給特法廃止・見直しを 信岡中央執行委員長あいさつ 北教組中央委
(関係団体 2019-03-05付)

北教組第122回中央委員会あいさつ
憲法の理念を実現し生かす取組を進める決意を示した

 北教組の第百二十二回中央委員会における信岡聡中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 学校における働き方改革を議論してきた中央教育審議会は一月、文部科学省「答申を提出した。私たちの運動によって、学校現場の超勤問題を社会問題化させ、議論を巻き起こし、対策を出さざるを得ない状況をつくり出してきたことは大きな成果と言える。

 しかし、本答申は、私たちが求めた教職員の「定数改善」や「一人当たりの持ち授業時間数削減」など抜本的な改善に踏み込むことなく、「ただ働き」を助長してきた「給特法」の見直しも中長期的な検討事項として先送りした。

 一方で、文科省が策定した「時間外勤務の上限を四十五時間とするガイドライン」を設け、「一年単位の変形労働時間」導入を可能とした。これは、十分な予算もかけず、安上がりの対症療法的な対策で、自民党教育再生実行本部「第十一次答申」そのままの政権の意図に基づく、極めて政治的なものである。

 中教審答申は、給特法を維持することで、矛盾を拡大させ、労基法から一層逸脱させた。そもそも給特法は、「原則超勤を命じない」「命じる場合は臨時または緊急のやむを得ない必要があるときの四項目」に限ることを条件に、労基法三六・三七条を適用除外した。

 しかし、ガイドラインは、限定四項目以外の業務を「在校等時間」として「勤務時間」に新たに加える一方で、時間外勤務等手当は支払わず、「月四十五時間」まで「ただ働き」を認める二重基準である。これまで、「自主的・自発的な勤務」としてきた業務を超勤として認めたものの、支払うべき超勤手当等は頬被りし、四%調整額に包含しているとする立場で容認できない。

 一年単位の変形労働時間は、すでに民間で明らかになっているように、常態化する長時間労働を容認し、見かけ上、時間外勤務をなくし合法化させる制度で、国どおりの制度では超勤に拍車をかけかねない。中教審は、二〇一九年中に「制度改正」を行い、二〇二〇年中に「自治体の判断に基づき条例改正等」を図り、「具体的な変形労働の在り方を確定」して、二〇二一年度の実施を目指すとしている。

 北教組はこれまで、道教委との交渉を強化し、「原則超勤を命じない」ことを順守させる中で、やむを得ず行った時間外勤務を「勤務の割り振り変更」によって回復する限定的な変形労働時間によって、実質的な回復を図ってきた。一月の予算交渉においても「子どもたちにかかわるすべての引率」と「入学式・卒業式と事前準備」を対象業務に新たに加えさせ、制度の積極的な活用を徹底させることを確認した。

 私たちは、中教審答申や文科省ガイドラインの問題をしっかりと明らかにし、教職員の定数改善と一人当たりの持ち授業時間数の削減、給特法の廃止・見直しなど、抜本的な勤務・教育条件の改善を要求し、引き続き院内外の運動を強化していかなければならない。併せて、一方的な国の制度変更を許さず、当面、「原則超勤を命じない」「命じる場合は限定四項目」順守を基本に、やむを得ず行った超勤は完全に回復させるよう、交渉に基づく改善策を要求し、超勤解消に向けて全力で取り組んでいく。

 北教組は一月、平和憲法を守る運動を強化するため、「護憲運動推進本部」を設置した。憲法が戦後最大の危機を迎えている今こそ「教え子を再び戦場に送るな!」のスローガンのもと、憲法理念を実現し生かす取組を進めるためである。憲法・「改憲手続法」「自民党改憲案」の学習とともに、保護者・地域住民との対話を進め、改憲阻止に向けた広範な運動を強化していかなければならない。

 この中央委員会が皆さんの真摯な討議によってたたかう北教組の当面方針が確定することを心から期待申し上げる。

(関係団体 2019-03-05付)

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