公立高・特配置計画に対し声明―道高教組・道教組 時期見直し含め再考を 伊達高と伊達緑丘高の統合 
(関係団体 2019-09-11付)

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は6日、道教委の公立高校配置計画、公立特別支援学校配置計画に対する声明を発表した。前年度に決定した高校配置計画を変更し、2021年度の伊達高校と伊達緑丘高校を統合することについて、「計画を変更しての2021年度の統合は、学校の実情をあまりにも無視した拙速なもの」と批判。計画を撤回し、開校時期の見直しを含めた配置計画を再考するよう求めている。声明の概要はつぎのとおり。

1 はじめに

 道教委は9月3日、公立高校配置計画(2020~22年度)と2020年度の公立特別支援学校配置計画を発表した。

 高校配置計画は、2021年度に伊達高校と伊達緑丘高校を統合し、1学年6学級の普通科単位制を新設することを決定した。また、2020年度から羅臼高校に地域連携特例校を導入するほか、2019年度入選の結果、定員を満たさず学級減を行った26校のうち14校について、2020年度にそれぞれ1学級増とした。

 特別支援学校配置計画では、2020年度に職業学科設置の知的障害高等部を計画案どおり4学級32人の増としている一方、義務校併設の知的障害高等部は計画案を変更し3学級19人の減としている。

2 学校現場の実情を顧みない拙速な高校統廃合の見直しを

 道教委は、2018年度に決定した高校配置計画を変更し、2021年度の伊達高校と伊達緑丘高校を統合することとした。計画を変更しての2021年度の統合は学校の実情をあまりにも無視した拙速なものと言わざるを得ない。長時間過密労働が常態化している学校現場において、わずか2年足らずでは、開校に必要な準備もままならず、両校の教育条件の悪化が懸念される。

 また、現在両校の1学年に在籍する生徒は、統合後には入学時とは異なる教育条件のもとで学校生活を送ることになり、その影響は計り知れない。伊達市当局からの要望とはいえ、道教委は拙速な計画を撤回し、開校時期の見直しも含めた責任ある配置計画となるようあらためて求める。

 最低でも両校の生徒・保護者への説明を速やかに行うとともに、特にその当事者である生徒の声を真摯に受け止め、不安解消に努めるべきである。さらに、教職員を特別に加配するなど、必要な条件整備を早急に行うことを強く求める。

3 場当たり的で安易な学級増減を撤回し、見通しをもった学級数の設置を

 2019年度入選の結果によって学級減となった高校のうち、2020年度に学級増とならない高校は12校ある。そのうち、4校は1学年1学級となり、羅臼高には地域連携特例校を導入する。また、総合学科の檜山北高校は3学級から2学級に学級減するとしているが、総合学科は学級減に伴う教員減の影響を受けやすく、大幅な教育課程の見直しを迫られることになる。2020年度はすでに全道で24校25学級の学級減が計画されており、新たにこの12校が加わることで、36校37学級の大幅な学級減となる。このことによって、地域の教育機能が一層縮小されることを憂慮する。

 そのうち、石狩圏の4校は、2022年度に1学級の増となり、2020年度から2022年度の間に、8→7→8学級と増減を繰り返すことになる。こうした単年度の場当たり的な学級数の増減は、学校の運営に支障を来すものであり、避けるべきだ。

 道教委は、年度ごとの中学校卒業者数に応じた機械的な学級の増減を繰り返すのではなく、長期的な見通しをもった配置計画を示すべきである。

4 地域の小規模校の存在意義を再確認し、道の責任で地域の学校を守れ

 地域連携特例校の福島商業高校については、「地域における高校の教育機能の維持向上に向けた具体的取組とその効果を勘案し、再編整備を留保する」としているが、留保などという高圧的な姿勢ではなく、無条件で学校の存続を保障すべきである。地域別検討協議会においても、「都市部へ高校を集中させるような再編では、地方創生に反する。地方の学校が地域の財産であるとの認識が必要であり、その取組の評価も考えてほしい」との切実な声が上がっている。多くの市町村が学校の存続を望み、道立高校に対して多大な財政支援を行っている。

 また、三笠市や奥尻町、大空町のように、市町村立に移管することで高校を存続させることもある。JRの廃線などに伴い、ますます地方の高校生の通学が困難になっていく中、市町村の自助努力に頼るのではなく、道教委が責任をもって地域に学校を残し、地域の子どもたちの教育の機会均等を保障するべきである。

 また、地域連携特例校では遠隔システムを介した授業が行われている。新学習指導要領も目指すところの主体的・対話的で深い学びは、教師と生徒との直接的な対話の中で成立するはずである。

 授業は“教育”の一環であり、単なる“情報”のやりとりではない。遠隔システムは補助的使用にとどめ、対面授業に必要な人員配置こそ、教育の機会均等と教育水準の維持向上に資するものである。

5 新設校の開校を含め、特別支援学校に十分な教育条件整備を

 知的障害特別支援学校高等部の配置の見通しの中で、道教委は道央圏について「2022年度は、6学級相当の定員の確保(既設校で対応)」「さらに数年後、出願者数の増加が見込まれるため、既存施設等の活用による対応」とするなど、既設校や既存施設等の活用方針にとどまっており、十分な予算のもとで教育条件整備を進めようとする姿勢が一切感じられない。

 特に、義務校併設高等部は約10年で在籍者が2倍近くに膨れ上がっているにもかかわらず、伏見支援学校1校のみの新設に留まっている。

 学級増に対しては、校舎の増改築も行われているが、併設された小中学部に通う児童生徒増も加わって深刻な教室不足となっており、狭あい化の実態は限界を超えている。解消策として札幌養護学校高等部を札幌白陵高校の2階フロアに移転する計画が突如発表されたが、本来あるべき単独校舎での開校に比べ不十分な教育条件となるのはもちろん、当該高校に通う生徒にとって大きな教育条件の変更であることは明らか。

 今回の措置はあくまでも臨時応急的なものとして、双方の生徒、保護者、学校職員から意見を丁寧に聞き、十分な予算を確保するとともに、本来あるべき単独校舎を早急に新設するよう強く求める。

 これらの問題の根本原因は、学校教育法に基づく学校設置基準が、特別支援学校にだけ定められていないことにある。必要な特別教室を普通教室へ転用したり、1つの教室を間仕切って2つの教室にしたりなど、小・中学校や高校ではあり得ない対応が容認されており、学校設置者である自治体は、校舎増築や学校増設を先送りしていると言わざるを得ない。

 道教委は、早急に十分な予算を確保することはもちろん、在籍する生徒や保護者の意見を踏まえ、透明性のある議論に基づいた配置計画を示すべきである。

6 未来のため道独自に少人数学級を導入し、教育の機会均等を実現する施策へ

 第1回地域別検討協議会において道教委は、参加者からの質問に対して、「都市部・郡部の違い、学校・学科の特性、生徒の進路動向、私立高校の配置状況などを総合的に勘案するとともに、地域の方々の意見を丁寧に伺いながら検討を進める」と述べている。「これからの高校づくりに関する指針」は郡部も都市部も一律に「4~8学級を望ましい学校規模」としているが、先の道教委の見解とも矛盾しており、すでに指針は破綻している。

 学級規模においても、北海道の広域性を考えれば、他県にならって、北海道こそ積極的に少人数学級を導入すべきであり、とりわけ小規模校や職業学科などには早急に35人以下学級を実現することが求められる。

 また、特別支援学校の狭あい化、過大過密化の解消は喫緊の課題であると同時に、その解消は単独校舎での開校など十分な教育条件の整備によって行うことが教育行政の責務である。

 私たちは、教育予算の増額、国による少人数学級の実現、教育費無償化などを求める「教育全国署名」に全力で取り組むとともに、「ゆきとどいた教育」を求める全道的共同を一層広げ、大きく運動を進めていく決意である。

(関係団体 2019-09-11付)

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