第６０回全公教研究大会分科会　笑顔あふれる学校とは　文科省・渋谷教科調査官が講演

（関係団体 2018-08-07付）

渋谷教科調査官は、新学習指導要領の基本的な考え方やポイントにも言及

　第六十回全国公立学校教頭会研究大会・第五十二回道公立学校教頭会研究大会札幌大会（三日付１面既報）では、二日に札幌コンベンションセンターなどで分科会を行った。このうち、「開催地の創意を生かした課題」の会場では、文部科学省初等中等教育局教育課程課の渋谷一典教科調査官が「新学習指導要領のもと、笑顔あふれる活力ある学校づくりを目指して」と題して講演。育成すべき資質・能力の三つの柱を具体的に提示するなど、新学習指導要領のポイントを解説するとともに、学校教育目標や学校経営方針を子どもたちの実態と照らし合わせて組織で検討することにより、笑顔あふれる活力ある学校づくりに向けた新たな方策につながることを強調した。

　分科会は、札幌コンベンションセンターと札幌プリンスホテル国際館パミール、札幌サンプラザの三会場で実施。「教育課程に関する課題」「子どもの発達に関する課題」「教育環境整備に関する課題」「組織・運営に関する課題」「教職員の専門性に関する課題」「副校長・教頭の職務内容や職務機能に迫る課題」「時宜に応じた課題」「開催地の創意を生かした課題」の八課題に分かれて取り組んだ。

　このうち、「開催地の創意を生かした課題」では、文科省の渋谷教科調査官が「新学習指導要領のもと、笑顔あふれる活力ある学校づくりを目指して」と題して講演。データをＡＩが解析し、人間にフィードバックすることでこれまでできなかった新たな価値が産業や社会にもたらされるなど、わが国が目指すべき未来社会の姿として「Ｓｏｃｉｅｔｙ５・０」が提唱されていること、中学生・高校生が希望する将来の職業で「ＹｏｕＴｕｂｅｒ」など、新しい仕事が生まれていることを紹介した。

　新学習指導要領の基本的な考え方として、「資質・能力を一層確実に育成」「社会に開かれた教育課程を重視」「知識の理解の質をさらに高める」などと提示した。

　また、育成すべき資質・能力の三つの柱に言及。知識・技能について「学習活動によって獲得される個別的で事実的な知識・技能」、思考力・判断力・表現力等を「必要な新しい知識や技能を得るために既知の知識や技能を未知の状況でどう活用すると良いか考える力」と示した。学びに向かう力や人間性等を「ほかの二つの柱をどのような方向性で働かせていくかを決定付ける要素」とし、「それぞれを個別に育成するのではなく、一体的にバランス良く育成することをねらっている」と説明した。

　続いて、総合的な学習の時間で、学校の側を流れる川の大切さを地域に伝えるためにごみ拾い大会を行った学校の映像を上映した。

　また、ある会社経営者の理念の重要性にふれたほか、新学習指導要領の総則で、学校の教育目標を明確にし、家庭や地域とともに共有することが求められていることを指摘。学校教育目標や学校経営方針を子どもたちの実態と照らし合わせて組織で検討することにより、笑顔あふれる活力ある学校づくりに向けた新たな方策につながることを強調した。

　参加者は「子どもと教師の笑顔にあふれた活力ある学校づくりを目指し、教育課程の編成や学習活動の改善・充実のために、教頭としてどのように関わるか」をテーマにグループ協議・発表を行った。

(関係団体 2018-08-07付)