少年の主張上川地区大会 当たり前を常識に 旭川市神居東中3年・岡野さん(学校 2019-07-29付)
【旭川発】上川総合振興局と上川教育局は17日、上川合同庁舎で少年の主張上川地区大会を開いた。管内の中学生23人が日ごろ感じていることや考えていることを発表。審査の結果、「当たり前を常識に」と題して、発表した旭川市立神居東中学校3年の岡野心優さんが最優秀賞に輝いた。岡野さんは、9月5日に札幌市で開かれる全道大会に出場する。
岡野さんは、「当たり前」という言葉は個人の考えによって生み出されるものとして、人によって意味が変わって使われてしまうことを問題視。日常や学校生活における自身の体験から、“当たり前”に疑問をもち、良い“当たり前”が増え、常識になるように生活していくことを誓い、「当たり前は変えなくてはいけない」と訴えた。
岡野さんの発表概要はつぎのとおり。
当たり前は変えなくてはいけない。
「当たり前」「常識」という言葉を私はよく耳にします。「当たり前」とは、「普通のこと」を意味し、「常識」とは、「一般の社会人が共通にもつ普通の知識」を意味します。
そして、「当たり前」には一般社会で通用する世間の常識のものや、個人の考えで生み出す、人によって違いのあるものがあります。その結果、「当たり前」は使う人によって意味が変わってしまっているのです。
しかし、そのことに気付かず、思うままに「当たり前」が使われることに、私は不安を抱かずにいられません。
私の家の近くに、せせらぎ小路という遊歩道があります。車は通れない道なので、子どもからお年寄りまでたくさんの人が利用しています。私もよく利用しますが、道端にごみが散乱している光景を目にします。
「誰がこんな心ないことを」と思うことがありますが、今の自分はそこまで。正直、勇気をもって行動に移せない、情けない自分がいます。
その傍ら、近所の人が袋を持ってタバコの吸い殻などのごみを拾っている姿を何度も見かけます。腰を屈めて拾う姿は私の目にとても痛々しく映りました。なぜポイ捨てをしていない人がこんなことをしなくてはならないのか。どうしたら改善できるのか。
私はポイ捨てをする人たちに、「当たり前」の考え方を見直してほしいと思っています。
捨てることが当たり前なのではなく、捨てることをやめるという発想をもち、その「当たり前」を変えてほしいのです。
一方、学校生活では、具合の悪い仲間がいたら寄り添って保健室に連れて行ったり、自ら進んで係活動などを行ったりする仲間の姿も目にします。
つい私がその友達に発した「面倒ではないの」という質問にも表情一つ変えずに「当たり前だから」と答えます。
私はその答えに、自分は結局ポイ捨てをする側の人と同じ考えだったのではとドキッとさせられ、恥ずかしくなりました。そして、私の友達の「当たり前」は常識なのではと思いはじめました。
さらに私は、「なぜこんなにも“当たり前”は人によって違うのか」を考えたときに、それは、物事の価値観やその人の周りの環境によって左右されるているのではないかと思うようになりました。例えば、自分の親がポイ捨てしているのを幼いころから目の当たりにして、「それでも許されるんだ」と考えるようになると、「ポイ捨てなんてどうってことない」という判断になるのではないでしょうか。その行為自体が良くないことだという感覚を身に付けることができないと思います。
また、学校生活の例で考えると、困っている人に手を差し伸べるという「いいこと」が最初は真似だったかもしれませんが、頻繁に行われることによって、「良いこと」=「当たり前」になっていったのだと思いました。
これから進化していく社会の中でも、「当たり前」という言葉は、良くも悪くも使われていくでしょう。そのような中、私たちを取り巻く環境の全てを変えることは難しいことです。
しかし、今のうちに自分の「当たり前」について常識に照らし合わせたり、周りの人の言動をみたりして正しく理解し、自分にできることを行うことが必要だと感じました。そして、私たちが大人になったときに、自分たちの子に「良い当たり前、つまり常識を伝えていくことが大切である」と。「おや?」と思ったときこそ、自分の「当たり前」を変えるチャンスなのです。
日常の中にある「当たり前」に疑問をもち、良い「当たり前」が増え、常識になるように、私はこれからの生活を過ごします。
当たり前は変えなくてはいけない。
(学校 2019-07-29付)
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