札私幼、札私幼P連が札幌市に要望 消費税増に向け助成拡充を
(関係団体 2018-12-07付)

 札幌市私立幼稚園連合会(=札私幼、前田元照会長)と札幌市私立幼稚園PTA連合会(=札私幼P連、佐々木和也会長)は十一月二十九日、札幌市に三十一年度予算に対する要望書を提出した。札私幼は、喫緊の課題として、来年十月に予定されている消費税増税に当たって支出の増加が見込まれる教材教具補助事業など五つの事業を提示。事業のより一層の向上・充実を図るため、運営助成の拡充を要望した。札私幼P連は、来年十月に実施予定の幼児教育無償化に向け、保護者の立場に立った制度設計などを求めた。

 予算要望の概要はつぎのとおり。

▼札私幼

▽特別支援教育事業

 「私立幼稚園特別支援教育事業費補助金」は、年々増加し続ける「特別な支援を必要とする幼児」に対して拡充を図ってきたが、一人ひとりの自立に向けたきめ細やかな適切な支援体制をより充実させるため、一園当たりの基準額の単価を、専門職としてふさわしい額に増額することを要望する。

▽教材教具補助事業

 施設設備の充実や手厚い人員の配置など、以前より経費支出が増大している昨今の私立幼稚園・認定こども園においては、良質な保育環境の整備と維持に公的助成が欠かせない。

 消費税増税で教材教具に関する支出も増える見込みであり、予算総額の維持ないし増額とともに、対象事業や補助単価の見直し、社会福祉法人立の幼保連携型認定こども園も含めるなど対象施設の拡大を図って、より実効性のある事業とすることを要望する。

▽新制度にかかる事項

 新制度に関する事項では、以下の三項目を要望する。

①一号認定子どものアレルギー補助を、自園調理を含む外部委託・外部搬入、さらに幼稚園型認定こども園、施設型給付の幼稚園も対象とすること。

②一時預かり事業(幼稚園型)を実施している幼稚園および認定こども園の事務負担に対応する「就労支援型施設加算」の実施において、利用定員に対しての連携施設の受け入れ枠の設定や、開所時間などの要件のハードルを下げ、利用しやすい制度にすること。

③二歳児を定期的に受け入れる一時預かり事業(幼稚園型)の実施に当たっては、開所時間や休園日を国の要綱に準じるなど、実施しやすい条件にすること。また、事業実施のために必要な改修支援などを行うこと。

▽研修費等助成事業(団体補助)

 本連合会では、職員の資質向上のための研修事業と労働環境の充実のため様々な事業を実施しているが、教員免許更新制や学校評価の推進など研究研修事業は拡大の一途をたどっている。

 現在、その様な状況を勘案し本連合会としても厳しい経営環境のもとにおいて、事業見直しを実施し、さらに会費改定も検討中である。

 さらに、子ども・子育て支援新制度によって実施されている研修(保育士関係の研修体制など)の質向上にも影響があり、質の高い幼児教育を担っていくための団体運営が非常に厳しい状況にさらされていることから、団体補助の拡充などについて、再度、検討してもらうよう要望する。

▽人材確保事業(幼稚園教諭・保育教諭)

 教育・保育の質を向上させていくためには優秀な人材を継続的に確保していくことが必要だが、札幌の私立幼稚園・認定こども園における幼稚園教諭・保育教諭の人材確保は年々厳しさを増している。市の推し進める幼保連携型認定こども園に移行を検討する場合、また、二歳児の受け入れなどを行う場合は、特に保育教諭の増員が大きな課題である。待機児童の解消に大きな役割を果たしている私立幼稚園や認定こども園の人材確保に関しても、保育所と同等の支援を求める。

①本連合会が主催する「就職フェア」など、人材確保事業へのさらなる支援

②札幌市が実施する保育人材マッチングや中高生の職場体験など、人材確保に関する事業の拡充

▼札私幼P連

▽保護者の立場に立った幼児教育無償化の制度設計

 来年十月に予定されている幼児教育無償化の実施は、保護者の経済的負担の軽減や就園機会の充実にとって大きな前進だが、多様な施設形態が存在する状況において、施設によって保護者の負担感が異なるような制度設計は、公平なものとは言えない。無償化の仕組みが保護者の施設選択に影響を与えることがないよう、以下の二項目を要望する。

①私学助成園の保育料

 新制度の幼稚園・認定こども園は、実費徴収等以外の保育料(利用者負担額)が無料になるが、私学助成の幼稚園の保護者も、年度末に還付される償還払いではなく、新制度の園と同様に、毎月の保育料を支払わなくて済むような制度設計にすること。

②一時預かり事業の利用

 一号認定子どもの一時預かりの保育料も無償化の対象だが、可能な限り早い時期での償還払い、あるいは一定の額まで支払う必要がない仕組みとするとともに、無償化にかかる一時預かりの申請に当たっては、利用者の利便性や園の事務の効率性を考慮し、できるだけ簡素な手続きで済むような仕組みとすること。

▽PTA団体助成金

 当該助成金は多様化するPTA活動の事業費の根幹をなす貴重な財源である。ここ数年、子育て支援と同様に「親育ち支援」が求められ、保護者が親として育つための各種研修会の企画運営などPTA活動が担うべき役割は極めて大きくなってきている。

 また、家庭の子育て力や地域の教育力の低下が懸念される中、親と親を結び付け、親と園を結び付けるPTAの存在意義も、今まで以上に増している。

 この現状を認識いただき、PTA活動の円滑な運営のため、団体助成金の増額を要望する。

(関係団体 2018-12-07付)

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