札教組が第3回定期大会開催 超過勤務解消など重点に 19年度の運動方針を決定(関係団体 2019-02-28付)
“差別・選別の競争主義”反対などを掲げた
札幌市教職員組合(=札教組、鈴木誠幸執行委員長)は二十五日、市内の道教育会館で第三回定期大会を開いた。スローガン「教え子を再び戦場におくらない」のもと、二〇一八年度のたたかいを総括するとともに、二〇一九年度の運動方針などを協議。働き方改革に向けて超過勤務解消につながるよう教育施策について改善を要求するなど七つの方針を掲げた大会宣言を採択した。
大会では、鈴木委員長があいさつ。
安倍政権や政府、文部科学省の動向にふれ「現場を無視したトップダウンの教育改革は、学校現場の混乱を招くだけではなく、ますます子どもたちの豊かな学びを阻害することになる」と指摘した。
教職員の超過勤務の問題について「すべての子どもたちにとってゆとりがあって分かる授業、楽しい学校づくりを目指して、子どもたちとかかわる時間の確保を要求するとともに、子どもたちや保護者との人間的なかかわりを通じて、相互理解と信頼を築き上げるための運動を進めていかなければならない」と述べた。
続く議事では、二〇一八年度の札教組のたたかいについて総括したほか、二〇一九年度の運動方針を決めた。
運動方針の取組の重点には、「教育の国家主義化、学校教育への市場原理に基づく差別・選別の競争主義の導入に反対し、民主教育確立のたたかいを進める」「教職員の超勤・多忙化解消、研修権確立の取組を進める」「子どもの権利条約の理解と学習を深め、札幌市が制定した子どもの最善の利益を実現するための権利条例の精神を具体化するための取組を進める」「北教組との関係を含め、政令指定都市教組としての課題を整理し、組織力の向上を図る論議を進める」などを掲げた。
また、「教職員定数増、“給特法”廃止など教育施策にかかわるすべての課題について、文科省および市教委に対し、超勤解消につながるよう大幅な改善を要求し、真の働き方改革を実現するために組織の総力を挙げて取り組む」など七つの方針を掲げた大会宣言も採択した。
◆大会宣言 七方針掲げる
大会宣言の概要はつぎのとおり。
私たちは、憲法改悪に反対し、「管理と競争の教育」から子どもと教育を守り、民主教育を確立する運動をさらに発展させるために、札教組第三回定期大会を開催し、二〇一八年度の取組を厳しく総括した。
安倍自公政権はこの間、数の力を背景に国民の「知る権利」を阻害する特定秘密保護法、「戦争法(安全保障関連法)」、「共謀罪(テロ等準備罪)法」等を強行可決させた。
さらに安倍首相は年頭会見において、憲法「改正」について「具体的な改正案を示して国会で活発な議論を重ねることは国会議員の責務だ」と述べ、「自衛隊を新たに明記する」など、「戦争をする国」へと突き進んでいる。
教育政策においては、国が定める「資質・能力」の育成を強調する新学習指導要領や、点数至上主義の「全国学力・学習状況調査」の悉皆実施と結果公表、検定教科書を用いた特定の価値観を押し付ける「特別の教科 道徳」の導入、小学校五・六年生の英語科や三・四年生の外国語活動の導入など、過密な時間割にさらに授業時数を増やし、学校現場で働く教職員や子どもたちから豊かな学びと学ぶ喜びを奪っている。
また、教育論より財政論が優先され、三十人以下学級の実現や教職員定数の改善が進まない中、学校現場の多忙化は限界状態となっている。
多くの教職員が過労死と背中合わせの状況に置かれている実態を改善するために、教育予算の大幅増と教育条件の改善を求めていかなければならない。
私たちは、直面するこれらの情勢等を厳しく分析し、二〇一九年度の運動方針を決定した。
第一に、憲法改悪を許さず、「教育基本法を元にもどす」取組を進め、差別・選別を進める「教育改革」と対決し、保護者・市民とともに民主教育を推進する。
第二に、教職員定数増、「給特法」廃止など教育施策にかかわるすべての課題について、文科省および市教委に対し、超勤解消につながるよう大幅な改善を要求し、真の「働き方改革」を実現するために組織の総力を挙げて取り組む。
第三に、組織の破壊と分断、教職員の管理統制をはかり、差別賃金を生み出す「学校職員人事評価制度」の実体化を許さず、自律的・民主的職場づくりの取組を進め、諸権利の定着・拡大をはかるため、組織一体となって取り組む。
第四に、「学習指導要領」体制を打破し、地域・保護者・子どもの願いに即した教育課程の編成を自らが行い、「ゆとりがあって、分かる授業、楽しい授業」を実践し、豊かな教育の実現を進める。
第五に、市教委による卒・入学式での「国旗・国歌」の校長への「職務命令」の撤回を目指すとともに、管理体制強化を許さず、職員会議の民主化に取り組む。
第六に、義務教育費国庫負担制度改悪に反対し、当面二分の一復元に取り組み、教育予算の拡充と教職員の賃金・勤務条件の改善を要求し、教育費の保護者負担軽減のために予算の増額をかちとる。
第七に、平和教育の推進と反核・反原発、人権擁護・反差別の取組を強化し、「子どもの権利条約・条例」の理念をすべての場に生かすとともに、男女平等、共生・共学の視点に立った教育を進める。
以上の方針を実現するため、私たち教育労働者としての自覚をもち、いかなる組織攻撃にも対峙し、組織の団結を守るとともに組織の拡大・強化をはかり、平和で民主的な社会の実現と民主教育を確立する。
私たちは、すべての戦争に反対し、「教え子を再び戦場におくらない!」のスローガンを深く胸に刻み、本定期大会で決定した方針に基づき、組織の総力を挙げて取り組むことをここに宣言する。
(関係団体 2019-02-28付)
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