1日防災学校アンケート 意識向上など効果実感 授業時数の確保など課題も
(道・道教委 2019-05-29付)

 道は、平成30年度1日防災学校実施アンケート結果をまとめた。回答した実施校の100%、行政機関の98%が「(1日防災学校を実施して)とても良かった」「まあ良かった」と評価。子ども、教職員、保護者、地域住民の防災意識の向上、避難所運営に関する知識の共通理解の促進などが理由として挙げられたほか、北海道胆振東部地震の発生時に適切に行動できるなど防災教育の意義を再確認する声が寄せられた。一方、授業時数の確保や他機関との連絡調整を担う学校側の負担などの課題を指摘する声、見本となる学習指導案やモデル授業の動画などを求める声があった。

 1日防災学校は、学校・地域・行政が協力して学校避難訓練や多様な防災関連学習に取り組み、災害時に児童生徒一人ひとりが防災・減災行動をとる「生きる力」の育成、地域における防災力の向上を図るもの。防災訓練の専門的な知識や技能を有し、防災関係機関と調整する防災担当部局と、児童生徒に対する指導や地域の核となる学校を所管する教育担当部局が連携・協働して行う。

 29年度に札幌市立北郷小学校で試行し、30年度は35市町村44校で実施。本年度は2倍近くの80校程度に実施校を拡大する見通し。

 道は、取組の効果を検証するため、30年度1日防災学校の実施校、行政機関(市町村防災部局・教育委員会)を対象にアンケート調査。実施校44校中39校、行政機関33団体中29団体が回答し、回答率は実施校88・6%、行政機関87・9%。

▼実施校

 回答した実施校の79%が「(1日防災学校を実施して)とても良かった」と回答。「まあ良かった」を合わせて100%が肯定的に回答した。主な理由として、子ども、教職員、保護者、地域住民の防災意識の向上、防災関係機関とのつながりの強化などが挙げられた。

 北海道胆振東部地震の発生前に1日防災学校を実施した地域では「(災害後に)落ち着いて行動できた」「子どもに指摘され、災害に備えた備蓄を行い助かった」との声があり、地震発生後では「大変身近なものとして学習内容を受け止めていた」など、防災教育の意義を実感する声が寄せられた。

 一方、他機関との連絡調整を担う学校側の負担、授業時数の確保などの課題が指摘されたほか、学年の発達段階や他教科との連携を踏まえ、適切な時期に実施できるよう、カリキュラム・マネジメントを進める必要性を指摘する意見があった。

▼行政機関

 71%が「とても良かった」、27%が「まあ良かった」、2%が「良くなかった」と回答。学校側の防災に関する理解の促進、地域住民の学校における避難所運営に関する知識・認識の共有などの理由が挙げられた。

 一方、平日の日中に実施せざるを得なかった地域では多くの地域住民が参加することが難しかったこと、教室に多くの大人が出入りすることで、子どもたちの集中力を阻害することへの懸念もあった。

 今後、改善を要する点として、事業実施の意向調査の早期化、実施に当たっての予算上の工面、見本となる学習指導案やモデル授業の動画などを求める声があった。

(道・道教委 2019-05-29付)

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