道教育大附属旭川小・旭川中が教育研究大会(学校 2018-07-04付)
【旭川発】道教育大学附属旭川小学校(南部正人校長)は六月中旬、同校で教育研究大会を開いた。研究主題「学びをつなぐ子供を育てる教育活動の創造 二年次~深い学びを実現する学習づくり」のもと、十一授業を公開。本年度は、①深い学びの学習デザイン②深い学びを創り出す授業展開③深い学びにつなげる評価―の三点を視点として、各教科等における見方・考え方を働かせ、各教科等の資質・能力を身に付けていく深い学びの実現を目指した研究の成果を紹介した。
同校では、三ヵ年研究で重視して育てたい資質・能力として、「解決策を構想する力」「情報を活用する力」「論理的に考える力」「創造的に考える力」「他と関わり合う力」「自らを振り返る力」の六点を設定。研究で重視する資質・能力を明確にした単元や題材構成の在り方、授業展開、学習活動の工夫などを視点に、学びをつなぐ子どもを育てる指導方法などの研究を進めている。
二年次目となる本年度は、研究テーマを「深い学びを実現する学習づくり」と設定。①深い学びの学習デザイン②深い学びを創り出す授業展開③深い学びにつなげる評価―の三点を研究の視点とし、深い学びの実現に向けて各教科等の本質的な学習の在り方について研究に取り組んできた。
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4年算数「整理のしかた」公開
当日は十一授業を公開。うち、四年二組(三村仁教諭、児童数三四人)の算数「整理のしかた」は、五時間扱いの一時間目。
二年生を対象に実施するアンケートの目的や内容、整理すべきことを明確にするとともに、アンケートの項目を組み合わせながら二次元の表に整理する方法を考えさせることを目的とした。
導入で、三村教諭は「ペア学年である二年生との交流で遊びを決めなければならないため、アンケートを取る必要がある」ことを伝え、その際、「どのようなアンケートをとればいいか」と、質問を投げかけた。
また、数学的な概念や性質などに着目し、思考を整理させるための指導の工夫として、事前にとったアンケートの内容を一覧として一枚の紙にまとめたものを提示。
児童からは「同じものがいくつかある。アンケートの内容を整理する必要がある」「外遊びと中遊びを分けて聞いたら」などの意見が挙がった。その上で、三村教諭は「知りたいことを決めて、アンケートをつくってみよう」と問題を提示した。
児童が個人思考に取り組んだあと、学習をより良い問題解決につなげる指導の工夫として、集団解決の場面で必要だと思うアンケート調査の項目を、「遊びは好き?嫌い?」「みんなでできる?できない?」と、対比になるようカードに記入させて、板書に提示して考えさせた。
うち、ボール使用の有無をアンケート項目として考えた児童は「卓球やテニスは人数が限られてしまう。鬼ごっこだったら、みんなで遊ぶことができる」などと発言。
三村教諭は、児童の意見を踏まえ、アンケートをつくるときは、「調べる目的を考えることが大切」であることに気づかせた。
児童個々にアンケート調査の作成に取り組ませ、本時の問題解決へとつなげた。
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2年道徳特設授業正しいことは進んで
道徳と外国語の特設授業のうち、道徳は二年一組(安部彰浩教諭、児童数三六人)の『わすれられない えがお』を公開した。
本時は、物事や行為の善し悪しを正しく判断する力を身に付け、正しいと思ったことを行う大切さに気づき、進んで取り組もうとする意欲を育てることを目的とした。
教材は、混み合うバスの中で、隣にいたおばさんの足を踏んでしまう主人公のせいこ。迷ったせいこは、母親の教えを思い出し、おばさんに謝罪。それに対して、おばさんがすてきな笑顔を返してくれる。主人公の心の葛藤や不安な気持ちが描かれている物語。
事前指導では、他教科・他領域の関連として、学校生活において、すべきことや正しいと思ったことを進んで行っている。また、家庭・地域社会との関連として、進んで取り組んでいることを通信などで紹介している。
安部教諭は内容に入る前に、「正しいと思ってもできなかったことはあるか」と発問して、本時の課題への方向付けを行った。
その上で、「進んで正しいことをするためにはどうすればいいか」と問題提示し教材を一読。道徳的諸価値の確かな理解を目指す学習指導の改善を図るため、せいこの行動を「A わざとではないけれど あやまる」「B わざとだから あやまる」「C わざとではないから あやまらない」「D わざとだけど あやまらない」の四項目を挙げて、心の葛藤を考えさせた。
Aの項目について、児童は「謝らないと相手も嫌な気持ちのままだと思う。謝るのは正しい」「ぶつかってなくても、相手がぶつかったと思うかもしれない。謝ることは大切」などと理由を述べていた。
ほかにも、せいこが正しい行動をすることができたことや、おばさんが笑顔になった理由についても考えさせた。
安部教諭は「進んで正しいことをするためには、相手の気持ちを考えることが大切。進んで正しいことをすると、自分も相手もいい気持ちになる」とまとめた。
児童は「怒られても、怒られなくてもすぐに謝る」「これからは勇気を出して謝れるようになりたい」などと感想を述べていた。
(学校 2018-07-04付)
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