釧路市31年度教育行政執行方針 CS導入へ3校で調査 釧路北陽高の単位制転換準備(市町村 2019-03-11付)
釧路市教委・岡部義孝教育長
【釧路発】釧路市教委の岡部義孝教育長は三十一年度教育行政執行方針説明の中で、基本姿勢として「生きる力を育む学校教育の推進」など三点を示した。タブレット型ノートパソコンを計画的に導入。さらに、コミュニティ・スクールの導入に向け、新たに小学校二校、中学校一校で調査研究に取り組む。また、釧路北陽高校を進路多様型の普通科単位制への転換に向け準備を進めることも明らかにした。
執行方針の概要はつぎのとおり。
【生きる力を育む学校教育の推進】
▼確かな学力の確立
基礎学力検証改善委員会の算数・数学科部会の委員を増員し、効果的な授業改善に取り組んでいる実践内容をすべての学校に周知するとともに、市学校改善プランに示す授業改善の方向を徹底すべく研修の機会を増やすなど、取組を強化していく。
また、義務教育九年間を連続した教育課程としてとらえ、小・中の連携を進めることが、子どもたちの発達や学びの連続性に重要なことから、同じ視点で授業改善に取り組むことなどをテーマとした小中連携研修会を、全市一斉に実施する。
さらに、市標準学力検査と連動した個別復習教材の活用や、宿題用復習教材の利用と学習推進員の配置を柱とする研究指定校での取組を継続するなど、基礎的・基本的な学力の確保に努めるとともに、生活リズムチェックシートの活用や、家庭における効果的な取組事例について、従来の紙媒体に加え新たにメールによる情報発信を行うなど、家庭での学習習慣の確立に向けて取り組んでいく。
加えて、主体的で対話的な授業改善の視点に対応すべく、写真や動画が共有でき、グループ協議の際のデジタルノートとしても活用可能なタブレット型ノートパソコンを計画的に導入するなど、ICT機器の整備推進に努めていく。
社会の変化に対応する力の育成に当たっては、小学校に教科として導入される英語科において、コミュニケーション能力の基礎を養う指導体制の強化に向け、ALTを増員し学校への訪問回数を増やすなど、その充実を図っていく。
また、昨年十二月に連携協定を交わした釧路青年会議所との協働によって、地元企業の魅力を伝える中学生向けの職業講座の開催や職場体験活動の協力事業所の拡大に取り組むほか、小学生を対象とした職場体験イベント「くしろキッズ・タウン」をはじめ、子どもたちが自らの個性を発揮し、より良い社会の担い手となれるよう、必要な資質・能力を育むキャリア教育を推進していく。
特別支援教育については、公認心理師等の専門家による巡回相談の実施や個別の教育支援計画の活用促進などに加え、経管栄養や痰の吸引など、日常的に医療的デバイスを必要とする児童生徒が、保護者の付き添いなしに学校生活を送ることができるよう、拠点校に看護師を配置するなど、子どもたち一人ひとりの特別な教育的ニーズに応じた支援の充実を図っていく。
▼豊かな心の育成
教員の指導力向上を目指し道徳科の授業改善を進めるとともに、保護者や地域への授業公開などを通して理解を深めていく。
劇団四季による「こころの劇場」の開催や、市文化団体連絡協議会などの協力による優れた文化芸術や日本の伝統文化などにふれる機会の充実を図るとともに、中央図書館との連携を深めながら、子どもたちの豊かな感性を育んでいく。
さらに、市いじめ防止基本方針に基づき、調査の複数回実施などによって、いじめの早期発見と早期解決に努めるとともに、情報端末にかかわるトラブル防止の観点から、出前講座の充実など情報モラル教育の強化を図っていく。
加えて、福祉部やこども保健部などとの連携のもと、ファースト・ステップ・プログラムを活用し、不登校の悩みを抱える児童生徒と家庭への支援を包括的に進める。
▼健やかな体の育成
体育科授業の工夫改善や一校一実践など各学校における体力向上計画をもとにした取組の充実、歩くことの推奨をはじめとする家庭での運動習慣づくりへの支援と合わせ、こども保健部や関係団体との連携のもと、ダンス講習会などの体力向上に寄与する取組を推進していく。
栄養教諭による訪問指導の回数を増やすなど、学校での食育指導の充実を図るとともに、食物アレルギーを有する児童生徒に対しては、栄養教諭が作成する詳細な献立表に基づく、学校と保護者との緊密な情報共有を通して、安心・安全な給食の提供に万全を期していく。
【育ちと学びを支える教育環境の充実】
▼充実した学びを支える教育環境の整備
学校施設での安心・安全の向上を目指した整備を計画的に進めるとともに、学校施設の長寿命化計画の策定に向け、学校施設の老朽度調査を行っていく。
また、阿寒湖義務教育学校の三十三年四月の開校に向け、施設一体型校舎の新築工事に着手するとともに、道教委の小中一貫教育支援事業による加配教員の活用や開校準備協議会の定期的な開催など、着実な準備を進める。
▼信頼に応える学校づくりの推進
コミュニティ・スクールの導入に向け、新たに小学校二校、中学校一校で調査研究に取り組むとともに、地域学校協働本部事業との両輪によって各校の活動を支援し、地域と密接に連携した学校運営を進める。
また、子どもたちの学力・体力の実態や課題改善の方策、学校の特色をまとめた学校グランドデザインなど、様々な学校の教育活動について、ホームページなどを活用し積極的に情報発信していく。
さらに、特色ある学校づくりを推進するため、山花小中学校での特認校放課後活動事業を継続して実施するとともに、釧路北陽高校では、国際理解教育の充実や高大連携による進学意欲の向上、地元企業などとの連携による人材育成を図るべく、人文科学をはじめ四科目群からなる従来のフィールド制から、進路多様型の普通科単位制への転換に向け準備を進める。
さらに、教職員の働き方改革では、三十年度に試行的に取り組んだ部活動休養日の実施や学校閉庁日の設定に加え、時間外労働時間の上限の設定や年間単位での変形労働時間制の導入、業務削減のための勤務時間の把握など、国や道の動きを踏まえた、釧路市版のガイドラインを策定する。
(市町村 2019-03-11付)
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