リポート 部活動時間の縮減に向けて 意識改革と環境整備を 地域・団体の協力など必要(学校 2019-04-22付)
学校における働き方改革の必要性が叫ばれて久しい中、部活動時間の縮減に向けた機運が高まっている。学校現場では効率的・効果的な練習方法を模索し、成果を上げている顧問教員の姿も。一方、道教委の「部活動の在り方に関する方針」で定める活動時間の私立学校の順守を懸念する声が上がるほか、外部指導員の確保や地域・スポーツ団体の協力などの環境整備、教員一人ひとりの意識改革の必要性を指摘する意見もある。部活動時間の縮減に向けた学校関係者の声を聞いた。
◆効率的な指導模索
道教委の「部活動の在り方に関する方針」では、国のガイドラインに準じ、部活動休養日を週当たり2日以上、活動時間を平日は2時間、学校休業日は3時間程度と設定。『部活動の方針に関する質疑応答集』によると、部活動の移動時間、準備やあと片づけ、昼食休憩時間は活動時間に含めない一方、朝練習、部員同士の話し合い、技術向上に関するDVD視聴は含むなど、活動時間に関する考えを示している。
部活動時間の縮減が求められる中、効率的な練習方法を模索し、成果を上げている教員もいる。
伊達市立伊達中学校のサッカー部顧問を務める菅田浩之教諭は、平日2時間、休日3時間の練習、週2~3日の休養日を設け、量より質を追求した指導方法を実践。規則正しい生活習慣を確立させ、短時間で自主的にトレーニングに取り組む指導を行った。結果、2013年の全国中学校サッカー大会準優勝につながったという。
札幌東商業高校は昨年11月、全国高校女子バスケットボール選手権大会全道大会で優勝。全国大会へと進出した。
顧問を務める永野達矢教諭は「漠然と練習するのではなく、限られた時間と場所の中で効率的に練習に取り組むことが必要」とし、「キャプテンを中心とする部員たちが同じ目標に向かうよう、技術面に加え、一人ひとりの精神をケアする指導が求められている」と話す。
◆時間かけ見直しへ
ある関係者は、部活動の種類や種目でも条件が異なる点を指摘する。「野球やテニスなどの競技で大会に勝ち進むためには、技術力を高める練習、試合を想定した練習の量が重要になる」。運動量が特に多いスポーツは活動が長時間化しにくい一方、スタミナの消費が比較的少ない部活動は長時間になる傾向もあるという。
文化庁の調査によると、文化部活動では「吹奏楽」「軽音楽」「マーチング・バトン」などの部活で土・日曜日の活動時間が特に長いことが明らかになっている。
ある高校の吹奏楽部には、地域の催しや高齢者施設などから演奏の依頼が殺到。副校長は「内容を精選せざるを得ないのが現状。生徒たちの自由な時間を確保するためにも、地域との協力が不可欠」と話す。
関係者が口にする懸念の一つに「私立学校における規定活動時間の順守」がある。部活動や指導顧問に期待し、学校を選択する生徒や保護者も多いことから、ある校長は「公立・私立が一律に取り組まなくては不平や不満が出るだろう。生徒の流出を防ぐためにも、フォローアップ調査は必要」と語る。
ある中学校の校長は、教員一人ひとりの意識改革に加えて学校組織全体で取組を進めること、地域・行政の支援体制の必要性を指摘する。「一部活動や一顧問で達成できるものでない。外部指導員の確保、スポーツ団体の協力など、できることに一つ一つ、協力して取り組むしかない」。
生徒の人間形成にとって大きな役割を果たすとともに、進学・進路選択など、多方面で大きな影響を与える部活動。その在り方を見直すには、長い時間を要することになりそうだ。
(学校 2019-04-22付)
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