【PICK UP2018】渡島管内 統一した学校づくり推進 函館市における働き方改革(市町村 2018-12-21付)
教職員の働き方改革に対する問題が、全国的に大きく取り上げられている。今月には、中央教育審議会の学校における働き方改革特別部会が「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」案をまとめており、長時間勤務の解消に向けた動きが本格化しつつある。本道においても今後、教員の働き方改革が進んでいくものと思われるが、すでに取組に着手し成果を上げているまちがある。
◆「業務改善の取組」昨年12月に作成
函館市教委は昨年十二月、道教委の学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を踏まえ、「教職員の業務改善のための取組」をいち早く作成。週二日の部活動休養日や職員会議日を定時退勤日とする方針を示すなど、小・中学校の管理職に取組の推進を求めた。
これを受け、ある中学校では、保護者や地域の理解を得るために説明会を開催。三学期中に複数回行い、市教委や学校の動向のほか、学校が置かれている厳しい現状を伝えた。同校の教頭は「説明会を終えてからは、午後七時以降に学校に電話が来ることは基本的になくなった」と話し、取組への協力を実感する。
長時間勤務軽減の取組では、市内で最も児童・教職員数が多い桔梗小学校(佐々木正幸校長)が大きな成果を上げている。スクール・サポート・スタッフの配置やスマートフォンによる保護者アンケートの実施、会議等の縮減などの取組を本年度から本格的に開始した。
スタッフの配置によって、プリントの印刷作業の大幅な短縮のほか、学級費の集金やテストの採点など、細かな業務削減の積み重ねで確かな効果を各教員が実感している。
同校の佐藤豊教頭は「児童数が多いこともあって、これまでは印刷機の前に列ができていた。並ぶのが嫌な教員は、印刷するために休日に登校することもあった」と振り返る。
◆平均勤務時間約7時間減少
様々な取組の結果、十・十一月の一週間当たりの平均勤務時間は、前年度の同時期と比較して約七時間減少。特に、教頭の勤務時間は十五時間以上の縮減につながった。
その一方で「勤務時間に関する各教員の意識向上」などの課題が明確に。佐々木校長は「学校の慣習になっているものを止める勇気も必要」と意識改革の重要性を指摘する。
“意識”の問題に関しては「教員の働き方改革を推進する上で、最も障害となるのが教員」(学校関係者)といった意見もあった。多くの教員が「子どものために」という思いから、空いた時間を教材研究などに充て、結果的に改善が進まない可能性は十分に考えられる。
市教委の辻俊行教育長も自身の教員時代を振り返り「先生は子どもたちのために、どうしても頑張ってしまう」と話す。そのため、学校が組織的に業務を見直し、「統一した学校づくりを推進することで、教員が教務に集中できる環境整備を進めたい」と考えている。
◆校務支援システム31年度中に全校へ
こうした考えのもと、市教委は本年度、小中五校に校務支援システムを導入。今後、導入の効果を検証した上で、三十一年度中には小・中学校全校に導入し、三十二年度からの本格稼働を目指している。
「子どものために時間外勤務、長時間勤務は当たり前」という考えもあるが、そうした働き方が教員の心身の健康を損なうレベルであれば、教育の質の確保にとって危機的な問題となる。教員各自の意識改革と組織的な環境整備の両輪で、働き方改革を推進することが“子どもたちのため”に求められている。
(市町村 2018-12-21付)
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