道国語教育連盟が第73回函館大会 言葉の力借りて創造へ 実生活に生きる力育む(関係団体 2018-11-06付)
全道各地から270人が参加し、研鑽を積んだ
【函館発】道国語教育連盟(若松広美委員長)は十月二十六日、函館市立金堀小学校と函館市立巴中学校を会場に第七十三回道国語教育研究大会函館大会を開いた。全道から教職員など約二百七十人が参加。大会研究主題「実生活に生きて働く国語の力を育む授業の創造」のもと、各会場で合わせて十二の授業を公開したほか、分科会での意見協議を通して、本道における国語教育のさらなる充実と発展を目指した。
研究主題は「実生活に生きて働く国語の力を育む授業の創造」に設定。ここ数年の函館市における全国学力・学習状況調査の結果を調査し、明らかになった課題の解決と新学習指導要領に示された「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた改善」へ対応するため、九年間で子どもたちに身に付けさせたい国語の力を明確にし、各発達段階に応じた授業の工夫について研究を進めてきた。
主な研究の視点として、①日常生活に生きて働くことを目指した単元デザイン②指導事項を確実に身に付けさせるための言語活動を意識した一時間の授業設計③子どもの育ちをとらえ、授業改善につながる評価基準―の三つを重視している。
午前中に巴中で行われた開会式では、若松委員長が登壇。大会開催の協力に謝意を示すとともに「我々は言葉の力を借りて、創造につなげている。その学びを与えることが国語には強く求められている」と呼びかけ、大会の成功に期待を寄せた。
つぎに、宇佐美雅司大会運営委員長が参加者同士できたんのない意見交流を求めた上で「国や本道の国語教育の起点になるよう、充実した大会運営に努めていきたい」と話した。
来賓祝辞では、渡島教育局の五十嵐晋局長が国語で育成すべき資質・能力にふれたほか、「各校の実情に応じた授業を展開できるよう、大会の成果に期待している」と述べた。
開会式後、十二の分科会で提言発表が行われ、国語教育充実に向けて意見を交わした。
◆日常に生かす指導展開 12の公開授業・分科会―五稜郭中3年 語りと向き合う
大会では開会式に先立ち、金堀小で八つ、巴中で四つの公開授業・分科会を実施した。
このうち、巴中で行われた函館市立五稜郭中学校三年E組(生徒数三六人)の授業では、単元「語りと向き合う」を近藤真人教諭が指導。教材には「故郷」を使用した。
本時は十時間扱いの六時間目。
単元では「登場人物が語られている理由について考えながら、物語を読み味わうことができる」を目標に設定し、物語の描写を複数の視点で読んだりすることを通して、生徒の日常の読書に生かすことをねらった。
単元の終わりには、自分が選んだ作品の登場人物が作品の中でどのような役割をもっているかについて、ポスターをつくる活動に取り組むこととなっている。
本時では「作品における登場人物の役割について考えながら物語を読むことができる」を目標に設定した授業を展開した。
冒頭、前時までの振り返りとして、登場人物である楊おばさんの人物像を確認。
生徒の「嫌味ったらしい」「貧しい」などの意見を黒板に貼り出したあと、近藤教諭は「登場人物の役割について考えながら読もう」と呼びかけ、本時の課題として「楊おばさんの役割は」を示した。
生徒は個人の考えをワークシートに記入したあと、八つのグループに分かれて交流し、グループとしての意見をまとめて発表。「主人公の故郷がどのような場所だったかを示す役割」「主人公の身分が高いことを分からせる役割」などの意見が挙がった。
発表後、近藤教諭は「故郷が変わっていることを示す役割という意見が多い」と指摘。そのほかの共通した意見も確認した上で、「楊おばさんは故郷の変化を表す役割と主人公の身分を説明する役割を担っていることが分かる」と説明し、楊おばさんの存在が主人公や町の状態を表していることを生徒に認識させた。
最後に、近藤教諭が「今回の授業で、登場人物にはそれぞれの役割があって、読むことで理解できることが分かったと思う」とまとめ、「学んだことをポスターの制作につなげていこう」と呼びかけた。
(関係団体 2018-11-06付)
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