道高校長協会等文教施策要望への道教委回答〈中〉(道・道教委 2018-09-20付)
道高校長協会、道高校教頭・副校長会、道公立学校事務長会の三十年度道文教施策に関する要望に対する道教委の回答はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
Ⅲ 施設・設備について
1 老朽施設・設備の整備
生徒・職員の安全確保を図るため、老朽化の著しい校舎の整備、補修、大規模改造、改築や武道場の暖房などの整備を着実に進めることを要望する。
特に、緊急を要する補修などに関しては、早急に予算措置をすることを要望する。
また、グラウンド等の屋外施設の改修や補修、撤去を計画的に進めることを要望する。
【回答】
校舎等の整備については、引き続き、学校と協議しつつ、緊急性や優先度を判断しながら実施している。
特に、大規模改造、改築については、道が十四年に策定した施設整備方針や、二十八年に策定した道ファシリティマネジメント推進方針に基づき、建物の長寿命化の観点から建築後、概ね二十年、三十五年経過時に大規模改造を実施した上で、法定耐用年数以上の使用を基本に改築時期を検討することとしており、厳しい財政状況や公立高校配置計画などを踏まえ、引き続き、計画的な整備に努めていく。
2 教育の情報化のための環境整備〈重点〉
教育の情報化を推進するため、ハードウェアおよびソフトウェアについて、更新の予算を確保し計画的に進めることを要望する。特に、校内LANの管理やセキュリティ対策、機器のメンテナンスなどにおける学校の負担を軽減し、設備管理の効率化を図ることを要望する。
また、無線LAN環境やタブレット端末、プロジェクターなど時代に即したICT活用のための環境整備・充実に努めることを要望する。
【回答】
情報セキュリティ対策については、実態調査の結果を踏まえ、スクールネットおよび各学校の校内LANにおける国のガイドラインを満たす情報セキュリティ対策を検討していく。
また、ハードウエアおよびソフトウェアにかかる経費について、その予算確保に努力するとともに、教育用リースパソコンについては、二十八年度から再リースを止め、普通科六年、職業学科五年とした。
今後は、時代に即したICT環境整備について、関係各課と連携の上、検討していく。
3 生徒の安全確保
外部の危険から生徒の安全を確保し、不審者などへ対応するため、防犯カメラの設置など施設・設備の整備について適切な対策を講じることを要望する。
【回答】
防犯等の施設・設備の整備に当たっては、学校と協議しながら、生徒の安全の確保や教育財産の保守を図るため、十分配慮し、適切に対応していく。
また、道教委では、学校における施設・設備の点検など、安全管理の徹底を図るため、通知や各種指導資料、研修事業などによる指導を行ってきた。各学校においては、今後もこれらの通知等を参考にして、学校や地域の実情に応じた対策を講じていただきたいと考えている。
4 自然災害への対応
自然災害に対応するための一層の環境整備については、地震や津波のほか、特に、暴風雪などで孤立し一般的な通信手段が断たれた場合でも、使用可能な自然災害時の通信手段の確保および指定避難所が機能するために必要な非常用物資などの備蓄・整備推進について、市町村との連携と適切な対策を引き続き講じることを要望する。
【回答】
学校施設は、生徒などが一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに、地震などの自然災害発生時には地域住民の避難所としての役割を担う重要な施設となっていることから、道立学校では非構造部材を含む建物施設の耐震化を行った。
また、各学校ではすでに、道教委の『学校安全推進資料』や『学校における危機管理の手引』、文部科学省の『学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き』『学校の危機管理マニュアル作成の手引』などを参考に、学校独自の防災マニュアルや業務継続計画を作成しているが、今後においても不断の見直しに努めていただきたいと考えている。
5 給食の施設・設備の整備拡充
給食にかかる施設・設備について、空調設備など各校の課題に応じて学校給食衛生管理基準に基づく安全・安心な整備を引き続き進めることを要望する。
【回答】
夜間定時制高校における夜食給食の実施にかかる施設設備については、引き続き、保健所と合同で行う調理場の指導、学校給食衛生管理基準に基づく定期点検票の確認、夜間学校給食実施校訪問における調理場の衛生管理状況の確認などを通して、各校の学校給食施設設備の課題を把握するとともに、関係課と連携を図りながら衛生管理に必要な予算の確保に努めていく。
6 寄宿舎へのAED設置
生徒が日常的に生活を送る寄宿舎において、生命にかかわるような事態に迅速に対処することのできる危機管理体制を構築するため、AEDを設置することを要望する。
【回答】
AEDを用いて早期の除細動を行うことは、心停止者の救命に有効であるとされている。
学校においては、児童生徒の不測の事態に備えることが重要であることから、道教委では、現在、道立学校全校に一台AEDを整備しているが、各学校の現状や、他県の整備状況などを把握し、今後の整備の在り方について検討していく。
Ⅳ 学校運営費等について
1 学校運営費の増額および配分〈重点〉
適正かつ円滑な学校運営とさらなる保護者負担軽減のため、学校運営費の増額を図るとともに、学校・学科の実態や特色に即した教育活動の予算措置に配慮することを要望する。
【回答】
学校運営費については、公費・私費負担区分基準によって、経費負担を定めており、それに基づいた予算確保について努力していく。
なお、厳しい道財政であることから、予算の計画的・効率的な執行について、今後とも協力をお願いする。
2 普通旅費および研修旅費の確保
(1)教職員の研修旅費〈重点〉
新規学卒者求人確保対策費(旅費)などを引き続き確保することを要望する。
【回答】
教職員の研修旅費については、校内・地域教職員研修促進費として予算措置している。
二十四年度からは、学校の小規模化の問題に対応するため、事業名を校内・地域教職員研修促進費に変更し、複数の学校が合同で研修を行うことができる地域連携型の事業「地域連携研修」を実施するとともに、二十六年度からは、新たに特別支援学校を対象とするなど、拡充を図ってきたところであり、引き続き必要な予算の確保に努めていく。
また、新規学卒者求人確保対策費(旅費)についても、引き続き予算の確保に努めていく。
(2)修学旅行引率旅費等について〈重点〉
貸切りバスなど各種料金の大幅値上がりや地域の交通事情を踏まえた予算を確保することを要望する。
また、配分基準教員数の激変緩和措置を継続するための予算を確保することや、特別な配慮が必要な生徒の引率にかかる教員の増員など、学校事情に引き続き対応することを要望する。
【回答】
修学旅行については、必要な予算の確保に加え、学習指導要領の改訂を踏まえ、修学旅行を各学校のカリキュラム・マネジメントに位置付けることなどについて検討する必要があると考えており、本年五月に、各道立高校長を対象に実施したアンケートの結果を踏まえ、今後の修学旅行の在り方について検討を行っていく。
修学旅行の実施に当たっては、引き続き必要な予算の確保に努めていくが、各学校においては、修学旅行のねらいを踏まえるとともに、保護者の経済的負担に十分に配慮し、予算額の範囲内で経費が最小限となるなるよう計画していただくようお願いする。
(3)全国大会、全道大会部活動引率旅費の確保
全国大会に出場する部活動引率旅費については、全額を引き続き予算措置することを要望する。
【回答】
全国高校総合文化祭の引率旅費については、二十五年度から全額を予算措置しており、三十一年度においても、引き続き予算の確保に努めていく。
また、部活動引率旅費は、全国大会について措置しており、二十五年度において増額したが、引き続き予算の確保に努めていく。
3 公費負担による口座振替
学校徴収金や団体会計については、公費に準じた取扱いになっていることから、金銭事故防止および学校事務の効率化の観点からも、引き続き公費負担による口座振替を実施することを要望する。
【回答】
引き続き口座振替にかかる経費の確保について努めていく。
4 北海道高校奨学会奨学金の支給方式
道高校奨学会奨学金について、直接、奨学会から支給する方式を取り入れるよう、奨学会に働きかけることを要望する。
【回答】
道高校奨学会奨学金の支給方法については、高校奨学会に対して要望の趣旨を伝えていく。
5 高校体育・文化活動への道費補助
体育・文化活動振興のため、高体連・高文連・定通体連に対する補助金の増額を図ることを要望する。
また、事務局体制の維持について特段の配慮を行うことを要望する。
【回答】
高文連に対しては、二十三年度をもって、全国高校総合文化祭生徒派遣費の補助を廃止しており、今後も補助は困難であると考えている。
高体連および定通体連に対する補助金については、引き続き予算の確保に努めていく。
6 大会参加旅費の補助
(1)高体連、高文連、定通体連の全国大会に出場する生徒の交通費などについて、特に、定時制・通信制に通学している生徒は経済的に困窮している家庭が多い状況にあることなどを考慮し、予算確保することを要望する。
【回答】
全国大会への生徒派遣補助費については、高文連は二十三年度を、高体連および定通体連は二十四年度をもって廃止しており、今後も道の厳しい財政状況から困難であると考える。
(2)専門学科における農業および家庭クラブ活動は学習指導要領に位置付けられ、本道産業の発展を担う重要な活動であることから、全国大会に出場する生徒の交通費などについて補助することを要望する。
【回答】
厳しい財政状況から、新たな財政措置を伴う補助は困難な状況にある。
Ⅴ 教職員関係について
1 教職員配置の改善
(1)教職員加配の弾力的な運用と拡充〈重点〉
学校や生徒の実態に即し、創意工夫を生かした学校改善、研究指定校事業の取組の充実、学習指導・生徒指導の質の向上、特別支援教育への対応などに積極的に取り組めるよう、教職員加配の弾力的な運用と拡充を図ることを要望する。
【回答】
教科・科目の特性に応じた指導の充実を図るため、普通科における多様な教科・科目の開設校や職業系類型・コース開設校、数学・英語・情報の教科における少人数指導実践校へ、国の加配を活用し、教員の配置を行っている。
なお、加配の拡充については、国による定数改善が必要と考えており、多様な教育の展開を行うための一層の定数措置の拡充について、引き続き国に要望していく。
また、創意工夫支援にかかる加配の拡充については、高校の教職員定数の配置状況を踏まえながら、検討していく。
(2)講師時間数増と任用の弾力化〈重点〉
生徒の実態に応じて多様な選択教科・科目を履修させ、生徒と向き合う時間を確保するため、学校の実情に十分配慮して講師時間数を増やすとともに、三間口以下の学校についても、間口数や学校の実態に応じた講師時間数の配当を図ることを要望する。
また、外国人講師の拡大およびALTの配置の拡充、民間非常勤講師の時間数確保について配慮することを要望する。
【回答】
講師時間数については、高校標準法で算定される定数を振り替えて措置しており、講師時間数を大幅に増やすことは難しいものと考えているが、学校の実情や教員配置の状況などを踏まえ、個々に対応を協議していく。
なお、普通科九学級以下の学校については、定数を講師時間数に振り替えて措置していないことから、学校の実情に合わせて定数を時間講師に振り替えるなど、対応を協議していく。
ALTについては、現在、JETプログラムによる外国からの招致青年六十二人を教育局や学校に配置している。
学校配置ALTの増員については、教育局配置から学校配置への切替を進め、充実を図ってきた。
学習指導要領に示されているとおり、これからの英語教育はコミュニケーション能力の育成を一層重視する方向で改善を図ることが必要とされていることから、今後とも、国の動向や道の財政状況を踏まえながら、適切に対応していく。(3)校種・設置者にこだわらない学校間連携の制度化
小規模校の教育活動の活性化を図るため、道立学校間のみならず、校種・設置者にこだわらない学校間連携の制度化を検討することを要望する。
【回答】
道立学校間連携の取組は、近隣の道立学校が連携し、相互に教員を派遣することによって、少人数指導の充実など、相互の学校の教育課程の維持充実を図り、教育活動の一層の推進に資することを目的として実施している。
道教委では、今後とも、こうした取組を通して、小規模校の教育環境の維持・充実に努めていく。
なお、現行制度においても、校種・設置者にかかわらず、他の学校の教員の職を兼ねさせることは可能となっている。
また、道立高校間の連携の推進、充実を図るため、校長と協議しながら適切な教員配置に努めていく。
(道・道教委 2018-09-20付)
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