北理研が第65回研究大会開く 研究積み重ねを教師力に 全体会あいさつで永田会長
(関係団体 2018-11-02付)

北理研研究大会開会式
授業公開や研究発表を通して、研究を深めた

 道小学校理科研究会(=北理研、永田明宏会長)は十月二十六日、札幌市立宮の森小学校で第六十五回道小学校理科教育研究大会を開いた。小学校三~六年の四授業を公開。授業分科会や研究発表を行うなど、理科教育の充実に向けて研究を深めた。

 全体会では、永田会長があいさつ。働き方改革など国の動向にふれたほか、教育者にとってのやりがいの重要性を強調。「納得できる研究の積み重ねが私たちの教師力となり、時間と業務の効率化が実現すると考える」と話した。

 また、「切磋琢磨できる仲間の存在はこの上ない宝」と話し、活発な討議を求めた。

 会場校・実践研究校の宮の森小の紺野高裕校長があいさつ。「これからの理科教育の在り方、特に理科の見方・考え方を働かせて、資質・能力を育成するための問題解決の在り方について、皆さんとともに学び合う機会としたい」と述べた。

 来賓あいさつでは、文部科学省初等中等教育局教育課程課の鳴川哲也教科調査官と札幌市教委教育課程担当課の鈴木圭一企画担当係長が登壇。鳴川調査官は大会を通して「さらに新学習指導要領の理解を深めてほしい」、鈴木係長は大会について「これからの札幌市の理科教育の充実と発展に寄与するもの」とそれぞれ話した。

 続いて、北理研の高畠護研究部長が研究提言。研究主題「仲間と共に自然を見つめ、学ぶ喜びを生み出す問題解決」を設定し、研究主題の解明に向け、研究の視点に、①子どもの分かり方に沿った単元構成②問題から工夫が生まれる学習展開―の二点を据えて研究を進めていることを説明した。

 また、宮の森小の町村康武授業改善部長が研究提言。学習指導要領改訂の背景や同校の児童の実態を踏まえ、児童の学びがいが感じられるような学習に向けて、研究の視点を「子どもの主体性を生む問題意識の醸成」「本時の価値にせまる教師のかかわり」の二点を据えていることなどを説明した。

 このあと、小学校三~六年の四授業を公開したほか、授業分科会や研究発表などを行った。

◆糸の震えの関係考える 札幌市宮の森小で4授業公開

3年3組「音の性質」

 北理研の第六十五回道小学校理科教育研究大会では、宮の森小学校三~六年の理科四授業を公開した。このうち、三年三組(児童数三五人、大和田千紘教諭)では「音の性質」を公開。大和田教諭は糸電話の糸を曲げて会話する活動を通して音の伝わりと糸の震えの関係について考えられるように取り組んだ。

 本時は七時間扱いの五時間目。本時の目標を「糸電話の糸を曲げて声を伝える活動を通して、声が聞こえるとき、糸全体が震えていることに気付き、音の伝わりと糸の震えの関係について考えることができる」と設定した。

 これまで大和田教諭は、研究の視点①の観点から、トライアングルで音を出す活動を実施。たたく強さを変えたり、手で触れて音を止めたりさせるなど、音が出るときに物が震えることのほか、音の大きさと物の震える大きさの関係をとらえられるように取り組んできた。

 本時で大和田教諭は、「コップが震えていた」「糸をまっすぐにしたら聞こえたけれど、曲げたら聞こえなくなった」などと児童の発言から糸電話で声を伝える前時の活動を振り返ったあと、廊下の角を曲がった人と会話するという目標の達成に向け「糸電話の糸を曲げても声は聞こえるかな」と問いかけた。

 グループで糸を曲げて会話に取り組ませたあと、全体交流。研究の視点②の観点から、指やつめなどどうやって糸を抑えたか問いかけたほか、四人グループで取り組んだ児童の「声を発した近くで糸が震えたけど、遠くの人は震えなかった」という発表を取り上げるなど、糸の震えを実感し、聞こえ方の違いを糸の様子と関係付けながら考えるように工夫を凝らした。

 また、二回目の活動のあと、針金やヘアピン、ボールペンで糸を抑えていたグループを取り上げるなど、全体でその工夫を共有させた。

 三回目の活動後に、なぜ、糸を曲げても聞こえたのかをあらためて問いかけた。

 「糸をぴんと張って邪魔をせず、震えが届けば聞こえる」との発表を取り上げるなど、音の伝わりと糸の震えの関係を見いだせるように取り組んだ。

 授業公開後は授業分科会を実施。このうち、大和田教諭の授業については「“震え”を感じさせるために、砂の中に糸を入れたり、実物投影機で拡大して映すなど可視化させるような取組が必要」などの意見が出た。

この記事の他の写真

北理研研究大会公開授業
大和田教諭は、針金や安全ピン、ボールペンを使うなど引っ張り方の工夫から音の震えに着目させた

(関係団体 2018-11-02付)

その他の記事( 関係団体)

運動の楽しさに気づき 第55回研究大会渡島大会―体研連

道学体連研究大会開会式  【函館発】道学校体育研究連盟(=体研連、中野正毅委員長)は十月中旬、七飯町文化センターなどを会場に、第五十五回道学校体育研究大会渡島大会を開いた。道内の各地区から約二百四十人が参加。大会主...

(2018-11-06)  全て読む

道国語教育連盟が第73回函館大会 言葉の力借りて創造へ 実生活に生きる力育む

国語教育研究大会開会式  【函館発】道国語教育連盟(若松広美委員長)は十月二十六日、函館市立金堀小学校と函館市立巴中学校を会場に第七十三回道国語教育研究大会函館大会を開いた。全道から教職員など約二百七十人が参加。大...

(2018-11-06)  全て読む

ネットワーク生かして 旭川市小中教頭会が研修会

旭川市小中教頭会定例研修会  【旭川発】旭川市小中学校教頭会(辻並浩樹会長)は十月二十三日、旭川市内の上川教育研修センターで第二回定例研修会を開いた。七十九人が参加。開会式で辻並会長は、北海道胆振東部地震の発生を受け、...

(2018-11-06)  全て読む

十勝管内幼稚園・こども園研究大会 子どもの素敵な育ちを 幼児教育の充実に向け研鑚

十勝幼稚園こども園研究大会  【帯広発】十勝管内公立幼稚園・こども園教育研究協議会(福原幸江会長)は十月中旬、鹿追町立認定こども園しかおいを主会場に、第四十六回管内公立幼稚園・こども園教育研究大会鹿追大会を開いた。管内...

(2018-11-06)  全て読む

道民全体で子ども育成 北海道教育の日 記念行事開く 実践発表行い機運醸成

北海道教育の日開会式  「北海道教育の日」道民運動推進協議会(柴田達夫会長)は一日、ホテルライフォート札幌で「北海道教育の日」第十一回制定記念行事を開いた。テーマ「あなたはだれかのために、何ができますか?~子ども...

(2018-11-05)  全て読む

自治労北学労・札学労が定期大会開く 持続可能な運動体制を 2019年度運動方針決定

北学労と札学労定期大会  第四十一回自治労北海道学校事務労働組合=自治労北学労)定期大会・第四十五回自治労札幌市学校事務労働組合(=自治労札学労)定期大会が十月二十三日、札幌市内のかでる2・7で開かれた。「要求実現...

(2018-11-02)  全て読む

活動の在り方理解深め 道公民館協会十勝支部が研修会

公民館および類似施設職員研修会  【帯広発】道公民館協会十勝支部(高橋慎支部長)は十月中旬、十勝合同庁舎で三十年度管内公民館および公民館類似施設職員研修会を開いた。会員や行政職員など約二十人が参加。講演、事例発表や意見交換...

(2018-11-02)  全て読む

〝ゆたかな教育〟実現へ 札教組が教育研究集会開く

札教組教育研究集会  札幌市教職員組合(鈴木誠幸執行委員長)は九月下旬、市内のかでる2・7で第五十次札幌市教育研究集会を開いた。約三百人が参加。子どもたちを育成する“ゆたかな教育”の実現に向け、講演のほか、十八...

(2018-11-01)  全て読む

札幌市小学校教頭会が全市研修会 情報共有の重要性確認 市教委の檜田学校教育部長講演

 札幌市小学校教頭会(宗石健太郎会長)は十月二十四日、市内のちえりあで全市研修会を開いた。札幌市教委の檜田英樹学校教育部長が「教頭として、これからの学校をつくるために」と題して講演。情報共有...

(2018-11-01)  全て読む

道中学校理科教育研究会旭川大会開く 自然と人間の調和を 全道から200人参加し研鑚

道中理教育研究会旭川大会  【旭川発】第五十七回道中学校理科教育研究会旭川大会が十月二十六日、旭川市大雪クリスタルホールなどで開かれた。全道から約二百人が参加。大会主題「自然と人間との調和をめざし、未来を創造する力を...

(2018-11-01)  全て読む