活動充実に向け資質高め 札幌で第60回道図書館大会(関係団体 2019-09-09付)
各館種の図書館職員ら200人以上が参加した
道図書館振興協議会などで組織する道図書館連絡会議と北海道立図書館は4日から2日間、札幌市教育文化会館で第60回道図書館大会を開いた。テーマは「図書館の力と可能性」。各館種の図書館職員や関係機関職員など200人以上が参加し、基調講演や分科会、ブース展示などを通して、図書館活動の充実・発展のため資質向上を目指した。前年度は北海道胆振東部地震の影響で中止しており、2年ぶりの開催となった。
初日の開会式では、道図書館振興協議会長の岩渕隆道立図書館長があいさつ。日本が世界有数の長寿社会を迎えていることから、「長い人生をより充実したものとするため、生涯にわたる学習の場が求められている」とした上で、館種を超えた地域との連携・協力の重要性を説いた。
大会における情報の吸収、交流の深化を期待し「新たな力と可能性を今後の運営に生かしてほしい」と呼びかけた。
続いて、道教委の平野正明教育部長が祝辞。子どもに読書への関心をもたせるため、社会全体で様々な取組を行っていく必要性を指摘し「高度化・多様化する社会や利用者の要請に応えられるよう、機能をますます充実・発展させてほしい」と期待した。
このあと、小説家の小路幸也氏による基調講演や分科会を開催。
短期大学図書館における利用教育の取組や、博物館と図書館の協力体制、災害と図書館に関して理解を深めた。
2日目も分科会。図書館サービスプラットフォームの新たな動きや、絵本の読み聞かせと絵本選び、仕事に役立つファイリングの基礎について学んだ。このほか「トピック」として、図書館とがん相談支援センターの連携について情報提供した。
このほか、2日間にわたって図書館関係団体・企業、参加者有志によるブース展示が行われた。
◆物語を楽しむために 小説家の小路氏講演
第60回道図書館大会の初日、旭川市出身の小説家・小路幸也氏が「物語を楽しむために」と題して基調講演。創作活動をはじめるきっかけから現在に至るまでの経験や、図書館での思い出、物語の構造などについて、創作論を交えながら紹介した。
小路氏は、本を好きになるきっかけや、学校図書館に通って本を読み尽くした経験を回顧。自身の創作活動の原点として、小学6年生のとき放送劇のオリジナルの脚本を書いた経験を挙げた。中学では音楽に興味を移したが、ギターを始めてすぐに作詞・作曲を手がけたことを紹介。「自分で何かをつくることが好きだった」と振り返った。
作家に至るまでの道のりについて、紆余曲折の末、札幌の広告会社に就職するものの、30歳で「自分で書いた作品で生きていきたい」と小説家になる決意をしたことを紹介。「小説家になると決めてからデビューまで12年かかった」と苦節の日々を語った。
「売れない間の強い味方が図書館だった」と話し、江別市内の図書館に通って本を読みあさったエピソードも。
話題は大衆小説における「物語の構造」に移り、テトリスやRPGゲームの構造を例に挙げながら解説した。読者を最初から最後まで引っ張っていく小さな快感の積み重ねや、エピソードの重層化が必要であることを強調。快感を右肩上がりにして、結末で大きな快感となるよう計算する必要があることを、図を示しながら説明した。
また、小説家にとって書き方は十人十色だが、大きく分けて「感覚で書く人」「緻密な計算で書く人」の2パターンがあることを紹介。「僕はスタートとゴールだけを決めて、そこに至る道のりを感覚で選んでいく」と、自身の創作スタイルを明かした。
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図書館での思い出や創作活動を語った
(関係団体 2019-09-09付)
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