道高校長協会等文教施策要望への道教委回答〈下〉
(道・道教委 2018-09-21付)

 道高校長協会、道高校教頭・副校長会、道公立学校事務長会の三十年度道文教施策に関する要望に対する道教委の回答はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

2 教職員の人事

(1)人事異動要綱・実施要領〈重点〉

 人事異動要綱・実施要領については、長年勤務、都市部・郡部間の教員構成の不均衡、定年延長や再任用など様々な課題を解決するため、実効性のある改定を早急に進めることを要望する。

【回答】

 長年勤務者の解消や都市部・郡部間の異動の促進を図り、学校運営の円滑な推進に資するため、人事異動実施要領の改正に向けて検討していく。

(2)行政職員にかかる人事

 行政職員については、業務の円滑な遂行と相互けん制の確保のため、事務長および事務主任を全校に配置するとともに、都市部・郡部間の異動を促進することを要望する。また、全・定併置校において、定時制に配分基準どおりに配置することを要望する。

【回答】

 行政職員の人事については、人事異動方針に示す考え方を踏まえ、適切な人員配置となるよう努めていく。

(3)管理職にかかる人事

ア 減少している教頭等の候補者を確保するため、待遇改善や特殊事情による勤務地への配慮など具体的かつ実効的な方策を早急に検討することを要望する。〈重点〉

【回答】

 能力と意欲のある教頭候補者を確保するため、二十七年度から主幹教諭を配置してきており、引き続き、人材確保を図るための方策について検討するとともに、特殊事情がある場合の勤務地については、校長と十分協議しながら個別に対応している。

イ 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画に基づき、女性管理職のために人事上特段の配慮をするなど、条件整備を引き続き進めることを要望する。

【回答】

 子育てや親の介護など家庭環境による事情がある場合の異動や昇任に当たっては、勤務地等に配慮するなどの対応を行っており、今後も校長と十分協議しながら個別に対応していく。

ウ 副校長の配置については、学校組織運営体制の一層の充実を図る観点から、支部長校をはじめ、学校の実情に応じて、積極的に加配として配置することを要望する。

【回答】

 副校長の配置については、高校標準法に準拠して配置している教頭複数配置校の範囲内で、複数教頭のうち一人を副校長とすることとしている。

 複数配置校の拡充については、国による定数改善が必要と考えており、定数措置の拡充について、国に要望していく。

 なお、道独自での加配は難しいものと考えている。

 今後の配置については、学級数や学科の状況などをもとに検討していく。

(4)主幹教諭配置にかかる講師時間数の配分

 主幹教諭の授業担当時間数を軽減するための講師時間数を配分することを要望する。

【回答】

 校長のリーダーシップのもと、学校の組織運営体制の充実を図るため、二十七年度から道立学校に主幹教諭を配置している。

 講師時間数の配分については、国に対し、定数措置の拡充を引き続き要望していく。

(5)新採用にかかる人事

ア 教員希望者の減少や採用登録辞退者の増加を踏まえ、優れた人材を確保するため、北海道の教育や教職の魅力を効果的に発信し、具体的かつ実効性のある方策を講じることを要望する。

【回答】 

 教員採用候補者選考検査の方法については、より人物評価を重視した検査となるよう改善を図ってきており、本年度から、教員採用選考検査で登録になった方ですぐに正規教員として働くことができる方に対して、年度途中から採用できるように見直しを行ったほか、一定の期間勤務をしている期限付教員、産休代替教員および育休代替教員を対象として、特別選考検査を実施し、実践的指導力に優れた人材を採用していくこととしており、こうした様々な取組を教員養成課程のある大学の協力を得て、教員を志す学生に積極的に情報発信するなどして、教員としてふさわしい資質や能力を備えたより多くの人材の確保に努めていく。

イ 職業学科の実習を担当する実習助手の採用について、専門性(知識・技術・技能)を有する人材の確保に引き続き十分配慮することを要望する。

【回答】

 産業教育を担当する実習助手の採用に当たっては、各受検教科関係の学科を卒業していることなどを受検資格とし、本人の専門性を十分見極め登録している。

 なお、多様な経験や実績のある人材を確保するため、二十九年度から年齢要件を四十九歳以下から五十九歳以下に引き上げており、今後も専門性を有する人材の確保に努めていく。

(6)初任者の配置にかかる人事

 初任者の配置については、人事異動実施要領のとおり、小規模校および定時制課程を避けることを要望する。

【回答】

 初任者の配置については、学校の実情を考慮するとともに、校長と十分協議しながら進めていく。

(7)教科「看護」および「福祉」「芸術」「家庭」「情報」の教員配置にかかる人事

 教科「看護」および「福祉」「芸術」「家庭」「情報」の教員配置については、地域や学校の実情を考慮の上、教員の確保および積極的な任用や他校との兼務のための条件整備、特別免許状制度の活用を図るなど、特段の方策を講じることを要望する。

【回答】

 授業時間数の少ない芸術科教科については,地域性などを勘案し教員の確保に努めるとともに、兼務等の制度を積極的に推進していく。また、看護科や福祉科の教員配置については、特別免許状制度を活用するなど、地域や学校の実情を考慮し、校長と十分協議しながら進めていく。

(8)再任用にかかる人事

 再任用教員の取扱いについては、学校運営や教育活動の活性化および都市部・郡部間の異動促進の観点から、運用上の課題を検証し、必要な改善を図ることを要望する。

【回答】

 再任用の配置については、十八年度当初人事から、原則A地域での再任用は行わない(ただし、C・D・特D地域二校の勤務経験のある者は、この限りではない)などの取扱いを実施しているところであり、再任用者の配置に当たっては、教科および年齢構成にも配慮しながら、学校間で不均衡が生じないよう、制度の趣旨を踏まえた任用について、校長と十分協議しながら進めていく。

(9)期限付教諭にかかる人事

 期限付教諭については、年間を通じてその確保が困難な状況にあり、学校運営に大きな支障が生じる事案が増えていることから、正規採用によって人材を確保することを要望する。

 また、教職を目指す者に対し期限付教員として勤務することの利点をホームページ等を活用して丁寧に周知するなど、引き続き募集の充実を図り、時期を問わず確実に人材を確保することを要望する。

【回答】

 期限付教諭の配置については、これまでも学校運営の支障とならないよう確保に努めてきており、今後も学校長と十分協議しながら対応していく。

3 研修の充実強化

(1)教員の専門性を高める研修

 高度情報化や科学技術の進展に対応する産業教育研修の充実や新学習指導要領に対応する研修、生徒の心のケアに実践的に対応できる教育相談研修など、教員の専門性を高める研修の充実に努めることを要望する。

 また、英語の授業について、いわゆるオールイングリッシュでの授業を推進し発表・討論・交渉などの高度な言語活動を行うことができるよう、担当教員の資質・能力の向上に資する研修を悉皆で実施するなど、研修機会の拡充に努めることを要望する。

【回答】

 道教委では、教育公務員特例法の一部改正に基づき策定した北海道における「教員育成指標」を踏まえ、三十年三月に三十年度道教員研修計画を策定し、本研修計画に基づき各種の研修を実施している。

 産業教育に関する研修については、十五年度から実技講座として水産、家庭、農業、工業、商業、看護について実施しており、今後も、科学技術の進展などに対応した研修内容を取り扱うよう努めていく。

 新学習指導要領に対応する研修や教育相談に関する研修については、初任段階研修や中堅教諭等資質向上研修および道研講座において、当該の研修内容を位置付け、キャリアステージに応じた研修を実施している。

 英語教育に関する研修については、二十六年度から、中央研修を受講した英語教育推進リーダーが講師となり、道内の各高校の英語担当教員を対象としたグローバル化に対応した英語教育指導力向上研修を悉皆で開催しているところであり、今後も、教員の英語力と指導力の向上を図ることを目的とした各種研修を推進していく。

 なお、英語教育に関する教員の英語力と指導力の向上に向け、これまでも教員の資質・能力の向上を図る研修の充実のための財源措置について、国に対して要望しており、引き続き要望していく。

(2)これからの時代に求められる資質・能力を育むための研修

 主体的・対話的で深い学びの観点からの授業改善、ICT活用など学力向上に関する諸課題に対応した研修の拡充を図ることを要望する

【回答】

 授業実践講座については、今後とも、新学習指導要領の趣旨を含め、主体的・対話的で深い学びを実現するための授業改善やICTの活用などにかかる研修の実施内容・方法の改善・充実に努めていく。

 「SCURUM」については、三十年度から二年間、道内の道央、道南、道北、道東の四圏域にそれぞれ夕張高校、静内高校、遠別農業高校、帯広柏葉高校の拠点校を指定するとともに、前年度までの国の委託事業において拠点校であった札幌北高校、函館稜北高校、旭川東高校、釧路湖陵高校の四校をサポート校に指定し、その成果の普及を図る。

 また、圏域別研究協議会などにおいて、推進校・連携校と連携し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた学習・指導方法の改善に向けた取組を進めていく。

(3)特別支援教育に関する研修

 特別支援教育に関する校種間の連携の在り方を含めた実践的な研修を繰り返し実施するとともに、特別な配慮を必要とする生徒一人ひとりのニーズに応じた個別支援を充実させるための研修などの施策を講じることを要望する。

 また、高校における通級による指導の導入に向けた研修をより一層推進することを要望する。

【回答】

 道教委では、教育公務員特例法の一部改正に基づき策定した北海道における「教員育成指標」を踏まえ、三十年三月に三十年度道教員研修計画を策定し、本研修計画に基づき各種の研修を実施している。

 特別支援教育に関する研修については、本研修計画に基づき、初任段階研修、中堅教諭等資質向上研修などにおいて、特別な配慮を必要とする生徒への対応など、特別支援教育に関する内容を位置付け、キャリアステージに応じた研修を実施するほか、道立特別支援教育センターにおいて、高校の教員を対象とした研修の受講者数を拡充するなど、教員の特別支援教育に関する指導力の一層の向上に努めている。 

 また、高校における通級による指導に関する研修については、これまでも特別支援教育センターにおいて実施しているが、今後とも、当該研修の実施内容・方法の改善・充実に努めていく。

(4)行政職員の研修

 学校事務体制の維持と事務職員の資質向上に向けた事務主任・事務職員・職務換職員の階層別研修の実施および研修機会の確保と実務研修の充実を図ることを要望する。

【回答】

 道立学校に勤務する行政職員に対しては、現在、事務長研修(新任)、事務主任研修(新任・現任)、事務職員研修(新採用・財務実務)、職務換研修の階層別研修を行っており、今後においても職位に応じた研修機会を確保するほか、不断に内容の見直しを行い、行政職員の資質・能力向上を図っていく。

(5)教員免許更新制の環境整備

 教員免許更新制については、円滑に行われるよう、交通不便地で勤務する教員の受講環境の整備および新免許状所持者への対応について、関係機関と十分な連携を図ることを要望する。

【回答】

 これまで、更新講習を開設する道教育大学の学内会議に参加するなど、本道の実情に即した講習の開設が円滑に進められるよう、必要な連携に努めてきた。

 また、各大学等の実施する更新講習について、道内の国公私立学校や市町村教委に対し、周知や情報提供を行うなど、教員免許更新制の円滑な実施に努めている。

 新免許状所持者の更新時期が本格的に始まる三十年以降、各教員の免許状の更新手続きが確実に行うことができるよう、免許管理者などが各教員の免許状保有状況などを把握するため、昨年度から行っている所有免許状調査による教員免許情報の集約と情報提供および教員免許更新制度の周知についても、引き続き取り組んでいく。

4 教職員の待遇改善

(1)給与改善措置

ア 給料表の最高号俸の上積み措置について、引き続き努力することを要望する。〈重点〉

【回答】

 教育職三級および四級にかかる号俸については、人事委員会勧告に基づき、十八年四月一日から三号俸(新給料表においては十二号俸)、また行政職三級から七級、教育職二級にかかる号俸については、二十七年四月一日から八号俸の増設を図ったところであり、今後においても、人事委員会の勧告を尊重することを基本としながら対処していく。

イ 各種手当の削減・縮減など、教職員の待遇について改変を行う場合は、特に慎重に対応することを要望する。

【回答】

 教職員の給与については、人事委員会の勧告を尊重することを基本とするとともに、国における義務教育費国庫負担金の算定基準の改正状況および他府県の状況などを踏まえ、検討していく。

ウ 寒冷地手当の支給については、本道の特性と物価の状況に配慮するよう、関係機関に申し入れることを要望する。

【回答】

 寒冷地手当については、今後とも人事委員会勧告を尊重することを基本としながら対処していく。

エ 本道の広域性や再任用制度の趣旨を踏まえ、再任用職員にへき地手当、寒冷地手当などを支給することを要望する。

【回答】

 再任用職員の給与については、無年金期間の発生による再任用職員の増加や特定地域への勤務希望者の集中などを考慮し、二十六年四月から、人事委員会勧告に基づき単身赴任手当および住居手当を措置した。

 また、再任用職員の給与の在り方については、人事委員会報告において、今後とも検討を進めていくことが報告されており、国や他府県の動向も注視しながら、所要の検討を進めていきたいと考えている。

(2)管理職の待遇改善

 人材確保・育成の観点から、給与・管理職手当など、職責に応じた給与・手当等待遇の在り方について早急に改善し、給与の完全回復を図ることを要望する。〈重点〉

【回答】

 教職員の給与については、人事委員会の勧告を尊重することを基本とするとともに、国における義務教育費国庫負担金の算定基準の改正状況および他府県の状況などを踏まえ、検討していく。

 なお、給与の削減措置については、退職手当の見直しによる人件費の歳出削減が見込まれることなどから、三十年度末をもって終了することとした。

(3)主幹教諭の待遇改善

 主幹教諭の職責に応じた待遇改善を引き続き要望する。

【回答】

 主幹教諭の給与改善については、人事委員会勧告を尊重することを基本としながら対処していく。

(4)舎監等の待遇改善

 寄宿舎を有する学校教職員の業務が過重であることから、舎務手当の増額、舎監の増員および農業経営者育成寮の寄宿舎指導員の配置などの過重負担軽減措置の改善を進めることを要望する。

【回答】

 舎務手当については、道独自で措置している手当であり、他府県の状況や厳しい道財政の状況を踏まえると、増額は難しいものと考えている。

 また、舎監の増員については、寄宿する生徒の数が五十人以下の場合を除き、農業経営者育成高校には三人、その他の学校には一人の教員定数を標準法に準拠し措置していることから、増員は難しいものと考えている。

(5)公宅の改築・補修等

 老朽化した公宅の改築や補修の一層の促進を図るとともに、地域の実情に応じて改築・改修年限の短縮措置を講じるなど、特に、郡部の住環境を改善することを要望する。

【回答】

 公宅については、道有施設の長期的視点に立った効率的な施設整備を進めることとし、教職員住宅有効活用プランや教職員住宅長期修繕計画に基づいて、引き続き、経過年数や老朽度、公宅需要などを考慮し計画的に既存公宅の修繕等を行っていく。

5 変形労働時間制の期間拡大

 変形労働時間制度における四週の期間を拡大し、より趣旨が生かされるよう、国に働きかけることを要望する。

【回答】

 公立学校の教育職員は、授業のある課業期間と授業のない長期休業期間との間に業務量の差があることから、課業期間と長期休業期間を含めた一定期間において、労働時間管理をすることができる弾力的な変形労働時間制の導入が可能となるよう、公立の義務教育諸学校等の教育職員に給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法の改正について、引き続き、国に対して強く要望していく。

(道・道教委 2018-09-21付)

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