札幌視覚支援ほか4校が遠隔授業 集団で学びの場確保 中3英語科を同時中継(学校 2019-07-26付)
函館盲の生徒の発表を聞く札幌視覚支援の生徒
札幌視覚支援と盲学校3校は、学校における働き方改革の推進や、障がいの特性に応じた支援・指導力の向上を図ることを目的に、本年度から遠隔TVシステムを導入。同時中継・双方向通信によって各校や道立特別教育支援センターなどと接続することが可能となり、5月10日に開いた道視覚障害教育研究会の評議員会で活用していた(5月22日付2面既報)。
今回は、授業における本格的な活用の皮切りとなる取組。
授業は中学3年生の英語科で、全2回。札幌視覚支援の北田歩教諭が中心となり、現在完了形を使って相手がこれまでに経験していることなどについてやり取りできることを目標に授業を展開した。
1回目は5校を遠隔TVシステムとWi―Fi回線で接続し、通常学級と重複障がい学級との混合で、生徒11人を対象に実施。
2回目にはALTも参加し、札幌視覚支援、函館盲、白翔中の3校を接続して普通学級の生徒6人を対象に実施した。
本時の目標を「現在完了形の文法事項を活用し、文章を書いたり、口頭で発表したり、伝えることができる」「相手の発言に対して、英語で即興的に応答することができる」などと設定。現在完了形の表現を用いて好きなことを紹介する5文程度の作文をつくり、生徒の前で発表する活動を行った。
発表者がモニター越しに「Have you ever watched “頭脳王”?」と質問すると、聞き手の生徒が「No」などと即座に反応を返す場面もあり、意欲的に交流を図る様子がみられた。
授業を終えた北田教諭は、システムの活用によって、「主体的・対話的で深い学びを実現させるための集団の確保や、中学校学習指導要領外国語編の“話すこと(やりとり)”を実現できた」と振り返った。
白翔中の生徒について「弱視学級に通う生徒は一人だけで、見えにくさを抱える仲間に出会う経験が少ない」と紹介。
今回、Wi―Fi回線とiPadを活用して遠隔TVシステムのカメラに写すことで、「ほかの生徒の学習態度や状況に刺激を受け、意識しながら学習に臨むことができた」と話していた。
同学年に1人しかいない盲学校の生徒にとっても、「生徒同士の会話が成立するだけでなく、画面から仲間の学習状況を読み取ることが刺激となり、周囲との一体感が生まれた」と遠隔TVシステム活用のメリットを挙げた。
今後の改善点として、カメラを効果的に活用するための設置位置の工夫や話者のタイミング、課題を早く終えた生徒に対する個別の対応の工夫などを挙げ、「多くの先生と今回の課題を共有することで、積極的な活用につなげたい」と展望した。
なお、18日には寄宿舎の余暇活動でもシステムを活用し、学校の枠を超えて児童生徒間の交流を図った。
(学校 2019-07-26付)
その他の記事( 学校)
道教育大附属札幌中が研究大会 他の意見取り入れ問題解決
道教育大学附属札幌中学校(佐々木貴子校長)は7月26日、同校で令和元年度教育研究大会を開いた。新研究主題「自ら判断・行動し、未来の創り手となる個の育成」のもと、国語、社会、数学、理科、音楽...(2019-08-01) 全て読む
置戸中が1日防災学校 避難訓練等で意識向上 修学旅行の震災学習と関連
【網走発】置戸町立置戸中学校(石原邦彦校長)は23日、同校で1日防災学校を実施した。毎年行っている東北修学旅行での震災学習と関連させ、震災を想定した避難訓練や避難所運営体験を展開。防災への...(2019-07-30) 全て読む
千葉建設へ感謝状贈呈 地域貢献活動に対し帯工高
【帯広発】帯広工業高校(稲津誠校長)は23日、同校で帯広市内の㈱千葉建設(高橋好男社長)に地域貢献活動への感謝状贈呈式を執り行った。同校駐車場における身障者用車止めブロックを貢献活動として...(2019-07-30) 全て読む
少年の主張上川地区大会 当たり前を常識に 旭川市神居東中3年・岡野さん
【旭川発】上川総合振興局と上川教育局は17日、上川合同庁舎で少年の主張上川地区大会を開いた。管内の中学生23人が日ごろ感じていることや考えていることを発表。審査の結果、「当たり前を常識に」...(2019-07-29) 全て読む
少年の主張胆振地区大会 “命をいただく”ということ 登別明日中等教育3回生・小路さん
【室蘭発】令和元年度少年の主張胆振地区大会が19日、むろらん広域センタービルで開催された。管内11市町代表の中学生が、それぞれの思いを発表。最優秀賞には「“命をいただく”ということ」をテー...(2019-07-26) 全て読む
英検IBA(RL) 本年度から3年間 道内全中学校で実施 英語力向上や授業改善に期待
札幌市を含む道内すべての中学校で英検IBA(RL)を3年間実施することが明らかになった。道教委によると、各市町村教委に意向を確認した結果、すべての中学校、義務教育学校、道立中等教育学校前期...(2019-07-26) 全て読む
道教育大附属函館中が研究大会 学習指導要領の趣旨実現 3ヵ年研究の成果を発信
【函館発】道教育大学附属函館中学校(金光秀雄校長)は6月中旬、同校で教育研究大会を開いた。渡島管内の教職員など約200人が参加。研究主題「新学習指導要領の趣旨を実現する教育の展開」のもと、...(2019-07-25) 全て読む
第7期第8回道教育推進会議 地域と協働活動推進を 子の能力育成へ意見
道教育推進会議は22日、札幌市内の道第2水産ビルで第7期第8回会議を開いた。平成30年度道教委の活動状況に関する点検・評価報告書の内容について協議。委員からは、子どもたちのコミュニケーショ...(2019-07-25) 全て読む
少年の主張十勝地区大会 普通 帯広第四中3年・吉田さん
【帯広発】十勝総合振興局主催の少年の主張十勝地区大会が7月上旬、十勝合同庁舎で開かれた。管内の中学生19人が日ごろの生活で感じた意見などを発表。最優秀賞には「普通」と題して発表した帯広市立...(2019-07-25) 全て読む
少年の主張宗谷地区大会 なりたい自分になるために 礼文町立香深中2年・鈴木君
【稚内発】宗谷総合振興局は18日、稚内市立稚内南中学校で少年の主張宗谷地区大会を開いた。管内の中学生11人が日ごろの生活で感じたことなどを発表。審査の結果、「なりたい自分になるために」と題...(2019-07-24) 全て読む