北社研と北生研が研究大会開く 主体的に問題解決する力を 110人参加し職能向上図る
(関係団体 2018-11-08付)

道社研大会開会式
社会科、生活科のより良い授業づくりについて考察した

 道社会科教育研究会(=北社研、吉井惠洋会長)と道生活科研究会(=北生研、山本豊会長)は二日、札幌市立栄町中学校で第七十一回道社会科教育研究大会・第二十八回道生活科研究大会を開いた。全道から約百十人が参加。授業公開、講演、分科会を通して、社会科教育、生活科教育の充実を目指し職能の向上を図った。

 道社会科教育研究会は、研究テーマ「未来を創る社会科教育」、研究主題「主体的に社会に参画できる資質・能力の育成~見方・考え方とクリティカル・シンキングを働かせた“深い学び”を通して」、道生活科研究会は、研究主題「ときめく出会い ひびきあう活動 かがやく心~伸びる喜び 育ちへの実感 確かで豊かな生きる力を育む学びの創造」と設定。研究主題のもと、小学校一年生活科、小学校六年社会科、中学校三年社会科公民的分野、中学校一年社会科地理的分野、中学校二年社会科歴史的分野の五授業を公開した。

 開会式であいさつに立った吉井会長は、社会のグローバル化や技術革新によって社会や職業の在り方が大きく変化していることを踏まえ、「厳しい挑戦の時代を迎えている」と指摘。このような時代を生き抜くため、「一人ひとりが主体的に取り組み、解決していく力をもった自立した人間」「自立した一人ひとりが協働して問題を解決する力が必要になる」と強調した。

 山本会長は、学習指導要領の改訂にふれ、「枠組みの見直し、カリキュラム・マネジメントの確立、主体的・対話的で深い学びの視点から、これまでの蓄積を踏まえながら授業づくりを見直し、改善していくことが求められている」とした上で、研究会の主題について説明。両会長とも「きたんのない意見・助言をお願いしたい」と結んだ。

 来賓としてあいさつした札幌市教委の長谷川正人児童生徒担当部長は「研究大会において、主体的に生き生きと学ぶ児童生徒の姿。その活動を支える教師の温かなかかわりがみられることを期待する」と大会の成功に期待を寄せた。

 生活科一授業、社会科四授業を公開したあと、広島大学大学院の草原和博教授が「学びの社会的意味を追究した社会科授業づくり~より真正な学びを求めた教師の挑戦を手がかりにして」と題して講演した。

 分科会では小学校、中学校に分かれ、公開した授業について提言者の提言をもとに協議。

 授業の内容や授業目標についての手立てなどを議論した。

◆欧米諸国における近代化 上篠路中2年社会科

 社会科の公開授業では、札幌市立上篠路中学校の宮田祐輔教諭が二年三組の歴史的分野、「欧米諸国における近代化」(生徒数三四人)を指導。

 本時は五時間扱いの三時間目。本時目標を「フランス革命による社会の変化について資料を活用してまとめ、革命の価値や意義を考察することができる」と設定。

 前時までに、絶対王政下の市民の税負担、特権身分と税金の使い道などを学んでおり、「市民の税金の上に、貴族たちは豪華な生活をしている」ことを理解した。革命後、ロベスピエールの恐怖政治によって、反対派が粛清されたことも合わせて学んだ。

 本時の課題を「フランス革命は成功したのか」と設定。宮田教諭は資料を配布し「資料をもとに、思い付きや何となくではなく、自分の意見をもつ」よう指示。生徒は思考を巡らせながら、それぞれ「成功」「失敗」の意見を交流し、資料の見方によって、意見が異なることなどを確認。宮田教諭は「そもそも成功とは何なのか」と発問し考えさせた。また、思考のヒントとして、今まで学習してきたアメリカ独立戦争、イギリス革命などと比較し、共通点、相違点とフランス革命を対比させた。生徒は共通点として「法によって人権が保障されている」ことを挙げ、フランス人権宣言や革命後につくられた憲法の条文を根拠にフランス革命は成功したと結論付けた。また、「市民が決めた法律を市民も王も守る」ことが市民社会の入り口であることを学んだ。

◆つくって あそぼう 山の手南小1年生活科

 二日、札幌市立栄町中学校で開かれた道社会科教育研究大会・道生活科研究大会では、小・中学校合わせて五つの授業を公開した。

 そのうち、生活科では札幌市立山の手南小学校の川﨑義隆教諭が一年三組の「つくって あそぼう」(児童数二四人)を指導した。

 単元の目標は、「身近な物を使って、遊びに使うものをつくったり、遊んだりすることに関心をもち、みんなで楽しく遊ぼうとしている」など三点。本時は十時間扱いの五時間目。本時の目標を「身の回りの材料を使って、おもちゃや楽器を工夫してつくり、自分でおもちゃをつくり出す面白さに気づくことができる」と設定した。前時までに、児童たちはたくさんのプリンカップを使っていろいろなおもちゃをつくり、活動に浸っている。

 川﨑教諭は「二つのプリンカップでおもちゃをつくってみよう」と発問。児童たちにつくりたいものを発表させ、気持ちを盛り上げた。創作活動では、ペアや単独で糸電話やロケットなど、ビーズや輪ゴムで思い思いに飾り付け、友達と遊ぶ方法を考えながら制作した。

 また、つくったおもちゃで遊ぶ方法を友達同士で工夫させるなど「もっとこうしたい」という意欲を喚起。「できたよ」「もっとつくってみたいな」という気持ちとともに、つぎの活動の見通しと期待をもたせた。

(関係団体 2018-11-08付)

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