主体的に思い伝える音楽を 道音楽教育研究大会釧路大会
(関係団体 2018-11-09付)

道音楽教育研釧路大会
木原氏と中高生による研究演奏は参加者に感動を与えた

 【釧路発】道音楽教育連盟(=北音教、横山学会長)と道高校音楽教育研究会(西田正史会長)は二日、釧路市生涯学習センターを主会場に、第六十回道音楽教育研究大会釧路大会を開いた。大会主題「高まる 深める 広がる 音楽の力」のもと、全道各地から約三百人が参加。六十回という節目の大会として、小・中学校の四領域「歌唱・器楽・創作・鑑賞」のすべての公開授業や、研究協議、研究演奏などを通して、音楽科の授業改善の方策について考察した。

 釧路市での開催は六年ぶり八回目。全道共通主題「音楽のよさを生かし、豊かな心と確かな力をはぐくむ音楽教育」のもと、大会主題を「高まる 深める 広がる 音楽の力」と設定。学校種間の連携・接続を踏まえ研究を進めてきた。

 当日は、釧路市立鳥取西中学校で音楽集会を開催。全校生徒四百九十四人による全校合唱を披露した。このあと、鳥取西中、釧路明輝高校など四会場で八本の授業を公開した。

 公開授業のあと、生涯学習センターで研究協議と開会式を行った。

 開会式では大会長を務める横山会長があいさつ。地元運営委員会に感謝を示しながら、「これからも音楽の力で豊かな心を育てていきたい」と呼びかけた。続いて、遠藤浩一大会運営委員長はあいさつに立ち、これまでの研究経過を説明。領域別研究協議を通して、「音楽のよさや楽しさを感じ、主体的に思いを伝える音楽教育の在り方について議論を深めることができた」と参加者に感謝した。

 来賓を代表して釧路教育局の鈴木淳局長は、授業を参観した感想を述べた上で、「子どもたちが自分の思いを言葉で伝えたり、歌や楽器にのせて響かせたりするなど、主体的で深い学びの姿に感動した。この成果を各学校の日常実践に生かしてほしい」と期待を寄せた。

 文部科学省初等中等教育局教育課程課の志民一成教科調査官が全体講評。

 公開した授業について講評した上で、新学習指導要領の実施に当たって、①技能を思考・判断と関連させて子ども自身が必要感をもてる授業づくり②感性を働かせて生きて働くオリジナルの知識となる工夫―の二点を要請。「音楽科における見方・考え方が大切になる。子ども一人ひとりの違いを生かしてほしい」と呼びかけた。

 最後の研究演奏では、釧路市出身のピアニストで作曲家の木原健太郎氏をゲストに迎え、中学校や高校の合唱部、吹奏楽部の生徒と一緒に演奏。会場は感動の渦に包まれた。

◆和楽器のよさを味わう 釧路市北中1年 授業公開

 第六十回道音楽教育研究大会釧路大会では、開会式に先立ち、四会場で八授業を公開した。そのうち、釧路市立北中学校一年一組(生徒数二九人、藤崎悦子教諭)では、「和楽器に親しみ、そのよさを味わおう」を公開。日常生活ではあまり経験をすることがない箏と三絃(三味線)を用いた合奏に取り組む体験を通して、音楽活動の楽しさや日本の伝統音楽のよさを味わった。

 本時は七時間扱いの六時間目。目標を「全体の響きや声部の役割を考え、思いや意図をもって演奏することができる(音楽表現への創意工夫)」「曲にふさわしい音楽表現をするために必要な技能を身に付けて演奏することができる(表現の技能)」と設定した。

 これまで、藤崎教諭は生徒になじみのある「さくらさくら」の教材を用い、仲間とともに演奏する活動を行うことで、生徒の「自分も演奏してみたい」「一緒に演奏すると楽しい」「もっと表現を工夫して演奏してみたい」という意欲を高めてきた。

 本時では、さくらさくらを箏と三絃を合わせて演奏させ、藤崎教諭が「満足か」と問うと、生徒から「より工夫して演奏したい」という意見が出された。

 そこで、本時の課題を「前奏から旋律に入ったところの表現を工夫して演奏しよう」と設定。見通しがもてるよう、藤崎教諭と、ゲストティーチャーを務めた三味線の講師が模範演奏した。

 生徒は「強弱」「速さ」「間」の工夫に気付き、グループごとに自分たちの考えや強弱記号などを楽譜に書き込み、練習に取り組んだ。藤崎教諭は机間指導しながら、楽譜へアドバイスしたり、演奏しながら自分の考えをまとめたりするよう促した。

 全体交流の場面では、グループごとに工夫したことが書かれた楽譜を画面に写し出し演奏。最後に藤崎教諭の十七絃を加えて全員で確認した工夫を意識しながら演奏した。

(関係団体 2018-11-09付)

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