小中連携・一貫教育研修会開く―千歳市教委　実施に向け意識高める　市内教育関係者５００人が研鑚

（市町村 2018-08-01付）

小中一貫教育の必要性と意義を学んだ

　千歳市教委は七月二十四日、市立北陽小学校で同市の全教職員を対象とした小中連携・一貫教育研修会を開いた。市内小・中学校の校長、教頭、教諭ら約五百人が参加。講師を務めた道教育大学の萬谷隆一教授、広島県呉市立呉中央中学校の神笠雅司校長が、それぞれの立場から小中一貫教育の必要性と意義を説明。これから進められる小中一貫教育の成果と課題、実施に向けた教職員の意識について研鑚を積んだ。

　昨年十一月に策定された市小中連携・一貫教育推進基本方針に基づく千歳市小中連携・一貫教育調査研究実践モデル校区指定事業の開始年度に当たり、市内全教職員が生きる力を育む小中連携・一貫教育について学ぶ機会を設け、理解を深め、教育活動の充実に資することが目的。市内小・中学校の校長、教頭、教諭、事務職員など約五百人が参加した。

　あいさつに立った宮崎肇教育長は小中連携・一貫教育について、教育活動の質的・量的な充実、中一ギャップの対応などに大きな効果が期待されると説明した。

　千歳市の取組について「本年度から青葉中学校区、東千歳中学校区を市小中連携・一貫教育調査研究実践モデル校に指定し、先進事例の研究や、取組の成果、課題を検証する。その結果を踏まえて、順次市内すべての中学校区において小中連携・一貫教育を導入していきたい」と表明。「この研修を通して、理解を深めてほしい」と語った。

　道小中一貫教育推進事業運営会議委員を務める萬谷教授が「小中連携・一貫教育の方向性と英語教育について」、神笠校長が「“自分を育てる”小中一貫教育」と題してそれぞれ講演した。

　うち、萬谷教授は「なぜ、小中一貫教育なのか」と問題提起。不登校の調査資料を示しながら「小六から中一の間が突出している。この間で何かが起きている」と指摘。人間関係の複雑さや、自尊心の変化のグラフを参照しながら小中一貫教育の必要性を訴えた。

　また、小中一貫教育の中核として「教師が指導力を向上させる取組から始まる。小中一貫教育は教師が分かる授業を実現し、子どもが授業に向き合い、結果として学力が向上する取組」と強調。①互いから学び、授業を改善すること②垣根を越えた、建設的議論と協力③員担としないための組織的取組と協力④手ごたえ、意味のある連携を⑤子どもの変化・成長のための取組を―と訴えた。

(市町村 2018-08-01付)