定=全日制百五十四校(百十九校)、定時制四十一校(三十八校)
▽土曜日授業=全日制三十四校(二十五校)、定時制二校(二校)
学期の区分ごとの単位修得の認定は、各教科・科目の授業を特定の学期に行う場合や、留学する生徒への対応などにおいて有効な方策であることから、学校の実情に即して検討いただきたい。
履修と修得の分離についても、生徒の能力・適性や興味・関心などが多様化している実態を踏まえ、個々の生徒について個性の伸長を図る観点から検討いただきたい。
また、学校外における学修の単位認定については、二十九年五月十八日付教高第三五三号「高校等における学校外学修の単位認定について」で通知したが、本年度は導入した学校が増加している。生徒の実態や学校の実情などを踏まえ、特色ある多様な教育活動を展開するため、導入について引き続き、積極的に検討いただきたい。
▼教科・科目の授業時数の確保
各学校においては、定期的に授業時数を集計し、年間指導計画に照らして、授業の実施状況を確認していただきたい。
年度当初に予定した授業時数を下回っている場合には、年度末までの授業時数を見通した上で、長期休業を活用するなどして確実に補充を行っていただきたい。
▼指導要録の様式の変更
通級による指導の制度化に伴い、指導要録の様式の変更を検討している。決定次第、各学校に周知する。
▼三十三年度大学入学者選抜における調査書や提出書類等の改善
二十九年八月三日付教高第八五九号通知「三十三年度大学入学者選抜実施要項の見直しにかかる予告について」によって、文部科学省からの予告を知らせた。
本予告については、大学入学者選抜にかかる新たなルールや、調査書や提出書類等の改善などについて記載されており、現在の第一学年から適用される。
調査書や提出書類などの改善にかかわっては、総合的な学習の時間や特別活動等における生徒の活動について継続的に記録を取るなど、適切に準備していただきたい。
【公立高校入学者選抜】
▼三十一年度道立高校入学者選抜における学校裁量にかかる事項
各学校においては、裁量を導入した成果などを検証するほか、生徒の個性や能力などを一層多面的にとらえるとともに、学校の特色を生かした選抜という観点から、学校裁量にかかる事項について検討いただきたい。
▼公立高校入学者選抜状況報告書(速報版)
例年同様、学力検査の得点や正答率などについて、速報版を作成し、今月中に公表する。
なお、出願者の状況を含めた『公立高校入学者選抜状況報告書』は、例年同様八月上旬に公表する予定。
【研修】
▼研修の成果の学校や地域への還元
各種研修について、研修の成果を受講者本人だけでなく、自校や地域における教育の充実に還元できるよう配慮いただきたい。
還元の機会としては、校内研修の講師、校内や管内研究会での報告、レポート等の回覧などが考えられる。
▼中堅教諭等資質向上研修(旧十年経験者研修)
▽第I期
①オンデマンド形式による研修=夏季休業開始以前の一日
②集合形式による研修=7月25~27日
▽第Ⅱ期=31年1月8~10日
各学校においては、学校計画研修との連続性を重視し対象者へ指導いただきたい。
▼初任段階教員研修
▽一年次第Ⅱ期・宿泊=夏季休業期間中の三日間(各教育局が設定)
▽一年次第Ⅲ期=12月26日
▽二年次第Ⅰ~Ⅲ期=五~十二月の三日間(各一日、各教育局が設定)
▽三年次=五日間(事前研修一日、実習三日間、事後研修一日、各教育局が設定)
▽四年次
①オンデマンド形式による研修(七~九月の一日間、二講座)
②集合形式による研修(十~十二月の二日間、各教育局が設定)
▽五年次
①オンデマンド形式による研修(七~九月の一日間、三講座)
②集合形式による研修(十~十二月の一日間、各教育局が設定)
本年度から、一年次研修から五年次研修まですべての研修を実施することになるので、承知おき願う。
各学校においては、より効果的な研修となるよう、事前に各研修の目的や内容などを確認するとともに、自己の課題などについて整理して研修に臨むよう、対象者へ指導いただきたい。
【各種事業等】
▼二十九年度道高校学習状況等調査
二月十五日から三月末日にかけて、二百二十七校(全日制の道立高校二百十一校、市町村立高校十六校、定時制の道立高校九校、市町村立高校七校)、二万七千三百五十二人の生徒が参加して実施した。
調査の結果は、全道分を集計し送付する。
自校の経年分析を行うなどして学習指導の改善・充実に活用するほか、保護者に対し、学年懇談会や地区別懇談会など多くの保護者が集まる機会に、自校の状況や改善策などについて説明いただきたい。
▼道高校学力向上実践事業
推進校および協力校をつぎのとおり指定した。
①コアアビリティモデル(Cモデル)=国語、数学、英語、農業、工業、商業、水産の七教科―推進校七校、協力校十二校
②ベーシックモデル(Bモデル)=国語、数学、英語、地理歴史、公民、理科の六教科十三科目―推進校六校、協力校三十五校
③アドバンストモデル(Aモデル)=国語、数学、英語の三教科―推進校三校、協力校九校
▽教材作成
本年度は、本事業の最終年度であることを踏まえ、これまでの事業の実施結果を検証し、作成する教材などが主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に一層資するものとなるよう改善する。推進校においては、全道協議会(年二回、札幌市)への教員の派遣およびモデル別・教科別教材等作成会議の開催、協力校においては、全道協議会および推進校で開催するモデル別・教科別作成会議への教員の派遣について、配慮いただきたい。
▽学力テスト分析マニュアル
二十九年度の学力テストの結果については、道高校学習状況等調査の結果とともに送付する。
三月二十六日付事務連絡「“学力テスト分析マニュアル”について」で送付したマニュアルを活用し、正答率の経年比較などによって課題のみられた領域などにおいて、本事業で作成した教材や指導事例等を活用するなどして、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を図っていただきたい。
▽授業実践講座
①教科指導講座=七~十月の期間の一日間、全道二十会場程度(国語、地歴歴史・公民、数学、理科、英語について、それぞれ道内四ブロックで開催)
②進学指導講座=七~十月の期間の一日間、全道六会場(国語、数学、英語について、各二会場で開催)
③ICT活用講座=七~十月の期間の一日間、全道二会場(道北ブロック、道東ブロックで開催)
会場の提供や講師となるスペシャリストの派遣、教員の参加について配慮いただきたい。
▽ハイレベル学習セミナー
①地区セミナー=三十一年三月まで(一日×三回)、伊達緑丘高校・留萌高校・遠軽高校・釧路江南高校(推進校)―選抜性の高い大学への進学を目指す道立高校生および中等教育学校生が対象
今後、セミナー推進校から地区セミナーの開催要項を発出するので、生徒に対し、参加について積極的に働きかけていただきたい。
なお、中央セミナーについては、第一回全道代表高校長研究協議会で説明したとおり。
▼文科省「教科等の本質的な学びを踏まえた主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点からの学習・指導方法の改善の推進」
本事業の趣旨は、各管内において主体的・対話的で深い学びの視点からの学習・指導方法の改善や各学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進などに取り組むとともに、その成果を普及し、新学習指導要領の趣旨の周知・徹底を図ることである。
本年度は、夕張高校、静内高校、遠別農業高校、帯広柏葉高校を拠点校とし、前年度までのSCRUMの拠点校であった札幌北高校、函館稜北高校、旭川東高校、釧路湖陵高校の四校に本事業のサポート校を依頼する。
また、拠点校・サポート校のない管内に、推進校を六校、各管内に連携校を数校指定することから、積極的に協力いただきたい。
▼高校生の基礎学力定着に向けた学習改善のための調査研究事業
二十八年度から、札幌英藍高校が文科省「高校生の基礎学力定着に向けた学習改善のための調査研究事業」の指定校として、高校生のための学びの基礎診断の導入に向け、生徒の学習意欲の高揚および家庭学習習慣の定着を目指したカリキュラム・マネジメントの確立に関する実践研究に取り組んできており、道教委としても、今後、その成果の普及に努めていく。
各学校においては、こうした研究成果や国の動向を注視しつつ、高校生のための学びの基礎診断の活用について検討するとともに、カリキュラム・マネジメントの推進に努めていただきたい。
▼地域医療を支える人づくりプロジェクト事業
▽メディカル・キャンプ・セミナー
八月七~十日、ネイパル深川、札幌医科大学を会場に実施する予定。
各学校においては、教員の派遣および医学部医学科への進学を希望する生徒(二年生)の参加について、配慮いただきたい。
▽高校生メディカル講座および地域医療体験事業
医進類型指定校のない管内において、協力校を指定。三十年五月二十三日付教高第四〇一号で地域医療体験事業、三十年五月二十九日付教高第四四〇号で高校生メディカル講座の実施について通知した。
これらの取組については、指定校および協力校において、高校教育課や教育局と連携し、医育大学や総合振興局、道医師会などの協力を得て、内容の充実を図っていただきたい。
▼科学の甲子園北海道大会
数学、理科、科学技術などの知識・技能を用いて、チームで日常生活と関連付けながら科学的に問題を解決する力を競うことによって、生徒等の科学的に探究する能力の向上を図るとともに、科学技術などに対する興味・関心を高めることが目的。
一次予選は、十月二十一日午前十時から札幌西高校、室蘭栄高校、函館中部高校、旭川西高校、北見北斗高校、釧路湖陵高校、根室高校で開く予定。
決勝大会は、十二月八日午前十時から札幌啓成高校を会場に開催する予定。
本大会は、生徒の思考力・判断力・表現力の育成に有用であると考えられることから、生徒の参加について積極的に働きかけていただきたい。
▼U―18未来フォーラム
二十九年度には、拠点校を八校指定し、海外の高校などとの定期的な交流を通して、英語による発表や討論など言語活動にかかる指導方法や、交流に関する実践研究を実施した。
また、全道三会場でICTを活用した海外協力校との交流に関する取組について説明や協議などを行う地区フォーラムを開催し、三十四人の教員が参加した。
最終年度のことしは、十一~十二月に全道フォーラムを開催する予定。教員の積極的な参加について、配慮いただきたい。
▼高校英語力向上事業
指定校、協力校の選定にかかわり、各学校の理解・協力に感謝する。今後、指定校においては、すでに提出していただいた計画書に基づき取組を進めていただきたい。
▽タイプⅠ(外国人旅行者に対応する)=岩見沢西高校、旭川永嶺高校、美幌高校、帯広緑陽高校、中標津高校
▽タイプⅡ(外国企業との取引にかかわる)=倶知安農業高校、苫小牧総合経済高校、函館工業高校
▽タイプⅢ(海外で学ぶ・生活する)=滝川高校、札幌国際情報高校
各指定校においては、英検IBAの実施やプロジェクト会議の協議などを踏まえた授業改善、グローバル企業の見学やインターンシップの実施などを通して、生徒のコミュニケーション能力の向上を図る取組を推進していただきたい。
▼グローバル人材育成キャンプ
本道のグローバル化の推進に資するため、国際社会において主体的に行動できる資質・能力やコミュニケーション能力の育成を図ることをねらいとして、高校生を対象とするグローバル人材育成キャンプを四会場で実施する。
▽道央=8月6~8日(日帰り)、札幌市内道第二水産ビル
▽道南=7月25~27日(2泊3日)、ネイパル森
▽道北=31年1月11~13日(2泊3日)、ネイパル北見
▽道東=31年1月10~12日(2泊3日)、ネイパル厚岸
参加者の募集にかかる通知については、五月九日付けで発出済み。
各学校においては、外国語担当教諭やALTの派遣についても特段の配慮をお願いする。
▼高大連携による「Hokkaido Study Abroad Program」
本事業は、北海道大学の留学生二十人程度を道立高校に派遣し、英語授業の支援や高校生との交流活動を行うほか、道立高校生二十人が北海道大学を訪問し、大学内で講義や大学における研究紹介、留学生との英語による交流を行うことなどを通じて、高校生の異文化理解や留学・海外大学への進学意欲の高揚を図るもの。
現段階では、九月から十月にかけて相互交流を行う方向で検討中。実施要項等ができ次第、各道立高校あて通知するので、留学生の受け入れに協力いただくとともに、生徒の積極的な参加を促していただきたい。
【生徒および教員の英語力向上】
▼二十九年度英語教育実施状況調査(二十九年十二月一日現在、カッコ内は前年度)
▽英検準二級相当以上の英語力を有すると思われる生徒の割合=全道三七・六%(三五・二%)、全国平均三九・三%(三六・四%)、目標値五〇・〇%
▽英検準一級以上を取得している英語担当教員の割合=全道五三・三%(四九・七%)、全国平均六五・四%(六二・二%)、目標値七五・〇%
▼生徒の英語力向上
生徒の英語力については、各学校においてスピーキングテストなどパフォーマンステストを実施し、生徒の英語力を適切に把握した結果、二・四ポイント上昇しているが、道の目標は五〇・〇%に設定しており、引き続き、生徒に英語力を身に付けさせる実践や、生徒の英語力を適切に測る評価の取組を実施していただきたい。
なお、CAN―DOリストの形式での学習到達目標については、すべての学校で設定されているが、今後は、高校教育課のホームページに掲載している特色ある英語教育の実践事例を活用するなどして、各学校で作成したCAN―DOリストの見直しや授業改善に向けた活用をさらに進めていただきたい。
▼教員の英語力向上
教員においては、外部検定の受検を通して、自己の英語力を客観的に確認するとともに、三十二年度から導入される大学入学共通テストにおける民間資格・検定の活用も踏まえ、生徒の英語力の課題として挙げられる「書くこと」や「話すこと」などの表現する力を育成する指導方法や、授業などにおいて生徒の英語力を適切に評価するためのパフォーマンステストの手法を身に付けることができると考えられる。
また、英検準一級以上の資格は、外資系企業などにおいては評価の対象となったり、大学などにおいては単位認定に認められたりするなど社会的信頼が大きく、教員の英語力を評価する客観的指標の一つと考えられる。
各学校においては、三十年六月十三日付事務連絡「中学校・高校の英語担当・小学校の先生へ~英語の各試験団体の“特別受験制度”を英語力向上に活用しませんか」を周知するなどして、未受検者に対し、積極的に働きかけていただきたい。
(道・道教委 2018-07-03付)
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