第43回道小学校教育研究大会開く―札幌市立幌南小学校 19授業公開し成果披露 学びの可能性求め続け
(学校 2018-08-03付)

幌南小・授業公開
中嶋教諭は、児童が自ら問いを生む授業を展開した

 札幌市立幌南小学校(森岡毅校長)は七月二十七日、同校で第四十三回道小学校教育研究大会を開いた。研究主題「自己と向き合い、学びの可能性を求め続ける学習」のもと、国語・社会・算数・理科・生活・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語・道徳・総合・特別支援教育の十九授業を公開。知識・技能を増やし、自分自身で活用しながら学びを継続できる子どもの育成を目指し、積み上げてきた研究の成果を披露した。

 同校では、研究副主題に「自ら問い、見方・考え方を働かせ、学びを深める個」を設定。また、個の学びを構築する視点に、①自ら問い、見方・考え方を働かせる個②見方・考え方を働かせ、学びを深める個―の二点を掲げ、研究を進めてきた。

 公開した授業のうち、六年一組総合「未来へのかけ橋」(中嶋孝幸教諭、児童数三一人)は、三十時間扱いの二十五時間目。この単元の導入において少子化や子育てサロンについて学習した。前時までに児童が「安全・安心・笑顔」を目標に掲げた子育てサロンを同校で運営する活動を実施している。

 本時の目標は「地域の子どもや親のためにできることを考え、根拠をもって自分のしたいことを選択することができる」と設定。

 中嶋教諭は、前時に児童が計画して開いた子育てサロンについて振り返り、感想を問いかけた。 

 次いで、子育てサロンに参加した乳幼児の保護者に実施したアンケートをテレビに表示し参加者が喜んでいたことを確認。「今後、小さな子を連れているお母さんや家族がいたら優しく接して」と書いている感想や、アンケートに「次は」「また」などの感想が多くあることを取り上げた。

 視点①の観点から、前時を振り返る中で参加者へのアンケートを提示し、児童に自分たちが行った活動で人の役に立ったことを実感させた。また、多くのアンケートに「次は」といった感想が多くあることに着目させることで、地域の親子のためにどのような行動ができるかといった問いを生ませた。

 続いて、公園や公共の乗り物といった場に親子がいることを確認した上で、本時の課題「親や子どもに喜んでもらうためにできることは?」を板書。グループ交流を行った。

 グループには本時の課題を書き込む枠と、二つの大きな枠が印刷された透明なシートを添付したホワイトボードを配布。地域の親子のために、学校内でできることと、学校外でできることについて、透明なシートに記入させた。

 全体交流では、児童の意見を発表させた。児童からは学校内において、子育てサロンを再び開くことや、次回への改善点に関する意見が出た。

 学校外でできることについては「歩道で道を譲る」「小さい子はバランスを崩しやすいから、電車で席を譲る」などの意見が出た。

 視点②の観点から、学校内・外でできることを分けて黒板にまとめ、「どちらにもある大切なことは何だろう?」と発問。児童が発表した「思いやり」「優しい気持ち」などの意見を黒板にまとめ、前時に実施した子育てサロンの目標「安全・安心・笑顔」につながることを気付かせたほか、子育て支援の本質や社会的な意義を見いださせた。

 また、振り返りでは一人ひとりにワークシートを配布。地域の親子のために「自分でやってみたいこと」を書かせることで、児童に本時の学習をより自分事としてとらえさせた。

 授業後の分科会では、中嶋教諭の授業について「アンケートを見せたことが、児童の次時への活動に向かう意欲を高めていた」などの意見が挙がった。

 札幌市教委教育課程担当課の皆川慎太郎企画担当係長は「本時までの学びの振り返りがよく機能しており、子ども自らが課題を見いだし、授業での学びを日常生活にまで広げてとらえ直し、考えを深めることができていた」と話していた。

(学校 2018-08-03付)

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